顧客の“感動体験”がWEBサイトを強くする!! (ケーススタディ:デジタルマーケティング強化に活かすInstagram分析)②

「現在実施しているデジタルマーケティングは生活者に届いているのか?」

本稿では、近年注目を集めつつある「五島列島」を対象に、Instagramの投稿データを分析し、観光客が五島列島のどの様なモノ・コトに魅力を感じているかを探り、五島市観光WEBサイト「五島の島たび」をさらに発展させるための要素を導き出していきます。

Instagram分析結果のダイジェスト(前回記事)

前回の記事では、「五島列島」に関するInstagramの投稿データを分析した結果、次の様なことが確認できました。

  • Instagramは観光客の体験の縮図
    Instagram投稿数の月別トレンドは、実際の観光客数のトレンドと極めて近しい形であることが確認された。このことから、Instagramは観光客の体験、その中でも“驚きや感動体験”がギュッと濃縮されている事が期待できる。

  • 外国人は来島のピークが異なる
    Instagramの月別の投稿トレンドを言語別に見ると、中国語(zh)は年3回のピークがあり、日本語同様に5月と8月に加えて、11月にも投稿のピークが形成されていた。

  • Instagram投稿から見えてきた”驚き”・”感動”体験
    観光客は、五島列島の名所・名産などの”モノ”に加えて、「島旅」・「一人旅」・「女子旅」などの旅のスタイルや「絶景」・「夕日」・「田舎」などの景色・景観への感動、釣りを代表するアクティビティという“コト=体験”を満喫している様子が窺えます。


観光客の注目ポイント、感動体験をホームページの訴求強化に活かす

ここまでで、Instagramの投稿から、観光客が感じている五島列島の魅力(モノ・コト)が浮き彫りになりました。
そこで、この魅力点をもとに五島市観光サイト「五島の島たび」の訴求力を高めていくためのアイディアをいくつか考えてみました。

まずは、Instagramデータのどの様な情報が、どの様に活用できるかを想定してみます。


●ハッシュタグ=観光客が魅力に感じたモノ・コト
→WEBサイト上で具体名を出してアピール
●投稿内容=観光客が魅力に感じたモノ・コトの具体的シーン
→WEBサイトのクリエイティブで観光客の感動体験を表現


この視点のもとに、具体的に五島市観光サイト「五島の島たび」をケースとして、Instagramの情報を活かした強化ポイントを示していきます。



【ポイント①】TOPページ/ナビゲーション

実際の来島者が感じた五島列島での”驚き”や”感動”などの体験価値を前面に訴求


【ポイント②】コンテンツ/テーマ訴求

”驚き”や”感動”などの体験価値を、コンテンツ/検索メニューの切り口としても採用


【ポイント③】ファサード検索

来島のきっかけ作り、来島時に欠かせない楽しみとなる「食」は、五島列島のご当地グルメを明示

【ポイント④】クリエイティブ表現

・「釣り」:一般的な釣りの静的な表現ではなく、磯釣りや船釣りなどのアクティブなイメージを使い、釣り人のモチベーションを高める

・「ビーチ」:景観の美しさに加え、「人」を中心としたビーチでの極上体験を表現し、自分も同じ体験をしたいという気持ちを高める

・「教会」:歴史的あるいは建造物としての価値に加えて、教会を持つ本質的な美しさを表現し、訪れようとする人の心に魅力を訴えかける

(※ファサード検索、クリエイティブ表現に関する具体的な内容/イメージはダウンロード資料を参照ください。)


いかがでしょうか。ここでは上記の要素を加味して実際にページをリニューアルした姿をお見せする事はできませんが、このようにInstagramから探り出した観光客(生活者)が感じた“体験価値”を加えることで、WEBサイトなどの様々な顧客接点において、五島列島(あるいは企業・ブランド)の魅力を今まで以上に伝えることができるようになります。


InstagramはSNSの一つではあるものの、Twitterのようにその時々の出来事への関心を測る事ができるメディアとは異なり、生活者の“驚き”や”感動”という体験価値とその具体的なシーンを探り出すことができるという特徴を持っています。

生活者に向けて、企業や団体あるいはブランドが発信してる情報の訴求力を高めていきたい、という考えが思い浮かんだ際は、生活者の”体験価値”とは何かを再確認し、クリエイティブに活かしていただければと思います。



一口めも 〜Instagramデータを使用し、観光客数を予測してみる〜

記事を書いたあとに、記事で使用した五島列島のInstagramデータを用いて、観光客数を予測するという試みを行ってみました。簡易なモデリングですが、Instagramデータを採用することで、月ごとの観光客数の予測精度を向上させることができました。

昨今はオルタナティブデータが様々な分野で活用されていますが、業種業界あるいは商材によっては、Instagramの投稿数もそのうちの一つとして、インサイト発見だけではなく、需要予測などにも活用できる可能性が垣間見れました。

この結果は後日別の記事でご紹介したいと思います。



D4DRでは、今後も情報発信、リサーチ・コンサルティングを通じて、企業・ブランドのマーケティング強化に向けた支援を行って参ります。


← 前回の記事はコチラから
(「Instagram投稿から見えてきた顧客の”驚き”・”感動”体験」)


 


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Mikio Aaskawa

マーケティングエージェンシーや制作会社にて各種リサーチ・分析業務を経験した後、2009年よりD4DRのシニアアナリストとして、データドリブンのマーケティング支援に従事。現在はプリンシパルとなりプロジェクトリーダー兼アナリストとして、顧客視点で企業のマーケティング戦略立案や課題抽出、アクションプラン立案を支援している。

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