学習手段の多様化・自由化義務教育の変容とは?
eラーニングやAIツール、テレプレゼンス技術等による教育のデジタル化と個別最適化が、学びの革新をもたらす。すでに「反転学習」や「ホームスクーリング」など、新たな教育形態が広がりつつある。義務教育は今後、従来の一斉授業型モデルから、個別化・個性化された学習への移行が進む。学校の役割は変化し、知識伝達の場から、対面でのコミュニケーションや協働学習の場へと重点が移っていくと予想される。
予想される未来社会の変化
- 急激な社会変化と学びの生涯化の流れの中で、学齢期間の学びの意味と役割の見直しが進む
- 学びが知識習得だけではなく、学び方や他者との関わり方や表現手法といったより幅広い経験とスキルを身につける場として変化する
- 学ぶべきこと、学びの進捗・習得度といった基準が検討・試行される中で、新たな社会的標準づくりが行われる
- 教育に求める要件が多様化する中、学校から提供されるカリキュラムや仕組みの限界が露呈し、教育の責任と選択権が個人へと回帰する
トレンド
学習eポータル+AI型教材「Qubena (キュビナ) 」、学校図書のデジタル教科書と連携
COMPASSが提供する学習eポータル+AI型教材「Qubena(キュビナ)」と、学校図書が提供するデジタル教科書とのアプリケーション間の連携を行い、実証を開始する。
「Qubena(キュビナ)」はAIが児童生徒一人ひとりの習熟度に合わせて最適な問題を出題するAI型教材。
今回の実証では、デジタル教科書と、教科書に準拠した問題を搭載したAI型教材の連携による学習効果に関する検証や連携におけるメタデータのあり方などを検討し、デジタル教科書と、教科書に準拠した問題を搭載したQubenaのAI型教材を相互接続することで、双方をシームレスに行き来しながら、より学びやすく、より個別最適に学ぶことができる連携と、連携による学習効果の実証、また、今後ほかのデジタル教科書や学習サービスとの相互の連携を見据えた汎用的なメタデータのあり方についての検討等を行い、子どもたちを中心としたシームレスな学習基盤づくりに取り組む。
XRを活用した先進的な英語教育
NTTコミュニケーションズとNTTQONOQはWebVRサービス「360Media」を基にした海外体験サービスを、東京都大田区教育委員会が推進している「おおたグローバルコミュニケーション」の指定校である大田区立大森東小学校へ導入する。大田区立大森東小学校では2023年12月から英語授業の中で活用開始。
大田区立大森東小学校で新たにリニューアルされる教室の1つを海外体験ルームとして改装し、本サービスを使えるようにする。海外体験ルームは、教室の壁面、3面に海外の場面を映し出し、実際に海外にいるような没入感の中で、英語によるコミュニケーションを学ぶことができる教室である。
このサービスでは仮想の海外都市を表現した空間を、高精細なCGVR の技術を活用し制作している。空間に没入し街の中を探索しながら、カフェやスーパーマーケット、空港といったさまざまな場面を疑似体験することができる。また、海外仕様の店舗など実際の施設を360度カメラで撮影したパノラマ画像も活用し、より臨場感を味わえる空間を実現した。
街中や各場面内にはアバターや動画を配置しており、道案内や買い物など、さまざまな場 面におけるやり取りを想定した英会話音声を再生することができる。実際の場面を想像しながら、児童自身が積極的に発話することで、実践的な英語を使ったコミュニケーションを促進する。
ChatGPTを使った絵本づくり
神戸市で探究学習塾RAKUTOを運営するMirai Pocketは「生成AI」の楽しい使い方を学ぶ春の特別授業として、「生成AI」を使って、オリジナルの物語づくりに挑戦する試みを行った。
マインドマップで物語のシナリオを作り、プロンプト(AIへの命令文)を入力して文章を出力して、ひとつの作品に仕上げていく。文章はもちろん、挿絵づくりもAIを駆使。文章と挿絵ができあがったら、プリントアウトして一冊の本に仕上げて完成。一緒に参加する友だちとディスカッションしながら、基礎的なプログラミングの考え方や国語力、図画工作の力を伸ばす。
画像生成AIには、ChatGPT4.0に組み込まれているDALL·E 3というツールを使用した。2時間の授業で絵本を完成させる。
・近年「EdTech」に注目が集まっている
・EdTechとは、”Education“と”Technology“から作られた造語で、教育現場に技術を導入することで、より効果的な学習を実現するためのビジネス全般を指す
・EdTechの先進国はアメリカであり、多種多様なサービスが展開される。EdTechスタートアップの資金調達も増加しており、市場は拡大している
・日本の学校と家庭のICT環境整備は、海外に比べて遅れていると言われてきた。新型コロナウイルスの流行を機に環境整備が進むと考えられている
・教育現場ではオンライン授業のほか、対面での一斉授業の代わりに動画・映像で生徒が予習をし、授業時間はプレゼンやディスカッションを行う「反転学習」や、学習者の理解度に合わせて学習内容やレベルを調節する「アダプティブラーニング」などが導入されている
・学校に通わせずに教育を行う「ホームスクーリング(自宅学習)」は、 eラーニングの普及により、実施しやすい環境が整ってきている
(しかしながら現在、日本では義務教育を学校以外で行うことは、法的に認められていない)
・不登校の児童生徒が増加し、通学を基本とする既存の教育のオルタナティブとして期待が高まる
・学校でICT活用が進むと、教育現場で学習履歴や行動履歴のデータを収集できるようになる。
収集されたデータは、可視化・分析され、学習の質の改善などに活用されるほか、個人に紐づいたデータを記録し、活用する取組も加速すると考えられる
・教育分野でも、専門機関に認定された事業者がパーソナルデータを管理し、信託を受けて運用する「情報銀行」のような仕組みが採用される可能性がある。
将来的には、小中学校から社会人教育までの教育データを蓄積し、個人がデータを管理するデータベースも実現すると予測される
・日本で始まっている教育パーソナルデータの活用事例としては、学習や活動の電子記録「eポートフォリオ」が挙げられる
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