b-13 : 富裕層・低所得層の二極分化

富裕層と貧困層の二極分化とは?

富裕層と貧困層の二極分化とは、富裕層と貧困層で所得格差が広がっていくことを指す。新型コロナウイルスが、経済格差を助長しており、全世界的に貧困層の雇用状況が悪化している。一方で株式や不動産などの資産価格の上昇の恩恵を受ける富裕層に富が集中している状況にある。

日本国内においても、かつては多くが中流層であったが、バブル崩壊による経済低迷や国内のグローバル化により、中流層が低所得層に脱落したことが要因として、生活保護世帯、フリーター・ニートが増加している。その反面、高級マンションや高級ホテルなど、富裕層向けのサービスが充実し、セレブという言葉が一般化している側面もある。

 

予想される未来社会の変化

  1. 貧困層と富裕層向けで、明確に分化したサービスが提供される。
  2. 貧困層は低価格商品を、富裕層は高価格商品を支持することで中間価格商品が魅力を失う。
  3. 郊外や地方におけるスラム化が加速し、公立の教育機関では、学級崩壊が懸念される。
  4. 生活保護世帯がさらに増加し、子供の貧困問題が深刻化する。

 

トレンド

アメリカで所得格差が拡大

アメリカで所得格差が拡大
出典:日本経済新聞「K字経済とは 富裕層と貧困層が二極化」

アメリカでは、K字経済(富裕層と貧困層における経済格差が拡大していること)が社会課題として取り上げられている。K字経済を解決するために、法人税率を引き上げたり、キャピタルゲイン課税の強化など富裕層に対しての増税を強化する方針で進めている。税の所得再分配機能を改良することで、K字経済を解消する見込みである。

「親ガチャ」と貧困の連鎖

親ガチャによる貧困の連鎖
出典:東京新聞「「親ガチャ」データで裏付け 貧困層の子「授業わからない」3倍超、進路「中高まで」4倍超」

2021年、内閣府が初の子どもの貧困について全国的な調査を実施し、「令和3年 子供の生活状況調査の分析報告書」を発表した。この調査により、家庭の貧困度合いと子どもの学習や進学希望と相関関係にであることが明らかになった。

貧困層の子どもと比較的暮らし向きが安定している子どもを比較すると、授業の理解度や進学希望の割合が3~4倍以上の差が出る結果となった。「親ガチャ(親の経済力などで人生が左右される考え方を示す言葉)」の課題がデータ面からも明らかになり、課題に対する対策が求められる。

消費傾向の二極化

 消費傾向の二極化
出典:サントリー「プレミアムビールに関する消費者飲用動向調査 サントリープレミアムビールレポート2017」

富裕層と貧困層の二極化に伴い、消費傾向も二極化している。割安でお得感のある第三のビールがビール市場でシェアを広げている。一方で、本格的な味わいを追求し、素材や製法にこだわったプレミアムビールの売上も堅調であるなど、普段の生活では格安な消費で済まし、プチ贅沢に高価な消費をするなど行ったり来たりするような消費が一般化している。

中国で「寝そべり族」と呼ばれる若者が増加

中国で「寝そべり族」と呼ばれる若者が増加
イメージ写真

中国では、経済の急速な発展が、社会競争を激化させ、貧富の差が拡大している。過酷な受験戦争に打ち勝ったとしても、必ずしも成功を約束されるわけではなく、その後の人生も苦戦を強いられることが多い中国では、「寝そべり族」と呼ばれる若者が増加している。寝そべり族とは、家や車の購入、結婚、出産、成功などを諦め、質素にのんびりと暮らす生き方を選択した若者たちのことを指す。大卒でも仕事がない、生活費に追われるなど、努力が報われにくいという空気感や閉塞感が原因の一つと考えられる。

 

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