都道府県別 観光客の動向調査 (Twitterビッグデータによる行動変化のSNS分析) 第3回 2020年12月

47都道府県の動向

 D4DRでは、観光地への往来が回復し、産業として復興するよう応援・確認する目的から、20年10月より47都道府県ごとのSNS上の観光話題の動向を定点モニタリングしている(対象のソーシャルメディアはTwitter、主に話題量の変化から状況を分析している)。

都道府県別 旅行・観光話題量の変化(前年同月比)

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シルバーウィークに交通機関の混雑が注目を集めた20年9月でも
宿泊数は前年の53%

 前月同様、まずは観光庁における都道府県別宿泊者の統計データを確認する。高速道路の渋滞や空港の手荷物検査の行列など、秋の大型連休中の交通機関の混雑が報じられた9月には回復傾向がみられたが、それでも宿泊利用は前年の53%にとどまり、依然回復途上であることがわかる(図1)。

図1 日本全国 宿泊者数推移

感染再拡大も、GoTo推進により10月からさらに回復。
Twitter上の47都道府県別の観光話題量を比較

 続いて、前回同様1か月に観光話題(”47都道府県名”、及び”観光”または”旅行”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外)が多くみられた都道府県を分析。 20年10月から11月の主要な関連動向は、以下となる。

・GOTOトラベルキャンペーンの東京都発着の対象化(10/1 ※予約は9/18開始)
・地域共通クーポンのスタート(10/1)
・GOTOイートキャンペーンのスタート ※上旬に”トリキの錬金術“が問題化(10/1)


・大阪、北海道の1日の感染者数が再び200人を上回る(11/10~12)
・東京の1日の感染者数が再び500人を上回る (11/19)
・GOTOトラベル対象の目的地から大阪、札幌の除外発表 (11/24)

  11月の話題量上位10のうち、大阪、京都では10月と比べ、約1万件の話題の増加が確認されている(図2)。

図2 話題量上位10都道府県(20年11月、10月)

前年11月の話題量を最も下回っていたのは?
話題量前年同月比からも、順調な回復傾向が窺われた

 次に、前年と比べて観光の話題発生の減少が大きい、特に課題のみられる都道府県を確認。20年11月の前年同月比ワースト10の都道府県を調査した(図3)。

 11月の前年同月比ワーストは山口で70.7%。10月に50%台だった沖縄と大阪は それぞれ前年比75%、91%まで改善している。

図3 話題量前年同月比ワースト10(20年11月、10月)

 参考までに図4では20年11月の話題量(縦軸)と前年同月比(横軸)の関係をマッピングしている。10月と比べて、100%を上回る都道府県が多くみられるようになった(前年同月比がワースト10の(=課題が窺われる)都道府県を赤字で示している)

図4 話題量(縦軸)×前年同月比(横軸)(20年11月)

11月の観光話題回復は”本物”か!?
追加調査の結果、休日の話題量不足と月末の急速な減少が確認される

 GoTo施策の推進が継続される中、上述の調査から話題量の順調な回復がみられている。一方で今回、11月初旬から感染拡大の報道が続いたが、その影響はなかったのだろうか。念のため20年11月、19年11月の日別の話題量推移から確認を行った。結果、21日からの3連休終了後、一部都市がGoTo対象から除外(決定) されたタイミングで話題の大きな減少が確認された。また、前年との比較からは、休日の顕著な盛り上がりに欠ける傾向もみられ、まだまだ本来の姿には遠いと捉えられる。

図5 11月の47都道府県名を含む観光話題量 日別推移(2020年、19年)

依然注目!コロナ禍で「各都道府県の観光客が少ない」とする言及が継続発生

 別の視点として、話題から各都道府県への観光客の「戻り」を把握するため、19年の平均観光話題量上位10都道府県初回記事にて選出)を対象に、客足のボリュームの印象に言及した内容に絞った調査も行っている(図5、 “都道府県名”、及び”観光客”または”旅行客”、併せて”多い””少ない”のキーワードを含むツイートを分析 ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外 )ダウンロード資料では全都道府県掲載!

※例:次のようなツイートを調査

図6 観光客・旅行客量の言及出現数(19年観光量上位10都道府県)

 感染再拡大禍でもGoToトラベルの継続により、観光関連話題が回復した20年11月も、上位10都道府県の多くで、旅行客・観光客について引き続き”少ない”とする言及が多い状態が確認され、以下のようなツイートがみられていた。

 20年12月上旬時点では、入院中や療養中の感染者が20,000人、重症患者数500人、1日の死亡者数が30人を超え、いずれも緊急事態宣言下の数値を上回っている。これらの感染状況と、前月下旬から一部の都道府県がGoTo対象から除外されたことは、回復途上の客足にどのような影響を及ぼすのか。D4DRでは引き続き、月1回Twitterを対象に前月分の定点調査結果を公開し、数値から復興の動向を継続的に分析していく。

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Ichiko Oki

ソーシャルメディア分析を専門領域に、投稿をもとにした実践的な生活者のインサイト抽出・提案を得意とするデータアナリスト。2018年11月よりD4DR 札幌リサーチセンター開設・室長。

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