ID-POSとは?ID-POSデータを活用したマーケティング事例(第2回)
はじめに
前回のID-POSに関するブログは2月でした。ちょっと間が空いてしまいましたが、2回目は、実際の買い回りを見てみたいと思います。
最近、天海祐希さんと沢村一樹さんが出演しているCMで、「レモンチューハイは甘いから食事に合わない」という沢村さんに対し、天海さんが「飯にも合う」と言ってレモンチューハイを勧めるCM(映像はこちら→ https://www.youtube.com/watch?v=4C6b3dmGUoo)を覚えていらっしゃる方も多いと思います。
このCMはサントリーが販売している「-196℃ストロングゼロ レモン」という商品です。
このCMでは「-196℃ストロングゼロ レモン」は食事に合うと生活者に訴えていますが、本当に生活者に響いているのかを確認してみましょう。
今回対象とした「-196℃ストロングゼロ レモン」とビールトップシェア「アサヒスーパードライ」と缶チューハイトップシェア「キリン本搾りチューハイレモン」の3つのアルコール飲料が、主に食事用に販売されている食品スーパーの総菜や弁当とどれくらい一緒に購入されているのかを比較分析したいと思います。
実際に同時に購入されている商品
確認するために、ID-POS分析ツール「real shopper SM ver2.4」(※)を利用し、2018年1月1日から4月30日までのID-POSデータを分析してみます。
今回選んだ商品は、いろいろなサイズやご当地パッケージなど多種多様となっていますので、今回はオーソドックスな350ml缶を購入した人の状況を比較してみます。
また、データはIDを回収しているお客様(各小売店が発行している会員カードの保有者)だけなので、実際の購入数等は少なくても3倍以上存在します。
各飲料の購入者は、どれくらい総菜を一緒に購入しているのか?
グラフ1をご覧ください。
2018年1月1日から4月30日までの4か月間の3商品の「のべ購入回数」は、アサヒスーパードライが最も多く、23万3000回ほど購入されています。
次いでキリン本搾りチューハイレモン缶で18万8000回ほど、一番少ないのは-196℃ストロングゼロダブルレモンで17万5500回程度となっています。
しかし、総菜を同時購入している人の比率は、アサヒスーパードライがトップで購入回数のうちの6.4%は総菜と一緒に購入されています。
同様に-196℃ストロングゼロダブルレモンで6.1%、キリン本搾りチューハイレモン缶では5.3%となっていて、-196℃ストロングゼロダブルレモンとキリン本搾りチューハイレモン缶では、0.8%の差が付いています。
食品スーパーの購入回数において0.8%は大きな差であり、今回でいえばキリン本搾りチューハイレモン缶と-196℃ストロングゼロダブルレモンでは5カ月で705回も-196℃ストロングゼロダブルレモンが多く購入されている計算となります。
しかも、同時に購入される総菜の中で、食事そのものと言える弁当の比率は、アサヒスーパードライと総菜を同時購入する人のうち34%にも及んでいます。
同様に-196℃ストロングゼロダブルレモンでは、アサヒスーパードライほどではないですが、31.7%と総菜購入者の約1/3の人が弁当を購入しています。
キリン本搾りチューハイレモン缶では、21%程度とアサヒスーパードライ、-196℃ストロングゼロダブルレモンとは大きな差となっています。
-196℃ストロングゼロダブルレモンと総菜の同時購入は定着しているのか?
次にグラフ2をご覧ください。
2019年1月1日~同年4月末日の4カ月の間に4回以上総菜と同時購入した人の比率は、アサヒスーパードライではほぼ半数、-196℃ストロングゼロダブルレモンでは36%、キリン本搾りチューハイレモン缶は23%となっています。
ビールほどではないですが、-196℃ストロングゼロダブルレモンも総菜と同時に購入することが定着してきていると言えそうです。
まとめ
以上のことから、少なくても食品スーパーでの-196℃ストロングゼロダブルレモン購入行動では、CMでアピールしているような「食事と一緒に」が功を奏して生活者は-196℃ストロングゼロダブルレモンと食事を一緒に食べるという生活パターンが定着してきていると言えそうです。
このようなことが明確になったことにより、弊社のコンサルタントは、小売店やメーカーの販売促進部隊に「このデータから、-196℃ストロングゼロダブルレモンに総菜や食事の日配品の割引クーポンをつけると相乗効果が見込めます。売り上げにして○○%は向上する計算となります」などといった具体的な施策提案が可能になります。
今回は初歩のデータの分析をご紹介しましたが、real shopper SM ver2.4では、「いつ」「何が」「いくらで」「誰に」「どのように」「何と一緒に」といった、もっと深~い購買行動情報が把握できます。
ID-POSをマーケティングデータとして活用する利点は各データが個人(個人情報には結び付きませんが)のデモグラフィックまで到達することができるので、より生活者の行動に沿った施策を考えることができるということでしょう。
※「real shopper SM ver2.4」は株式会社ショッパーインサイト(東京都港区 代表取締役社長 石川 茂樹)が提供しているID-POS分析ツールです。
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