宇宙ビジネスの市場拡大とは?
技術革新と民間企業の参入により宇宙ビジネスの市場は拡大を続けている
人工衛星からの画像データを活用した資源量の解析や農作物の育成状況の把握など、地上産業との連携が進んでいる。小型衛星の高性能化・高機能化により、ベンチャー企業や異業種からの参入もさらに増加すると見込まれる。
宇宙旅行、衛星通信、宇宙資源開発など、新たなビジネス領域も拡大中である。
予想される未来社会の変化
- 民間参入による大幅なコストダウンにより宇宙開発プラットフォームサービスが形成される
- プラットフォーム上に実装可能な多様な機能やサービスが実装され、商用サービスも多数登場する
- 宇宙開発のローコスト化を背景に、希少資源などの開発競争も激化する
- 関連技術と周辺産業が一挙に活性化する(通信、無人操縦、ロボット、高性能電池、センシング、酸素生成、水生成、等)
トレンド
・世界の宇宙ビジネスの市場規模は、2007年には約19兆円、2016年には約36兆円で、10年間で約2倍に拡大した。その間、日本の市場規模は約10兆円でほぼ横ばいであった。日本の宇宙ビジネスの市場規模は2016年に約8.9兆円であったが、2050年には約59.3兆円まで拡大すると予測されている
・宇宙ビジネスは、「製造・インフラ」「宇宙利用」「宇宙探査」の3分野に分けられるとされるが、技術革新により分野の細分化も見込まれる
・宇宙産業は、従来は民間企業が公的事業として、公的機関(主に国)から受託する産業モデルが一般的であった。
近年はベンチャー企業や異業種の参入が進んでおり、民間企業によるサービスや事業分野が拡大しており、市場はますます拡大していくことが予測される
・製造・インフラ分野では、ロケット・衛星の製造・打ち上げ関連事業者、人工衛星データや衛星通信を提供する事業者、それらのデータを活用した位置情報サービス、画像サービス、通信サービス等を提供する事業者が含まれる
・宇宙探査分野は、無人宇宙探査と有人宇宙探査に分けられる。前者には探査機・ロケットの製造・打ち上げ関連と、惑星探査等が挙げられる
後者には有人ロケット打ち上げの他、宇宙旅行や宇宙ホテルなど宇宙空間に人が滞在するサービス等が考えられる
・技術革新による小型衛星の高性能化・低コスト化、ロケット打上げのコスト低減が進んでおり、宇宙旅行等のコモディティ化が期待されている
・世界の15宇宙機関からなる国際宇宙探査協働グループ(ISECG)は、「国際宇宙探査 ロードマップ」を発表している
・「宇宙利用」分野には、人工衛星あるいは宇宙空間を利用した様々なサービスが含まれる。関連分野は物流、森林・農作物管理、IoT・通信、建築・不動産など多岐にわたる
・近年は衛星から得られるデータの質・量が向上し、宇宙データの分析・活用が進展。宇宙データと地上データの結合や、AI等を利用した解析などによる新しい価値・サービスの創出が期待される
・総務省が2019年に発表した「宙を拓くタスクフォース報告書(案)」では、2030年代以降に宇宙利用において目指すべき将来像として、ネットワーク基盤の宇宙への拡大、衛星データの活用(災害データなど)、人類の活動領域の拡大、宇宙レジャーの4点を挙げている。
なお、ネットワーク基盤の拡大と衛星データの活用には、すでに多くのプレイヤーが参入している
・近年、NTTグループが宇宙ビジネスに本格参入の動きを見せている。2021年5月にはスカパーJSATと業務提携契約を締結し、宇宙空間にICT基盤の「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」を構築すると発表。
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