a-35 : 人造臓器(オルガノイド・毛髪臓器など)

人造臓器(オルガノイド・毛髪臓器など)とは?

  1. 人造臓器は、再生医療や創薬分野で急速に進展している技術で、ヒトの臓器機能を人工的に再現・代替することを目的とする。
  2. 幹細胞(iPS細胞など)から、臓器や組織の一部を人工的に作製する技術であり、ミニ臓器(腸・肝臓・脳など)を3D培養で再現したオルガノイドの研究が加速している。
  3. 毛髪臓器は毛根(毛包)を人工的に再構築する技術であり、単なる植毛ではなく「毛を生み出す器官」を再生することが可能である。脱毛症治療や美容医療に役立てられることが期待される。
  4. 将来的には移植医療の変革(ドナー不足の解消・拒絶反応の低減)、創薬の効率化、個別化医療(患者ごとに「自分専用の臓器モデル」を作成)などが期待されている。

トレンド

オルガノイド利活用サービス「OrganoInsight™」

出典:PR TIMES『日本初、オルガノイド利活用サービス「OrganoInsight™」を提供開始 ~高品質バイオリソースとリアルワールドデータの融合で、創薬・個別化医療に新たな価値を創出~』

新医療リアルワールドデータ研究機構とKBBMは、日本初となるオルガノイド利活用サービス「OrganoInsight™」を提供開始。

京都大学医学部附属病院や医療機関と連携し、患者由来の高品質バイオリソースから作製したオルガノイドと、診療情報などのリアルワールドデータ(RWD)を組み合わせて提供する日本初のサービス。

これにより、薬剤スクリーニング、バイオマーカー探索、適応拡大、被験者選別など様々な創薬プロセスに応用でき、医薬品開発の成功率向上、コスト削減、治験効率化、個別化医療実現への寄与が期待されている。

まずはがん領域を中心に導入を進め、将来的には希少疾患など他領域への展開も目指している。

肝細胞オルガノイド

出典:PR TIMES「肝臓再現したミニ臓器 慶応大など作製、創薬研究に活用」

出典:慶応義塾大学「代謝機能を保持した肝細胞オルガノイドの効率的培養法の開発-創薬研究や疾患研究、再生医療の基盤技術として期待-」

慶應義塾大学とJSRは、肝臓の働きや構造を再現した「ミニ臓器」(オルガノイド)を成人の肝細胞から作製することに成功した創薬研究で候補化合物の毒性を調べる用途や、肝臓の病気の病態解明などに役立つ見込み。

従来の方法では、成人肝細胞の体外増殖は困難であり、その過程での肝細胞の機能喪失が問題となっていた。本研究チームは、新たな培養技術を確立し、成人の肝細胞をオルガノイドとして百万倍以上に増殖させることに成功した。

さらに分化肝細胞オルガノイドは、胆汁を排泄する毛細胆管を作り、生体内に匹敵する薬物代謝や脂質代謝機能を示した。この肝細胞オルガノイドを肝傷害モデルマウスに移植することで、肝細胞オルガノイドは周囲のマウス肝細胞と馴染むように生着し、肝臓機能が回復することを確認した。

多彩な機能を有した肝細胞オルガノイドは創薬研究や疾患研究、そして再生医療への展開が期待される。

ミラースキン™

出典:PR TIMES「ミラースキン™を進化させ、より本物に近い皮膚構造の再現に成功。究極のテーラーメイド化粧品の創出を目指す」

ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業では一人ひとりの皮膚の個性に対応する「究極のテーラーメイド」化粧品の提供を目指し、その人の皮膚を体外で忠実に再現した皮膚オルガノイドである“ミラースキン”の作製に取り組んでいる。

ミラースキンは、個々人の細胞からiPS細胞(さまざまな細胞に分化することのできる人工的に作製された多能性幹細胞。体の細胞から作ることができる。)を作り、適切な環境で分化させて作られる。

本物のヒト皮膚のように表皮を外側にした平面構造のミラースキンを作製することに成功し、アップデートモデルとして“ミラースキン2.0”と名付けられた。

ミラースキン2.0は構造・機能の両面でヒトの皮膚をリアルに再現していることから、化粧品のパーソナライズ化を進化させる技術の中心的存在となるだけではなく、皮膚を対象とした研究や産業など、幅広い分野で活用されることが期待される。