衛星インターネット・成層圏気球インターネットとは?
低軌道衛星群や気球等を活用した高速通信網の研究と整備が進んでいる。
衛星インターネットとは、低軌道衛星群を活用したインターネットアクセスの技術である。基地局・固定回線の敷設を必要としないため地上の環境の影響を受けづらく、安定した通信が実現するメリットがある。これにより、地表のどこからでも高速な通信環境が享受できるようになることが期待されている。
成層圏気球インターネットとは、成層圏(地上18~50km)に浮かぶ気球から電波を発信することで、インターネットアクセスを提供する技術である。コスト効率が高く、低遅延であることがメリットであり、災害時や特定の地域を対象としたサービス提供に強みを持つ。
予想される未来社会の変化
- 開発途上国を中心にインターネット利用者数が増加することで、情報格差や教育機会の格差が縮小する
- デジタルサービスの利用人口の増加、グローバルなコンテンツアクセスの実現によって、教育・学習、エンタメ、医療等のサービス市場が拡大する
トレンド
・未だインターネットにアクセスできていない人口は、35億人にのぼる
・グーグルは「Loon」という成層圏を飛行する気球を用い、2020年には初めて商業化。ケニアで上空1万8000メートルに浮かぶ約35機の気球から、ネット接続を提供している。これにより3万5000人以上の人々が、インターネットを利用可能になったという
・上空からネット接続をもたらす上で課題となるのは、突然の嵐や雨など予定外の天候変化への対応だが、LoonはAIによる自律飛行をすることで対処している
・30分に1個のペースで新たな気球を投入し、各気球は最大100日間稼働。
気球の電力はソーラーパネルで賄われ、役目を終えた気球はパラシュートで地上に帰還し、再利用される仕組み
・ペルーで大地震が発生した際、Loonの気球が現地に向かい、被災地にインターネット接続をもたらした。2017年にハリケーン・マリアがプエルトリコを襲った際にも、Loonの気球が20万人にネット接続をもたらした
・上空からネット接続をもたらす上で課題となるのは、突然の嵐や雨など予定外の天候変化への対応だが、LoonはAIによる自律飛行をすることで対処している
・イーロン・マスクのスペースXは、地上約300キロの低軌道に12000という多数の小型衛星群による、高速・低価格な通信網「スターリンク」を構築中であり、アメリカをはじめとした一部地域でサービスを開始している
・アマゾンも同様のサービスの衛星網の構築を開始している
・「スターリンク」はグーグルクラウドとの連携を発表し、通信網とクラウドの連携も実現しようとしている
・スターリンクは現在約800の衛星を運用しているが、通信キャパシティは十分でない。将来的には数千の衛星を打ち上げる予定で、2021年にはサービス範囲をほぼ世界全体に拡大するとしている
・アップルのiPhoneも中継事業者を介して連携を実現することが予想されている
・Googleは、SpaceXとクラウド領域でのパートナーシップを締結した。これにより、従来の地上ネットワークでは接続が困難であった公共機関や企業が通信衛星コンステレーションStarkinkを介してGoogle Cloudにアクセスすることが可能になる。
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