【イベント報告】6/23「アフターコロナ時代の近未来シナリオを描く」前編


2020年6月23日に、FPRC主催のオンラインイベント「アフターコロナ時代の近未来シナリオを描く」が開催された。ゲストスピーカーに株式会社 村上憲郎事務所 代表取締役 村上憲郎氏を迎え、FPRC主席研究員の藤元、上席研究員の坂野が、新型コロナウイルス流行を経て起こりうる社会や価値観の変化について議論を行った。

本イベントは、「アフターコロナ時代のビジネス戦略」連載をもとに行われた。最初に3名がそれぞれプレゼンテーションを行い、その後パネルディスカッションを実施した。本記事では、藤元と坂野によるプレゼンテーションの内容を紹介する。(藤元健太郎/坂野泰士の紹介はこちらhttps://www.d4dr.jp/fprc/fprc_member-2/

プレゼンテーション①
パンデミック後の近未来シナリオ ―価値観・社会事象の変化―(坂野)

「アフターコロナ時代のビジネス戦略」連載第2回「パンデミック後の近未来シナリオを考える」で、坂野はパンデミックを機に起こると考えられる変化のシナリオを「価値観」と「社会事象」に分けて図示している。その図をもとに、坂野がキーワードを解説し、企業経営の変化を考察した。

まず、坂野は図について、「コロナ前から起こっていた変化が加速したこと、またコロナを契機に新しく起こったこと、そしてそこからの気づきを記述しています。左の方の白い線は、コロナ流行による断層を表しています。全世界で同時にパニックが起き、ほぼ同じマインドセットになることは、人類にとってはいまだかつて経験したことのない画期的な事件でした。」と話す。

価値観の変化

1つ目の図では、価値観やライフスタイルを起点として、そこからどのようなサービスや事業が形成されるかを記述している。

まずは、断層のすぐ右の列の上部に示されているキーワード群に注目する。「旧来の産業・生活」は問題をはらんでいたことがわかり、軋轢が出ている。「健康・生存の保障」については、これまではあまり深く考えずに済んでいた先進国でも、深刻な問題として取り上げられるようになった。

このようなリスクや健康管理についての考え方の変化によって、図の右側上部の「リスクヘッジ・支援産業」や、「バイタルモニタリングサービス」の進化・拡大が起きる。そして、幸福感や経済的豊かさに関する価値観も、生き方を根本的に考える機会を多くの人が得たことによって、変化しているという。

次に、断層の左側、コロナ流行前から起きていた「モノから体験へ」の移行も変化を遂げる。リレーションシップが重視されるようになり、消費は「ハレから日常へ」と視点が変わる。虚飾的な価値観からではなく、日常で必要なものは何か、という本音をもとに選択されるようになる。その結果、「ラグジュアリー志向」は影響力を減じ、快適さにつながるカジュアルで厳選されたモノやコトを身の回りに置きたいという「高品質なミニマル志向」のようなものが注目を集めるようになった。

このように人々の価値観が本音・幸せ志向に変化することで発展するのが、「ウェルネス・ハピネスマネジメント」である。モニタリング技術が発達する中で、自分の幸せや健康の状態をマネジメントするサービスが拡大すると考えられるという。

社会事象の変化

2つ目の図では、社会的な変化について触れている。白い断層の左側、コロナ流行前から存在した「資本主義の脆弱化」「データドリブンの社会マネジメント化」といった流れが、急加速されているという。そして坂野は、日本の今後に危機感を持っているという。

「世界が同時にコロナに対応する中で、日本は給付金の支給をはじめ、動きが遅いと感じます。最も危惧しているのは、世界が同じ大きなインパクトを体験したあと、それぞれの国・社会の反応に大きな差が生じて、日本が取り残されないかということです。」(坂野)

3つ目の図では、インバウンドとサプライチェーンについて記述している。インバウンドでは、移動制限によってデジタルコンテンツにならないものが地位や価値を落とした。逆に、「リアルな店舗でも、デジタルコンテンツを発信できたところはチャンスになっている」と坂野は話す。

また、国家をまたいだ、特定の国へ強く依存したサプライチェーンの脆弱さや、どこにどんなものがあり、いつ供給されるのか、というモノのモニタリングやマネジメントができていないことも課題として浮かび上がった。

経営要件の変化

最後に、経営に求められる要件について坂野は、「何を重視するか、基準が大きく変化した」と話す。

「これまでの経営は、効率と株主利益を重視した、比較的短期的な視点が大事でしたが、今回のようなケースではそれがとても脆弱に見えました。常にキャッシュフローが潤沢な状態を維持することに加え、より多様で速度があり柔軟であること、そして継続性を最優先した中長期的視点が大事になったのではないでしょうか。」(坂野)

 

プレゼンテーション②
アフターコロナ時代の“4つのY” ―Perspective=遠近法と工業化社会の終焉―(藤元)

藤元は、「アフターコロナ時代のビジネス戦略」連載第1回「不可逆なアフターコロナ時代の視座“4つのY”」で、4つのキーワード、「Traceability」(トレーサビリティー)、「Flexibility」(フレキシビリティー)、「Mixed Reality」(ミックスドリアリティー)、「Diversity」(ダイバーシティー)を提示している。

イベントでは、“4つのY”に加え、「Perspective=遠近法」の考え方と工業化社会の終焉、ニューノーマルに向けた4つの価値観の変化、コロナを経て訪れる「超江戸社会」について取り上げた。本記事では、”4つのY”以外の3点について紹介する。

Perspective=遠近法

Perspectiveとは、「今と遠い過去・未来を同時に見渡す」遠近法を意味する。藤元は、未来を予測するうえで遠い過去を見ることが重要であることについて、次のような例を上げて説明する。

「110年前の車と現在の自動車は、4輪であり自分で運転をするという点ではあまり変わっていません。一方、自動運転は自分で運転しないという点で、最近の自動車より中世の馬車に似ていると言えます。コロナが工業化社会にとどめを刺すことで、今後はこれまでの工業化社会の流れとはまるで断絶するようなジャンプが訪れます。それを考えると、未来予測においては近くだけでなく遠くの過去を見ることが大事です。」(藤元)

「工業化社会は、農地開放をきっかけに始まり、農民が都市に集まって労働することで都市が栄えました。でも、よく考えるともはや都市に工場はありません。ホワイトカラーの知的生産のオフィスだけが残っていて、コロナで「なぜ自分たちはオフィスへ通っているのか?」という疑問が出た。実は工業化社会はすでに終わっていた事に気づいたんです。」(藤元)

超江戸社会

工業化社会の終焉を経て訪れるのは、「テクノロジーがもたらす懐かしい未来」である「超江戸社会」であると藤元は話す。

超江戸社会は、江戸時代の街の特徴に現代のテクノロジーを組み合わせた社会で、図のような特徴があるという。
(詳しくはこちらの記事もご参照くださいhttps://www.d4dr.jp/topics/event/near-future-lab-super-edo-society/

ニューノーマルに向けた4つの価値観の変化

そして、“4つのY”が重要になるニューノーマル時代に、価値観はどのように変化するか。藤元は、次の4つの変化が起きると話した。

 

(後編はこちら「【イベント報告】6/23「アフターコロナ時代の近未来シナリオを描く」後編」)

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