c-09 : 再生可能エネルギーの台頭、エネルギーのコモディティ化、電源分散化・VPP(仮想発電所)

予想される社会的な影響

再生可能エネルギーの台頭

・再生可能エネルギーの利用が前提とした社会になる

・CCSの導入により、工場のCO2排出が急減する

・火力発電の廃止が進められる

・遠距離・広域で供給される体系から、ローカルなグリッドを基本とした供給網が主流となる(電源の分散化)

エネルギーのコモディティ化

・エネルギー消費の主流が電力となり統合制御や効率化が行いやすくなる

・蓄電・制御技術の進化で電力消費が高度に効率化される

・エネルギー生産・利用の効率が一般化し、省エネという概念が無意味化する

・化石燃料から発生される温室効果ガスの固定化・削減技術が高度化し、低価格なエネルギー源として利用が継続される

・ベーシックインカム等の制度の結びついて、エネルギー消費の最低保証が行われる

電源分散化・VPP

・発電手段の多様化と分散化、蓄電技術の高度化やネットワーク化された需給制御により発電と消費が一体となったサービスとなる

・太陽光発電と蓄電装置、制御システムを統合化した仮想発電所(VPP)が新サービスとして主流化する

・太陽光パネルの設置場所を提供することで、ある程度の電力消費が無償されるサービスが拡大する

・需給のロケーションが近接化することで効率が促進される

・従来の重厚長大なエネルギー供給網とプレイヤーが陳腐化する

背景・理由・事例

再生可能エネルギーの台頭

・世界における再生可能エネルギー発電設備の容量(ストック)は、2015年に最も容量の大きい電源となった(約2,000GW)

・その後も再生可能エネルギーの発電設備容量は増加を続け、年間導入量は過去最大となった。今後もこの傾向は続くと見られる

出典:資源エネルギー庁
国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案

・発電コストは太陽光発電・風力発電を中心に減少傾向にあり、コストメリットも拡大している



出典:IRENA「2019年における再生可能エネ
ルギー発電コスト」

・日本の再エネ導入量はロシアに次ぐ世界第6位であり、その中でも太陽光発電はアメリカに次ぐ世界第3位(2017年)(IEAより)

出典:資源エネルギー庁
国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案

・日本の再生可能エネルギーの導入比率は、23.0%(2020年1-6月)となっている

・欧州は再生可能エネルギーの導入が積極的であり、ドイツは再生可能エネルギーの比率が46%(2019年)、イギリスで40%(2019年)となっている

・欧州は特に風力発電の導入が盛んである

・リチウムイオン電池の全固体電池化の研究が進んでいる。固体材料であれば、液体よりも安全性がはるかに高い

出典:お金のキャンパスより
次世代の電池として注目される全固体電池

・日本では再生可能エネルギーの導入だけでなく、工場や発電所等から排出される二酸化炭素(CO2)を大気に放散する前に回収し、地下へ貯留する「二酸化炭素回収・貯留」(Carbon dioxide Capture and Storage:CCS)技術の開発も進めている

・太陽光、風力、バイオマス等の再生可能エネルギーは地域活性化以外にも、エネルギー安全保障の強化や、脱炭素社会・持続可能な社会への実現には欠かせない。国もその施策を推進(現状の16%を2030年までに22~24%まで増やす計画)仮想発電所(VPP)は、再エネの弱点である気象条件による発電量の変動と、需給バランスの調整において役立つ。再エネの推進に貢献し、持続可能な社会の実現につながる(火力発電当を調整電源に使用すると、設備効率が落ちて資金回収が難しくなる)

出典:DENSO
エネルギーを絆に変えて、地域と共に暮らす

・テスラ社は分散型エネルギーシステムを提供。
PG&Eの分散型電源と電圧管理をサポートしている他、カリフォルニア州の農村でマイクログリッドを実現するプロジェクトでは、太陽光発電と蓄電池を提供。テスラ社は今後のエネルギー 市場において、重要なプレイヤーとなる可能性が高い。

出典:スマートジャパンより
テスラの蓄電池が米国カリフォルニアで採用、80MWhの蓄電容量で電力網を安定化


・2019年には、苫小牧でCCSの大規模な実証実験を行っている。本実験では目標の圧入量を達成し、成果をあげている

出典:資源エネルギー庁
CO2を回収して埋める「CCS」、実証試験を経て、いよいよ実現も間近に(前編)

・国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2019 年に導入された再生可能エネルギーの発電容量の半分以上においては、新規石炭火力発電よりも発電コストが低かったことを示した(石炭火力発電は最も発電コストが低廉と言われる)今後も発電コストの減少が見込まれ、エネルギーのコモディティ化が進むと予想される。 また、定置型蓄電池のコストが、2030年までに最大66%低下する見通しを発表した。蓄電池技術が向上し価格が下落すると、大規模な産業用と小規模の両方の用途で分散電源が急成長し、再エネの導入が加速すると考えられる 。

