d-28 : AI時代の人間固有の価値や能力の追求・育成

AI時代の人間固有の価値や能力の追求・育成とは?

予想される未来社会の変化

  1. AIの登場により、AI時代の人間固有の価値や能力の追求・育成の需要が急速に高まっている。
  2. 博報堂DYグループでは、「Human-Centered AI(HCAI:人間中心のAI)」として、AIを単なる効率化・自動化の手段と捉えるのではなく、「人間らしさ」や「問いを立てる能力」を起点に、AIと人間が協働して未知の解を生み出すアプローチを提唱している。人間がやりたいことを第一に考え、AIの力で生産性や創造性を高めたり、業務領域を広げていく必要性を説いている。
  3. デロイト トーマツ コンサルティング合同会社では、AIネイティブ人材(技術領域の専門家として、高度なAIシステムの開発・運用を担当する人材)以上に、Bridge / Hub人材(ビジネスとテクノロジーの橋渡し役として、AI活用の企画・推進・成果創出を担う人材)の必要性を主張している。AIエージェント時代に向けたスキルとして、AIエージェントに明確な指示を与えるゴール設定力、適切なコンテキストでタスクを実行させる文脈設計力、AIから価値ある回答を引き出す質問力、そして経験知をデータ化する暗黙知の形式化能力が挙げられている。

トレンド

Human-Centered AI(HCAI:人間中心のAI)

出典:博報堂「AIとともに未来の社会はつくれるのか? - 人間中心のAIと別解をつくる、Human-Centered AI -【生活者インターフェース市場フォーラム2024レポート】」

「Human-Centered AI(HCAI:人間中心のAI)」とは、AIを単なる効率化・自動化の手段と捉えるのではなく、「人間らしさ」や「問いを立てる能力」を起点に、AIと人間が協働して未知の解を生み出すアプローチである。

例えば、博報堂DYグループでは、AIを「“正解”を出す機械」として使うだけではなく、「AIはもう一つの可能性=別解を出す技術」と捉え、人間中心のアプローチをとる必要があると提唱している。

具体的には、人間がやりたいことを第一に考え、AIの力で生産性や創造性を高めたり、業務領域を広げていく。あるいは、AIに自らのアイデアを検証してもらったり、別のアイデアをサジェストしてもらうことで壁打ちを行い、創造性を広げていく。さらにはそのようなAIが基盤となり、部署や領域の異なる人たち同士が、境界をこえて、新たなコラボレーションを実現していく。このような方向でこそ、AIを活用していくべきではないかと表明している。また、「人間中心のAI」のビジョンは、「AIの信頼性」と「人間の創造性の進化・拡張」という二重のループであらわすことができるとも示している。

このように、人間固有の想像力・問いかけ・共感力を育みながら、AIと共に「人がやりたいこと」「人ならではの価値」を拡張していくことで、真に“人間中心”の社会デザインが実現されると考えられている。

「Prove Human Pop-up by Done」のキャンペーン

出典:PR TIMES『「私はロボットではありません」AI時代に人間らしさを問う「Done×World」のコラボレーションアイテムを発表』

DiGGが展開する古着を現代のスタイルにアップデートするre-editプロジェクト「Done」と、AI時代における人間であることの証明(Proof of Human)を提供するWorlが共同で行うキャンペーン「Prove Human Pop‑up by Done」では、より深く“人間である意味”に踏み込んだクリエイションを展開している。

特にファッション業界では、転売ボットの台頭で「本当に欲しい人が買えない」という課題が顕在化している。 大量の架空アカウントを用いた買い占め・転売を抑止し、「World ID」で認証された実在する人間だけが、一人につき一度だけが購買体験できる。この仕組みは、AIが進化する時代のショッピングを支える新たなモデルとして、世界的に注目を集めている。

パープルピープル

出典:デロイト トーマツ「AI時代に求められる人材とは」

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が提唱する「パープルピープル」とは、ビジネス知見(青)とテクノロジー知見(赤)を併せ持つ人材を指す。

パープルピープルに求められるスキル要素として、ビジネス側では戦略立案、インサイト創出、顧客体験デザイン、プロジェクトマネジメントが挙げられる。テクノロジー側では、AIエンジニアリング、アーキテクチャ構想、セキュリティマネジメント、プロンプトエンジニアリングが必要となる。技術的な知識だけでは、AIの真の価値を引き出すことは不可能であり、ビジネスの文脈を理解し、現場の課題を技術で解決できる人材こそが、AI時代の競争優位を生み出すとされている。

また、多くの企業がAIネイティブ人材(技術領域の専門家として、高度なAIシステムの開発・運用を担当する人材)の確保に注力しているが、実際に最も重要なのはBridge / Hub人材(ビジネスとテクノロジーの橋渡し役として、AI活用の企画・推進・成果創出を担う人材)であり、この層を厚くすることが、AI活用による変革を推進する鍵となると指摘する。

特に、AIエージェント時代に向けたスキルとしては、AIエージェントに明確な指示を与えるゴール設定力、適切なコンテキストでタスクを実行させる文脈設計力、AIから価値ある回答を引き出す質問力、そして経験知をデータ化する暗黙知の形式化能力が挙げられている。

AIが進歩すればするほど人間にしかできない能力の価値が高まっており、AI人材育成においてもこの点を見失ってはいけないと警告している。