c-35 : 健康・医療データの取得と集約

健康データ・医療データの利活用とは?

健康データ・医療データの利活用とは、より効率的な医療の提供の実現を目指し、個人の健康状態や病歴、治療歴などに関する大量のデータを活用することである。近年のIT技術の進歩により、大量のデータを収集・分析・管理できるようになり、医療分野への活用が進んでいる。

2018年5月11日に施行された次世代医療基盤法(医療ビックデータ法)により、病院などから患者の症状や治療内容、検査データなどの情報を、製薬会社や研究機関が活用することが可能になった。活用できる医療ビッグデータにより、病気の発症予測や、個別最適化された医療の実現が期待される。

 

予想される未来社会の変化

  1. 健康・医療データが統合される治験等の医薬品開発が大幅に合理化される。
  2. 病気の発症予測の精度が上がり、病気の早期発見や健康寿命が伸びる。
  3. 簡易的な診断はAI等により自動化され、医師の負担が軽減する。
  4. 保険商品等との連携が進み、医療関連の手続きが円滑になる。

 

トレンド

総務省が健康・医療情報の一元管理サービスの検討を実施

総務省が、健康・医療情報の一元管理サービスの検討を実施
出典:総務省「健康・医療・介護のデータ基盤の構築に向けた総務省の取組(PHR関連)」

総務省は、クラウドサービスやスマートフォンの普及を背景に、個人の医療・介護・健康データであるPHR(Personal Health Record)を様々なサービスに活用するための基盤構築に向けて取り組んでいる。

健康・医療情報は医療機関、調剤薬局、自治体、学校等のそれぞれの機関で蓄積・管理されている状況が続いている。PHRデータを連携するサーバが構築されることで、迅速かつ適切な医療・健康サービスを提供が可能になる。マイナンバーカードを応用し、各機関が蓄積しているデータを連携させることで、生涯健康管理の実現が期待されている。

電子カルテの連携で、シームレスで適切な受診が可能に

電子カルテの連携で、シームレスで適切な受診が可能に
イメージ写真

医療従事者の人手不足や超労働時間の課題解決を目的に、電子カルテが導入されている医療機関が増加している。受診予約から検査データ、薬剤情報、決済までのシステムを連携させ、データを一括管理する取り組みを進めることで、医療従事者の負担を軽減させ、チーム全体で医療を強化していくことができる。また、病院内の各部門と情報を共有されていることで、患者へ適切な対応が可能になる。

厚生労働省の「電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、2019年の電子カルテ導入率は、一般病院で57.2%、一般診療所で49.9%と、年々増加している。今後も増加が見込まれることが考えられる。

NEDOがライフデータのクラウド利用環境整備とサービス創出の実証事業を実施

NEDOがライフデータのクラウド利用環境整備とサービス創出の実証事業を実施
出典:KDDI ニュースリリース

シャープ、KDDI、コミカミノルタ、セコムの4社が、IoT家電などから収集したデータを一箇所に集約し、各種サービスとの連携を可能にするデータ連携プラットフォームの整備する取り組みに参画した。取得されたライフデータを活用することで、介護の効率化や高齢者の運動指導や認知症予防に役立てる仕組みを稼働させる。

ヘルスケアデータを用いた健康経営支援サービス「Health data bank

Health data bankは、NTTデータが提供する、従業員の健診データとストレスチェックのデータを組み合わせて健康課題を抽出することで会社の健康経営を促進させるサービス。従業員は個人サイトから自分の健康状態について把握することができ、人事労務担当者や医療スタッフはデータを参照して業務に役立てる。健診機関からデータを受け取り、データ形式を統一して保管している。2002年にサービスを開始し、2000社・40万人が利用している。

出典:NTTデータ

 

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