エネルギーのコモディティ化

・太陽光の発電コストは下落を続け、すでに大手電力の電気料金を下回っている。今後は蓄電池の普及が鍵を握ると考えられ、蓄電池の高機能化と低価格化により、電気は一般家庭でも自給自足が可能となる

・国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2010年から今年にかけて、太陽光発電の発電コストは73%、陸上の風力発電のコストは25%下落したと発表している。今後さらなる下落が見込めると考えられる

・IRENAは、2019年までに陸上風力と太陽光のいずれでも発電コストはkWhあたり3セント以下となり、現在の化石燃料による発電コストを大幅に下回ると見込んでいる(化石燃料の発電コストは、kWhあたり5~17セント)
また、定置型蓄電池のコストが、2030年までに最大66%低下する見通しを発表した。蓄電池技術が向上し価格が下落すると、大規模な産業用と小規模の両方の用途で分散電源が急成長し、再エネの導入が加速すると考えられる

・リチウムイオン電池の全固体電池化の研究が進んでいる。固体材料であれば、液体よりも安全性がはるかに高い

出典:お金のキャンパスより
次世代の電池として注目される全固体電池

・新しい電池が登場した時は、電池を必要とする新たな用途、新たな製品が世の中に登場する。それほど、現在のビジネスに与えるインパクトが強いファクターだと考えられる。
リチウムイオン電池が登場により、ノートパソコンと携帯電話が飛躍的に進化を遂げたと言っても過言ではない

・自動車産業がEVの電池開発にしのぎを削っているため、充電池の進化は飛躍的に早くなっている。予想以上のペースで、蓄電池の技術進化が進む可能性がある

出典:EVsmartブログ
25万7千キロ走っても、テスラのバッテリー劣化は10%以下

分散型電源・VPP(仮想発電所)

・東日本大震災を契機に、エネルギー供給の制約や集中型エネルギーシステムの脆弱性が明らかになった

出典:資源エネルギー庁
分散型エネルギーについて

・地域の特性を踏まえた多様な供給力(再生可能エネルギー、コージェネレーションなど)を組みわせ最適化することで、エネルギー供給のリスク分散やCO2の排出削減を目指せる

・小規模かつ需要地に隣接してエネルギー源を配置可能なため、条件次第ではエネルギー変換の総合効率が高まる可能性がある
(コージェネレーションによる排熱の有効利用、送電ロスの削減等)

・太陽光、風力、バイオマス等の再生可能エネルギーは地域活性化以外にも、エネルギー安全保障の強化や、脱炭素社会・持続可能な社会への実現には欠かせない。国もその施策を推進(現状の16%を2030年までに22~24%まで増やす計画)
仮想発電所(VPP)は、再エネの弱点である気象条件による発電量の変動と、需給バランスの調整において役立つ。再エネの推進に貢献し、持続可能な社会の実現につながる(火力発電当を調整電源に使用すると、設備効率が落ちて資金回収が難しくなる)

出典:DENSO
エネルギーを絆に変えて、地域と共に暮らす

・テスラ社は分散型エネルギーシステムを提供。
PG&Eの分散型電源と電圧管理をサポートしている他、カリフォルニア州の農村でマイクログリッドを実現するプロジェクトでは、太陽光発電と蓄電池を提供。
テスラ社は今後のエネルギー 市場において、重要なプレイヤーとなる可能性が高い。

出典:スマートジャパンより
テスラの蓄電池が米国カリフォルニアで採用、80MWhの蓄電容量で電力網を安定化


・ブロックチェーン技術の活用により、電気の売買活性化も期待され、一般家庭で発電・蓄電した電力の取引が、盛んにおこなわれる可能性がある

・アビームコンサルティングが行った大企業7業種309社に対する調査によると、企業は、大手電力会社や新電力から電力を購入せず、自社で再エネ電力を直接調達し始めていることが分かった。80%以上の企業がオンサイト・オフサイトでの発電の導入・検討をしている。

・2022年3月、ソニーグループはホンダと、EVの開発や販売に向けて提携することで合意した。2025年のEVの市場投入を目指し、開発を進める。

・2022年5月11日、欧州の機関投資家3社は、Jパワーに温暖化対策の強化を求める株主提案をしたと発表。物言う株主の圧力が強まっており、運用大手が共同で気候変動に対する対応を求めたのは国内で初めてだった。

・2022年5月24日、東京都は、都内の新築建物に、太陽光パネル設置を義務付ける方針を固めた。都は2030年までに2000年対比で温室効果ガス排出量を半減させる目標があり、都内で3割を排出する家庭における対策として検討が進んでいる。

 

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