c-29 : キャッシュレス決済の拡大

予想される社会的な影響

・決裁のシステム化が進み、与信管理を含む処理コストの低減が加速している

・スマートフォン等のデジタルデバイスが決裁に対応しその利用がさらに加速している

・デジタルIDの整備と与信管理テクノロジーの進化により、前借りを含めた多様な決裁モデルが登場している

・効率な手数料と高コストの管理体制を基本とした金融事業者が事業モデルの転換を迫られたりその影響力を失うことが加速する

・キャッシュレス化の進展により消費データの補足が容易になるため徴税等の行政システムも変化する

背景・理由・事例

・2010年から2019年の間、日本のキャッシュレス決済比率は安定して伸びてきた。
2020年の新型コロナウイルスの流行でキャッシュレス決済の利用は更に拡大。電通が2021年1月に行った調査では、「2020年3月の緊急事態宣言以降、支払いや買い物に占めるキャッシュレス決済の比率は増えた」と回答した人が47.7%に上った。急速にキャッシュレス決済が支持されていることがわかる

出典:経済産業省資料
出典:電通 プレスリリース

・コロナ禍の新しい生活様式では、キャッシュレス決済を推奨する一方、売り上げが減少している飲食店などは現金での支払いを求めるケースが見られる。
この課題解決として、LINE  Payは最短当日の振り込みを無料で行う取り組みを行った。
また、三井住友カードは中小企業向けに最短で翌々営業日に売上金を無料で振り込める端末を配布しており、利用を呼び掛けているなど、対応が広がっている

・スウェーデンではキャッシュレス決済が拡大したことにより、現金強奪や現金輸送が減少し、犯罪防止及び治安の改善につながっているという

・タイのサイアム商業銀行ではモバイルバンキングや新型ATMの設置など、業務のデジタル化を進めることで、2020年までに支店数を1153店から400店に減らし、 従業員も減らす予定としている。キャッシュレス化により、銀行は収益モデルは変革していく必要がある

・キャッシュレス普及率が50%を超えている中国で、は安心、楽、お得という優先順位で利用者の心理が働いている一方、日本では現在、還元サービスやクーポン配布など「お得」を競争の主眼としている。
結果として、PayPayやLINE Payのキャンペーンごとにサービスを使い分け、サービス終了後は利用不可な店舗が増えるなど、不便さが目立ってしまう状況となっている

・スウェーデンのノミの市では混雑する時間帯に通信障害が発生し、キャッシュレス決済が不可となり、売り上げに影響を与えることが課題としてあがった。
また、高齢者がアプリを利用できないなど、キャッシュレス先進国のスウェーデンにおいても、普及に課題は残っている

・Amazonは、手のひらで個人を識別できる生体認証システム「Amazon One」を傘下であるスーパーのシアトル店で導入することを発表した。これまでは、「Amazon Go」の十数店舗でしか利用できなかったが利用先拡大のための動きとみられる。「Amazon One」導入によりユーザーは、登録を行うことで手のひらをかざすだけで支払いをすることが可能になる。

出典:CNET Japan

・三菱地所は、2024年までに丸の内地区で最大4万台の人工知能対応カメラを設置する計画をたてている。これにより、事前に同意をした顧客は「顔パス」での決済が可能となる。また、これらのカメラは防犯・防災にも活用される予定である。

・Appleは、iPhoneが決済端末になるTap to Payを、2022年後半にアメリカで展開すると発表。全米の何百万の加盟店が、iPhoneをタップすればApple Payが使えるようになる見込みだ。

 

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