フードロス・フードウェイスト対策の広がりとは?
日本では年間約646万トンの食品廃棄物が発生しており、その削減が急務となっている。食品廃棄物には、サプライチェーンでの廃棄(フードロス)と消費段階での廃棄(フードウェイスト)の2種類がある。
食料不足対応や自給率向上の観点でも課題が山積しており、AI予測による需要最適化、フードシェアリングアプリ、未利用食材の加工など、様々な革新的サービスが登場している。
予想される未来社会の変化
- 人口の増大、気候の不安定化を背景に、食糧不安の増加と価格高騰が予想される
- エシカルな消費を求める意識も高まり、フードロスの削減が社会で広く議論される
- デジタル技術の高まりによりサプライチェーン、需給状況の可視化がより進展する
- フードロスの軽減が事業者視点、消費者視点両面で推進され、関連サービスが増加する
トレンド
・FAO(国際食糧農業機関)によれば、消費者の手元に届く前の生産や加工、流通における事業者間で発生する食料廃棄物を「フードロス」、小売業者や飲食店、消費者個人において生じる食料廃棄物全般を「フードウェイスト」と定義している。つまり、フードロスとフードウェイストはフードサプライチェーン上での違いがある。また、農林水産省は両者を合わせて「食品ロス」と呼び、FAOは“Food Loss and Waste”としている。
・日本では、年間646万トンのフードロスが発生。その量は世界の食糧援助量の1.6倍で、1人1日茶碗1杯分にのぼる
・世界人口は2050年、2000年の1.6倍の98億人になると予想され、食料の安定供給をどのように実現していくかが課題となっている。
また、国内の食料自給率はカロリーベースで約40%にとどまり、食料自給率の向上のためにも、フードロスを減らしていくことが求められる。
・フードロスの削減には、これまで捨てられていた食品を消費することや、食品のリサイクルを実施することが重要である
・フードロスの削減に貢献するサービスが数多く登場していくことが予測される
・コークッキング社の「TABETE」は、飲食店で廃棄が近づいている食品をTABETEに掲載することで、それを食べたいユーザーとマッチングできるフードシェアリングサービス。2020年2月までに、約10トンの食品が廃棄の危機を免れたという
・ECサイトのクラダシは、新型コロナ感染拡大により生じた飲食店やホテルのフードロスを改善するため、賞味期限切れが近づく食品を中心に扱うサイトを開設。
基本的には在庫を持たず、商品が売れればメーカーから宅配業者を通じ、購入者の元へ届けられる仕組み。通常価格の65%オフ前後で販売しているものが多く、販売価格の3~5%は社会福祉や環境保護などの支援団体へ寄付される。
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