b-10 : ブロック経済圏の台頭

ブロック経済圏の台頭とは?

グローバル化への反動や地政学的緊張の高まりを背景に、ブロック経済圏が台頭する。特定の国や地域が経済的・政治的利害を共有し、貿易や投資の面で結束を強める傾向が見られ、世界経済は複数の経済圏に分断される可能性がある。技術標準や規制の統一、域内での供給網構築などが独自に進み、域外との経済関係が制限される傾向にある。一方で、ブロック間協力や新たな国際秩序の模索も進むと予想される。

2018年にアメリカが中国製品に25%の関税率を適用したことが発端となった米中貿易摩擦が激化し、その後、長期的に両国が報復関税をかけあう事態へと発展した。この米中貿易摩擦の影響は世界経済に打撃を与えた。

予想される未来社会の変化

  1. 地域ごとの経済連携が強化され、域内での取引や投資が優先される
  2. 各ブロック内で独自の通貨システムや決済手段が発達する
  3. ブロック間の貿易障壁が高まり、グローバルサプライチェーンの再編が進む
  4. 技術標準や規制がブロックごとに異なり、製品やサービスの地域最適化が必要になる

トレンド

世界経済のブロック化により、GDG7%減のおそれ

出典:ロイター

2023年9月、国際通貨基金(IMF)は世界経済のブロック化で国際貿易が分断されれば、世界の域内総生産(GDP)が7%減少する可能性があるとの懸念を示した。これはドイツと日本の経済規模に匹敵するとのこと。

米中対立の影響による「ニアショアリング」の活発化

出典:BBC

メキシコでは、米中対立の影響でニアショアリングが活発化している。中国企業がメキシコを生産拠点とすることで、対米輸出時の高関税や制裁を回避している。この動きはメキシコ経済に大きな影響を与えており、2023年6月までの総輸出額は前年比5.8%増加し、メキシコはアメリカの主要貿易相手国となった。

アメリカ企業もメキシコへの投資を増やしており、テスラの巨大工場計画はその一例である。ただし、この計画は現在遅延している。2024年初頭の設備投資は既に2020年全体の半分に達しており、ニアショアリングの傾向は今後も続くと予想されている。

一方で、中国からの投資に関しては地政学的な懸念も指摘されている。しかし、このニアショアリングは国際貿易法に準拠しており、メキシコ経済に大きな恩恵をもたらすとして、メキシコの強みを発揮する機会と捉えられている。