7つのコア・コンピタンスを磨く、ワークショップの舞台裏。未来を切り拓くリーダーを発掘する「未来人材アセスメント」と「未来人材育成プログラム」とは(後編)

時代の変化に対応し、未来を担う人材の育成がますます重要性を増しています。D4DRが提供する「未来人材アセスメント」と「未来人材育成プログラム」は、新時代のトレンドに即した手法で大企業の事業部門や経営企画部からも注目を浴びています。後編では、企業のニーズに応じた具体的なアプローチやプログラムの特長に焦点を当て、未来人材を育成する鍵に迫ります。

人材の可能性を引き出す未来人材の育成プロセス

「未来人材育成プログラム」のアイディア創出プロセスについて、プログラムの特徴や流れについて教えていただけますか?

大きくわけるとワークショップは「①インプット」、「②個人の関心ワーク」、「③未来社会仮説ワーク」の3つのフェーズで構成されます。

「①インプット」では、未来視点の重要性やその意味に焦点を当て、参加者に未来志向の動機づけを促します。未来を見据えることがビジネスに及ぼす影響や重要性を理解することが、プログラムの出発点です。

当社の未来シンクタンク「FPRC(Future Perspective Research Center)」のリサーチ結果を元に、市場変化や新たなトレンドに関する情報を提供します。

次の 「②個人の関心ワーク」とは、先程の「自己成長の促進」に関わるプログラムでしょうか。

はい。ここでは未来事象のカードや社会課題、生活者のインサイトカードを活用し、参加者が自らアイディアを発散させ、深堀りします。自分ごととして捉えることが動機づけとなり、その後のワークについても主体的に関わるマインドセットを行います。

このフェーズでは、参加者が150を超える未来事象のカードや社会課題、生活者のインサイトに基づいて、独自のアイディアを創発します。各参加者が問題や課題に主体的にアプローチし、自らの視点を結集させることで、未来志向の事業アイディアが形成されます。

最後の 「③未来社会仮説ワーク」についても教えてください。

プログラムの中核であるこのフェーズでは、社会的意義、革新性、企業との親和性などの観点からアイデアの評価と絞り込みを行い、優れたアイディアをクラスタリングします。個人の発想を共有し、有望なアイディアを客観的に評価していく過程が、プログラムの魅力の一環です。

最後は広げたアイデアを具体的なビジネスモデルに結びつけます。ビジネスモデルキャンバスを活用し、ターゲットや提供価値の具体化、アライアンス先や技術の活用などを具体的に議論します。最終的に参加者同士のアイディアの共有や評価も含め、具体的なビジネスプランの骨子を完成させます。

未来社会仮説のワークは、参加者のコンピテンシーを育てるだけではなく、何が会社にとって重要なのか、を考えるチームや組織をビルドすることにも効果があります。

以上の各フェーズを通じて、参加者は通常の業務では得られない視点から、未来志向かつ実践的なアイディアを生み出していきます。プログラムを受講した人材が、より柔軟で未来志向なスキルを身につけ、自らの成長を促進できるようにすることで、組織全体の競争力、すなわち未来の課題への対処能力を高めます。

アセスメントは、ワークショップにどのように関わってくるのでしょうか。

アセスメントについては、ワークショップ実施前後の変化を可視化するために、ワークショップ前と後でアンケートを実施し、参加者の現状を分析します。

視覚的に変化がわかるので、ワークショップの効果を実感していただきやすいかと思います。

また、要望があれば参加者の「キャラクタータイプ分析」や「インパクトファクター評価」も行うことが可能です。

「キャラクタータイプ分析」ではたとえば各個人の特性の分析結果をクラスタリングし、「全体的な特性が高いタイプ」「一部の特性のみ高いタイプ」など、どのような人材が何人いるのかや組織・チームのバランスを知ることで把握します。

「インパクトファクター評価」では未来事象をインパクトファクターとして、組織の中の興味の分布を知り、これらのアセスメントと併用することでチーム編成や育成の方向性を明確にします。

6.他部署も巻き込み、未来志向の組織変革を牽引する

本プログラムの具体的な成果や、事例について教えてください。

ワークショップでは開催後の施策立案や機会の提供についても、一貫してサポートしています。たとえば人材開発の支援経験を基盤としたコンサルティング、社内組織の立ち上げ・活動支援など、未来創発の取り組みを多角的に支援しています。

