a-24 : ゲノム編集技術

予想される社会的な影響

・ゲノム編集・診断による医療行為が低廉化し、一般化する

・がんやHIVなど、完治の難しい病が治癒可能となる

・効率的な生産により食糧供給が安定、食糧不足の危機から脱する

・食物のゲノム編集あり/なしを個人が選択できるようになり、食の多様性が拡大する

・ゲノム編集食品の安全性表示が義務づけられる

・健康モニタリングとの連携により、各食品の安全性が証明されるようになる

背景・理由・事例

・ゲノム編集技術は進化を遂げており、ヒトゲノム(約31億塩基対存在 )のうち、特定の部位において外因性の遺伝子を追加・挿入したり、遺伝子変異を修正・削除が可能な最新の遺伝子工学技術である。従来の遺伝子組み換えと比較して、著しく精度と効率が高く、今後、医科学に不可欠な技術になると考えられる

出典:文部科学省 科学技術週間「一家に一枚」より

・現在は比較的規制が厳しくない、農業分野で主に活用が進んでいる。
ゲノム編集技術により、病気・害虫・異常気象への耐久力の強い品種を作り出すことに成功している
また、牛や鶏の飼育、鮭の養殖など、家畜の病気治療と予防のための研究も進んでいる

・九州大学では、稚魚を共食いしてしまうことから、養殖不可能とされてきたサバの研究を進めている。ゲノム編集により、サバの攻撃的な遺伝子を切除するアプローチにより、稚魚の生存率を従来の1割から4割まで高めることに成功した

出典:唐津市 水産業活性化センター便り~Vol.30

・ゲノム編集により、可食部の多い肉厚の魚や、栄養価の高いフルーツなど、高付加価値商品を生み出すことにも成功している。
また、同一の面積であっても、より多くの収穫が可能な作物の開発により、生産性を高められる

・農業分野で用いられているゲノム編集技術は、遺伝子組み換え技術とは異なる。作物が本来持つ既存の遺伝子情報から、対象となる一部の遺伝子を切除することとで、作物の生産性を高めたり、植物の栄養価を付加したりするものである。そのため、安全性には問題が無いとされており、安全性審査は不要とされているが、まだ新しい技術であるため人体への影響が皆無であるとは断定できない。遺伝子組み換え食品と同様、ゲノム編集あり/なしを消費者が選択する習慣が定着するだろう

・医療分野では個別的な遺伝子編集や、mRNA、ウィルスベクター利用した薬品により遺伝子異常に由来する難病の治療方法として限定的に利用されてきた。遺伝子編集も可能な技術であるmRNA、ウィルスベクターを使った薬品がCOVID-19のワクチンとして全世界的に急激に使用される様になり、同領域の研究開発の活発化と応用分野の拡大が期待される。これにより個別的なゲノム編集に限らず、より用途が拡大された予防や治療用途がゲノム編集が拡大することが想定される。

・倫理的な問題についても従来の保守的な傾向が、パンデミックを契機に弱まり、応用分野の拡大を後押しをすることが予想される。

・遺伝子検査を手軽にできる「MYCODE」サービスが提供されている。病気のかかりやすさや、先天的体質を簡易に調べることができる

出典:PR TIMES
遺伝子検査サービスMYCODE(マイコード) 無料モニターを10名募集中

・イギリスでは、母親の疾患が子へ遺伝することを予防するために、核を抽出した卵子を別の女性の卵子に移植する、3人の親の遺伝子を持つ子供が公式に認められた

・2013年に開発された遺伝子編集技術「CRISPR」は、 DNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除・置換・挿入し、ヒトや動物、植物の遺伝子を容易に書き換えることができる

出典:Clontech TaKaRa cellartisより
ゲノム編集ガイド

 

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