エネルギーコストのゼロ化とは?
再生可能エネルギー利用が拡大することで、エネルギーのコストが大幅に下がる可能性がある。近年、太陽光発電・風力発電のコストは大幅に下がっている。広大な砂漠地域では、大規模な太陽光発電により電力需要を十分に賄える可能性が高まっている。一方、地理的制約のある日本では、海外からの再生可能エネルギー輸入(例:液体水素形態)などの方策が検討されている。
予想される未来社会の変化
- 超伝導送電網が整備され、エネルギーの長距離輸送損失がほぼゼロになる
- エネルギー貯蔵技術が飛躍的に向上し、再生可能エネルギーの変動性問題が解決される
- AIによる需給最適化が極限まで進み、エネルギーの無駄がほぼ完全に排除される
トレンド
戸建て住宅向けエネルギーマネジメントシステム「AAKEL eFlex」の製品化に向けた実証

アークエルテクノロジーズとエコワークスは戸建て住宅向けエネルギーマネジメントシステム「AAKEL eFlex」の製品化に向けた実証をモデルハウスで行っている。
アークエルは、太陽光発電と蓄電池、エコキュートを所有する戸建住宅向けに、電力を最大限効率的に活用するエネルギーマネジメントシステム「AAKEL eFlex」を開発しており、電力市場価格、消費電力量、太陽光発電量の予測データを組み合わせ、電力使用を最適に制御することで、経済性と環境負荷の双方を考慮したエネルギー利用を実現する。電気料金の安い時間帯にエコキュートを活用してお湯を沸かすほか、日中に発電した太陽光エネルギーを蓄電池に蓄えたり、EVに充電した電気をV2H機器を介して夜間に活用したりするなど、家庭内のエネルギー活用を効率化する。
今回の実証でデータを蓄積し、テクノロジーの力でゼロコストの太陽光発電のみでエネルギーが賄われ、さらには余剰電力の売電により収益化できるLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス:居住期間だけでなく建築・解体時のCO₂排出量もゼロ以下に抑える)住宅を目指す。
AiSEG3

パナソニックの「AiSEG3」は、家庭内のエネルギー機器を統合的に制御し、エネルギーコストのゼロ化を目指す先進的なHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)。太陽光発電、蓄電池、エコキュート、EV充電器などと連携し、発電・蓄電・消費を最適化。特に太陽光の余剰電力を自家消費へ最大限活用することで、電力会社からの買電量を大幅に削減できる。
また、時間帯別電力使用の見える化や、AIによる最適制御により、無駄な電力使用を抑え、日常的な節電効果を高める。
さらに、停電時の自立運転やピークカット制御にも対応し、災害時にも安定した電力供給を確保。これらの機能を通じて、家庭のエネルギー自立性を高めつつ、電気料金の削減=エネルギーコストのゼロ化に向けた具体的な手段を提供する。
北海道・下川町の森林資源を活用した木質バイオマスによる熱供給システム

北海道下川町は、森林資源を活用した木質バイオマスによる熱供給システムを地域全体に導入し、公共施設や福祉施設など30か所以上で自家熱供給を実現している。
重油などの化石燃料に頼らない仕組みにより、燃料費の外部流出を抑制し、2023年2月時点の化石燃料の価格と比較すると、年間約4,000万円の燃料コスト削減につながっている。地域内で未利用材をエネルギー資源として循環利用することで、エネルギーの自給率向上と同時に、外部購入エネルギーへの依存を減らし、運用コストの実質的なゼロ化に近づいている。
さらに、エネルギー供給によって得た収益を地域経済へ還元する構造を確立し、経済的・環境的に持続可能なモデルを形成。
一の橋地区の「バイオビレッジ」では、エネルギー自立型住宅と集中熱供給により、住民のエネルギー負担の最小化も実現。
今後は、ボイラーの更新時期の2035年前後に向けて、一定地域内の建物群に、熱供給設備から温水や蒸気などを熱導管を通して供給し、暖房や給湯などを行う「地域暖房」の実現を目指している。
再生可能エネルギーによる発電コストの大幅な低下
太陽光や風力発電のコストは、ここ10年で圧倒的に安価になった。例えば、太陽光の発電コストは10年前は石炭の単価の4倍だったが、今は4分の1ほどに下がっている。

出典:Our World in Data「Why did renewables become so cheap so fast?」
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