とある企業では、参加者の方々がエバンジェリストとなって、未来の視点を持つ啓発活動を実践されるようにもなりました。このように、継続して活動することによる成果も徐々に見えてきています。

プログラムの参加者だけでなく、他の部署への影響も拡がっているということですね。

はい。「働きアリの集団」で例に出される「2:6:2の法則」というものがありますよね。

一般的に組織は、意欲的な上位20%、怠け者の20%、中間の60%に分かれる傾向が大きい、というものです。

一部の参加者が先進的な計画を実行しようとした際に、残りの8割が積極的に参加しないまでも、邪魔しないということが激しい変化に対応する上では非常に重要となるでしょう。

2割に入る参加者からまずはエバンジェリストを創り出すことで、企業内の未来志向を一層高め、組織全体で革新的なアイデアやプロジェクトが生まれる土壌を築くという意味でも、本プログラムの有効性は高いと考えています。

実際に参加された方のお声や、印象的なエピソードがあればお聞かせください。

未来事象のナレッジの網羅性は、よく参加者の方には驚かれます。最近も「2030~2040年の未来をイメージする所にいつも時間かかってしまうが、既にインプットとして未来事象がカードで整理されているという初の形式で、おかけで時間を有効に使えた」というお声を頂きました。

実は過去ご提案の際に、ワークショップが苦手という方にお会いしたことがあります。この方はワークショップといえば自分の発想をブレストして整理するKJ法のようなものだと考えており、自身の知識や経験を超えたアウトプットが出せないことに物足りなさを感じていました。

ですが、私たちのワークショップは体系化された知識をもとに参加者の発想を引き出す、いわゆる強制発想法を導入しているため、従来のワークショップに苦手意識をもつ方も含め、多くの方に参加意義を感じていただけるプログラムになっていると自負しています。嬉しいことに、「網羅性がすごい」という反応をよくいただき、嬉しい限りです。

参加者の満足度もほぼ90%を超えることが一般的です。「中長期での商品開発やプロモーション業務に活かせる」といった、マーケティングや戦略策定を行う部署からも高評価をいただいています。

ワークショップという場を最大限活かすための工夫はありますか?

ワークショップはチームビルディング、足並みを揃えたチームの形成、部署横断のコミュニケーションの活性化、コラボレーションの促進など、組織力の向上にも焦点を当てています。

目指す像の明確化や他部署との情報交換など、「普段業務ではわからないメンバーの価値観や考えを理解し、相互理解が深まった」といったような、お互いの認識や想いを話し合う、それ自体も価値になります。

そのためのマインドセットとして、ワークショップの時点ではマネタイズできるかどうかといった実現性に囚われないことや、人の意見を否定しないことをお伝えしたり、マインドが醸成される空間づくりについても意識したりしています。

直近のワークショップでは机を斜めにして実施したり、普段とは違ったフランクな雰囲気づくりを意識しています。些細なことですが、それだけでも「非日常感」が演出でき、お互いの顔も見えやすくなることでグループ間での意見交換もより活発になるんです。

6.本プログラムに興味がある方へのメッセージ

いま、企業環境は大きく変化しており、特に未来人材の確保と育成は重要なテーマとなっています。

SFプロトタイピングと呼ばれる手法は近年知られるようになってきましたが、これはSF思考で未来を描き、それを実際のビジネスに応用する手法です。個人の枠にとらわれない発想を促進し、未来の事業や未来を切り拓く人材を育てるのが、このプログラムの目的です。

まずは低コストでDX、SX(サステナビリティトランスフォーメーション)など時代にあった人材を育てたい、技術力やテクノロジーを駆使して有望な事業を創発する人材を育成したいなどの異なる課題に対し、オーダーメイドでプログラムを設計をご提供します。

また自走力や主体性を備えたグローバル人材や多様な人材の育成、マネジメントコストの削減などの抽象度の高いお悩みについても、ヒアリングを介して適したプランをご提案させていただきます。

プログラムはつねに改善を重ねており、今後他社や業界の傾向と自社を比較できるアセスメントといった、相対的な可視化ツールの開発も考えております。好奇心を刺激し、ダイナミックな組織を共に作り上げていくためにも、お気軽にご相談いただければと思います。(藤元)

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