未来社会でドローンは日常に溶け込むのか?
国内外で急速に活用が進んでいるドローン。2021年度の国内のドローンビジネスの市場規模は2308億円で、前年度から25.4%成長している。2022年12月にはレベル4(有人地帯における目視外飛行)が解禁され、さらに活用が広がっていくことが予想される。2027年度には8000億円規模に広がると予測されている。(出典:インプレス総合研究所『ドローンビジネス調査報告書』)
現在は、点検、測量、農業、空撮などの分野から活用が広がりつつある。物流分野では、まだ実証実験段階ではあるが、地方での定期便などが始まっており、実用化される日も近い。
ドローンが活躍する未来社会では、人手不足問題や危険を伴う作業からの開放、過疎地の高齢者の買い物支援など、日本社会が抱える社会課題の解決に対する影響が大きい。現段階では、機体の性能や法的制度の整備など課題も多いドローンではあるが、10年後にはスマートフォンのように必要不可欠な存在となり得る可能性が高い。
予想される未来社会の変化
- ドローン操縦に特化した人材のニーズが高まる。
- AR(拡張現実)とドローンが融合することで、体験の幅が大きく広がる。
- 各ドローンの画像や飛行データから3D地図データの更新・詳細化が行われる。
- ドローンによるデータ取得で、街のデジタルツイン化を促進する効果も期待できる。
- ドローンが感染症のパンデミック防止の手段として活躍する。
トレンド
経済産業省「空の産業革命に向けたロードマップ2022」
2022年12月5日より、ドローンを有人地帯で目視外を飛行させる「レベル4」が可能となった。経済産業省が公表している「空の産業革命に向けたロードマップ2022」では、「ドローンがより効果的に社会に貢献する未来を実現する」ことを掲げ、農林水産業、災害対応、警備業、測量、医療の各分野におけるロードマップを策定している。
長崎県五島市でもサービス開始 米国発医療品配送ドローン「Zipline」
2014年に米国で創業したスタートアップ企業のZiplineは、ルワンダやガーナなど配送網が発達していない農村部へ医療物資のドローン配送を提供している。最大85kmの距離まで配達ができるため、使用期限の近い血液などを短時間で届けることができるため、地域ごとの医療格差を縮小させられる。
また、Ziplineはウォルマートと提携し、ヘルスケア用品など健康関連の商品をドローン配送している。アメリカのアーカンソー州のピーリッジの住民はオンラインで注文し、当日中に受け取ることができる。日本では、豊田通商とZiplineが提携し、長崎県五島市でZiplineを用いた医療用医薬品配送サービスが展開されている。
立命館大学 ドローンで大学内警備の実証実験
ALSOKが立命館大学びわこ・くさつキャンパスでドローン3機を使い、大学内を監視する実証実験を行った。ドローンを地上10mまで高度を下げるとタバコの見分けがつくほどモニターではっきり識別できるようになるが、校内は人が多く衝突を避けることが課題となっている。警備コストは年間で1億2000万ほどかかっており、ドローンを導入することで警備費を削減し防犯体制を強化する狙い。2025年を目処に3つのキャンパスで導入を目指している。
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