メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上で構築された仮想空間のことである。メタバースは、様々なデジタル技術を組み合わせて作られている。主にバーチャルリアリティ(VR)、オーグメンテッドリアリティ(AR)、人工知能(AI)、ブロックチェーン技術などの技術で構築される。
このメタバース空間でできることは、現実の制約を超えた様々な体験である。例えば、アバターを使って現実にはできないような自由な行動をすることや、簡単に自分の空間を自由にカスタマイズすることができる。また、他の人たちと一緒に仮想空間で遊んだり、交流することも可能である。現在は主にゲームの世界で利用されているが、教育やビジネス、医療など分野でも応用が始まりつつある。
メタバースにおける法的整備は追いついておらず、プライバシーやセキュリティ、商取引時などに関する課題も存在する。また、VRデバイスはコア層しか持っておらず、一般向けのデバイスとして普及していないことも課題となる。
しかし今後ますます発展していくことが予想されており、将来的には、現実世界とメタバースが融合し、より多くの人たちが利用できるようになることが期待される。
予想される未来社会の変化
- コロナ禍で対面コミュニケーションが減少するなかで、メタバース空間の活用が広がる。
- メタバース空間が普及することで、生活の一部をメタバース上で送る人が増加する。
- 物の売買など、現実空間で行われることが、メタバース上で当たり前に実現する。
トレンド
バーチャル万博 ~空飛ぶ夢洲~

世界とつながる「空飛ぶ夢洲」で新たな万博体験を』
バーチャル万博は、2025年大阪・関西万博のデジタル版であり、世界中の人々が時間や場所の制約なく参加できる新しい形の万博体験を提供する。
このバーチャル会場「空飛ぶ夢洲」では、アバターを操作して3DCGで再現されたパビリオンやイベント施設を巡ることができ、リアル会場と同様のテーマに基づいた展示や、バーチャルならではのインタラクティブなコンテンツを楽しめる。
バーチャル万博は、スマートフォン、PC、VRデバイスなど多様な端末に対応しており、誰でもアクセス可能。
また、AIナビゲーション機能「パーソナルエージェント」が、来場者の興味や行動に基づいて最適な体験を提案し、効率的な巡回をサポート。
この取り組みは、リアルとバーチャルの融合によって、より多くの人々が万博の理念や未来社会のビジョンに触れる機会を創出し、持続可能な社会の実現に向けた共創の場となることを目指している。
東京都江戸川区の「メタバース区役所」

東京都江戸川区は、来庁が困難な区民への行政サービス提供を目的に、2023年9月に全国初の「メタバース区役所」構想を発表。 障害者団体との協力による実証実験を経て、2024年6月から教育、子育て、健康、福祉、生活の5分野で運用を開始。 区民はアバターを通じてメタバース上の区役所を訪れ、区職員(アバター)と相談や電子申請を行うことができる。
この取り組みは、行政手続きのバリアフリー化を目指し、臨場感のある仮想空間での一貫したサービス提供を実現している。
今後は運用日数の拡大や新庁舎のメタバース化、AI活用による24時間対応を計画しており、行政サービスのさらなる利便性向上が期待されている。
House of Photography in Metaverse(HoP in Metaverse)

富士フイルムが2024年2月に公開した「House of Photography in Metaverse(HoP in Metaverse)」は、写真愛好家向けのWebメタバース空間。
このプラットフォームは、物理的な距離や時間の制約を超えて、ユーザーが写真に関するさまざまな体験を共有できる場を提供している。
HoP in Metaverseは、以下の5つの主要エリアで構成されている:
- エントランスホール:全エリアへのアクセスゲートがあり、イベント情報や製品紹介が表示される。
- X/GFXショールーム:富士フイルムの最新カメラやレンズを展示し、製品情報を提供。
- ギャラリー:「クラシックギャラリー」と「パノラマギャラリー」の2種類があり、高品質な写真作品を鑑賞できる。
- コミュニティエリア:ユーザー同士が交流できるスペースで、写真に関する情報交換やイベントが行われる。
- アリーナ:フォトセミナーやトークショー、新製品発表会などの大規模イベントが開催される。
ユーザーはアバターとして参加し、音声通話やリアクション機能を通じて他の参加者やコンシェルジュとコミュニケーションを取ることができる。
また、FUJIFILMメンバーズに登録することで、より多くのサービスやイベントにアクセス可能となる。
このメタバース空間は、富士フイルムがこれまで運営してきた直営写真店「House of Photography」や「Wonder Photo Shop」のサービスを、オンライン上で再現・拡張したものとなっている。
Facebookの社名変更

2021年10月にFacebookが社名をメタバースに由来する「メタ(Meta)」に変更したことが注目を集めた。同社はメタバースの構築と関連サービスの拡充に注力すると発表した。
マーク・ザッカーバーグ氏は、メタバース空間をスマートフォンに次ぐ将来のプラットフォームと位置付けており、毎年、メタバースへ100億ドル(約1.5兆円)を投資していくことを宣言している。
ナイキが仮想空間で使用するロゴの商標登録

大手企業によるメタバース上でのビジネス展開に向けた取組も行われている。ナイキは、オンライン仮想空間で使用するためのロゴとスローガンの商標登録を行った。メタバース等でのブランド展開の準備と見られる。また、ナイキは2019年に靴をNFTとリンクする特許も取得している。
メタバースのショッピングモール「そらのうえショッピングモール」
2022年4月1日、monoAI Technology株式会社とベネリックデジタルエンターテイメント株式会社は、協業によりメタバースのショッピングモールをオープンした。「ジブリがいっぱいどんぐり共和国」や「トミカショップ」など、キャラクターショップをメタバース上に25店舗展開している。店舗内に表示されているタグをクリックするとECサイトに移行しショッピングを楽しむことができる。Vtuberの人気投票や自身のアバターとの撮影イベントなど、メタバースならではのイベントも開催されている。
メタバースで農業体験「META田植え」
2022年9月から10月にかけて、新潟県新発田市の農家とweb活用経営株式会社が、メタバースアプリ「Spatial」田植えイベントを行った。23名が参加し、一人一人が空き時間にログインして苗を植えていく。最終日には苗を稲穂に変換する作業を行い、富士山が描かれた田んぼのアートが完成した。また、集合写真がNFTになり、後日農家から新潟県産のコシヒカリが届くなど、仮想空間と現実を掛け合わせたプロジェクトが成功した。
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