先進IoTビジネスの動向|第1回「IoTの概況」

2016年8月23日 | IoT, オピニオン

IoTとは何か?

今巷で話題になっているキーワードといえば「IoT」。それは「Internet of Things」の略称であり、直訳すると「モノのインターネット」となる。しかし、「モノのインターネット」と言われると、何だろう?という人は多いのではないだろうか(筆者含め)。簡単に言うと、IoTとは従来オフラインで完結していた様々なモノがオンラインとつながり、新たな価値が生まれていくことを指している。

最も身近な例では、スマートフォン。元々純粋に電話するだけのモノだった携帯電話が、インターネットに簡単に接続できるようになり、スマートフォンを介す新たなサービスが次々と誕生し、発展してきた。(例:LINEなどソーシャルメディア)

これからは特に、モノに内蔵されたセンサーで集めた様々なデータがクラウドに蓄積され、その「ビッグデータ」をコンピュータや人間が分析し、モノに新たな価値を付与していくような傾向が増えていくだろう。そこで、これから全6回にわたり、現在多方面で発展しているIoTビジネスの先進的な事例を見ていきたい。特にスポーツ、フィットネス、ファッション、ガーデン、ヘルスケア、飲食の分野にスポットライトを当てる。

第1回『IoTの概況』 ←今回
第2回『スポーツ分野におけるIoTの事例』
第3回『ファッション分野におけるIoTの事例』
第4回『ヘルスケアのIoT化』
第5回『飲食におけるIoTの動向』
第6回『総括:IoTの今後の可能性』

 

先進的な事例

まず、世界にはどんな先進的で斬新なIoTビジネスの事例があるのか、少し紹介したい(第2回以降で詳述)。

<Kolibree>

Kolibree社はフランス発のベンチャー企業で、スマートフォンにつながる歯ブラシを開発・販売している。3Dモーションセンサーや加速度計付きの歯ブラシで、日々の歯磨きを細かくモニターしてくれる優れモノ。専用のスマートフォンアプリが歯ブラシと連動し、正しい歯の磨き方と手順を指示してくれる。また、歯磨きと連動したゲームもできるので、子供たちは楽しく歯磨きをしながら歯磨きを学ぶことができる。

<Plantui>

Plantui社はLED水耕栽培器を開発・販売しているフィンランド発の企業。Plantui社の製品である「Plantui Smart Garden」は、ほぼ自動で水耕栽培をしてくれる。プランターに内蔵されたセンサーが多角的に植物の成長を見守り、自動で水分量・光量を調節するとともに、水や栄養剤を植物に加えるタイミングをユーザーに教えてくれるため、初心者でも簡単・手軽に自宅で植物を栽培できる。

このように、センサー技術の高度化、小型化、および低価格化によって、今まで考えられなかったような数々のモノがインターネットにつながり、便利になってきている。またそれに伴って新しいビジネスが生まれ始めている。

 

IoTの現状

このような、IoTを積極的に取り入れたビジネスを幅広く見てみると、大きく三つの傾向が見られる

1.モノがインターネットにつながる「便利化」
2.センサーから得られるデータによる「見える化」
3.上記二つによるサービスの広がり

ここで、サービスの広がりについて少し詳しく考えると、以下のように価値の流れを可視化することができる。

 

図1.IoT商品における価値の流れ

(図1.IoT商品における価値の流れ)

 

この流れの一部を、Kolibree社のスマート歯ブラシを例にとって説明すると、

1.まず、ハードウェア(歯ブラシ)をユーザーが使う →本来の価値提供(歯を磨く)
2.ユーザーの利用データをセンサーで計測(歯ブラシの動きなど)
3.(事業者が)スマートフォンを介して →①正しい歯磨きを指導、②歯磨きゲームを提供
4.APIを公開し、他の事業者にアプリ開発を促す

のようなステップになる。

しかし、データから得られるサービスを展開する上でのビジネスモデルはまだ発展途上のようだ。現状では、データを利用したサービスは無償で提供される場合が多く見られる。つまり、商品を購入すると、商品自体のコンテンツの他に、データによる追加のサービスやコンテンツが無料で利用できる(図2参照)。すなわち、従来の「一人の顧客にモノを一個売って完結」というビジネスモデルと根本的に同じである。

 

図2.従来の商品購入型のビジネスモデル

(図2.従来の商品購入型のビジネスモデル)

 

しかし、モノがインターネットにつながるこれからの時代においては、他の収益モデルも考えられるのではないだろうか。例えば、商品を購入し、ある程度データ関連のコンテンツを利用できるとして、月額使用料を別途支払うことでさらに追加のサービスを受けられるというもの(図3参照)。

モノの「ソフト面」が簡単に最新のものにアップデートでき、モノ自体が陳腐化しにくくなるからこそ、長期間収益の上げられるビジネスモデルを考えることが重要になってくる。将来的には、このようなビジネスモデルが増えてくるのではないだろうか。

 

図3.サブスクリプション型のビジネスモデル

(図3.サブスクリプション型のビジネスモデル)

 

次回は、第2回『スポーツ分野におけるIoTの事例』を掲載予定(近日公開)

 

シリーズへのリンクはこちら

第1回『IoTの概況』 ←今回
第2回『スポーツ分野におけるIoTの事例』
第3回『ファッション分野におけるIoTの事例』
第4回『ヘルスケアのIoT化』
第5回『飲食におけるIoTの動向』
第6回『総括:IoTの今後の可能性』

(出典)

みずほ銀行 産業調査部電機・IT・通信チーム(2015)「IoT(Internet of Things)の現状と展望―IoTと人工知能に関する調査を踏まえて―」

Emanuele Angelidis(2015)「IoT Startups Need To Consider Their Business Models Carefully」TechCrunch

Gordon Hui「How the Internet of Things Changes Business Models」Harvard Business Review

E!KANSAI 経済産業省近畿経済産業局ウェブマガジン(2015/4)「IoT/IoE時代の新ビジネスの可能性~中小企業でもはじめられるIoT/IoEビジネスとは~

 

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