SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)市場の現在と今後の方向性

サステナビリティ(持続可能性)の重要性がますます高まる中、企業のビジネスとESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図り、 経営の在り方や投資家との対話の在り方を変革するための戦略指針として、「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」が脚光を浴びています。

日本国内のSX市場は着実に成長しており、さらなる拡大が期待されています。エネルギー効率の向上、廃棄物削減、サプライチェーンの透明性の確保など、SXにはさまざまな取り組みアプローチが存在します。一方で、技術的、組織的な課題や、国際的な基準の確立の難しさなど、課題も存在します。

本記事では、SX市場レポートとして、SXの市場規模、企業各社の現状の取り組み、そして今後の方向性をまとめていますので、ご参考としてください。

SXとは、GXとの違い

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは、企業が「持続可能性」を重視し、企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図り、 経営の在り方や投資家との対話の在り方を変革するための戦略指針です。そして、デジタル化(DX)など、SXを推進をITによって後押しするサービスが「SXソリューション」であり、企業のSXを支援するためにSIer/ITベンダー各社から多くのソリューションが提供されています。

一方で、GX(グリーン・トランスフォーメーション)とは、SXの対象とするESGの「E(環境)」にフォーカスした取り組みです。化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動をさします。

日本企業では、カーボンニュートラルなど、主にGX(環境への配慮)に注力する傾向が見受けられますが、海外、特に欧州では環境への配慮を含めたESG(SX)という広いスコープで取り組みが進められています。

SX、GXの市場規模、成長の影響要因

SX市場(GX含む)は年々伸長しており、富士通の試算によると、2025年のグローバルでのSX市場規模は約8兆円に達すると見込まれています。SXソリューション(GX含む)は、ソフトウェア、ハードウェア、コンサルティングに大別されますが、国内外において、いずれのソリューションも今後の成長が見込まれています。

この市場成長を支える影響因子をいくつか紹介します。

(1)企業への浸透

持続可能性の重要性の高まりが企業に浸透するにつれて、ますます多くの企業が取り組みを強化していきます。

国内産業分類36業種ごとに時価総額上位5社(計180社)のIR資料では、100%の企業がSXあるいはGXに準ずる内容を言及しています。

(2)サプライチェーンの確保

自然災害や地政学的なリスクの高まりにより、サプライヤーやパートナーとの協力によって、持続的なサプライチェーンの構築が求められています。

(3)生活者の意識の高まり

生活者においても環境や社会へ配慮する意識が高まっており、SDGsへの取り組みが商品・サービスの選定基準の一つとなってきています。

特に、サステナビリティの考えが周知された環境下で過ごしてきているZ世代以下では、サステナビリティへの意識は特別なことではなく、当たり前にあるものとして捉えられていると考えられます。

(4)投資の活発化

投資家が、サステナビリティに取り組む企業に対してプレミアムを付与し、より多くの資金を提供する傾向があり、企業は獲得した資金でSXへの取り組みをさらに加速しています。

(5)技術革新

デジタルテクノロジーの進化によって、より効率的かつ効果的に環境への負荷軽減やサプライチェーンマネジメントが実現できるようになっています。
また、SXソリューションの多様化によって、大企業だけではなく、中小企業においてもSXに取り組める環境が整ってきています。

他にも政府の積極的な支援、SXを新たなビジネスチャンスとして捉える動きなど、様々な要因が相まって、市場成長を後押しする形となっています。

SX市場構造と企業の取り組み

企業活動におけるSX(GX含む)への取り組みには、バリューチェーンの観点が求められます。製造過程におけるCO2排出削減の取り組みなどの一局面だけでは限界があり、また企業活動全体の持続可能性が担保できません。

企業活動を総合して環境負荷低減を実現するカーボンニュートラル、あるいは多様な人材活用のためのダイバーシティ&インクルージョン、投資家への説明責任を果たすための可視化&レポーティングなど、バリューチェーン全体を俯瞰し、体系的にSX(GX含む)に取り組んでいくことが求められています。

バリューチェーンのSXを実現するSXソリューション

では、企業がSXに取り組むためには、どのようなソリューション(SXソリューション)が存在し、活用できるのでしょうか。

ここからは、バリューチェーン全体の戦略・管理、あるいは各フェーズにおいて有効なSXソリューションを紐解いていきます。

本記事の続きは、詳細資料「SX市場レポート ~企業の取り組みとSXソリューションの現在と今後の方向性」をご覧ください。

資料は以下よりダウンロードいただけます。

SX市場レポート

■ SX/GX市場動向
・SX/GXとは
・SX/GXの市場規模

■ 市場構造と企業の取り組み
・バリューチェーンにおけるSX/GXの取り組み
・SX/GXの取組み企業事例

■ SXソリューションの現状
・SIer/ITベンダー(13社)の提供ソリューション
・SIer/ITベンダー(13社)のポジショニング

■ 今後の方向性
・主要SIer/ITベンダーの今後のSX/GX市場への取組み見込み

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Mikio Aaskawa

マーケティングエージェンシーや制作会社にて各種リサーチ・分析業務を経験した後、2009年よりD4DRのシニアアナリストとして、データドリブンのマーケティング支援に従事。現在はプリンシパルとなりプロジェクトリーダー兼アナリストとして、顧客視点で企業のマーケティング戦略立案や課題抽出、アクションプラン立案を支援している。

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