フィードバック②:芹澤 孝悦氏(PLANTIO,INC代表)

エンターテインメント系コンテンツプロデューサーを経て日本で初めて“プランター”という和製英語を発案・開発し世に広めた家業であるセロン工業へ。2015年、元祖プランターを再定義・再発明すべくプランティオ株式会社を創業。しかし祖父の発明の本質は高性能なプランターを開発した事ではなくアグリカルチャーに触れる機会を創出した事と捉え2020年“grow”ブランドを発足、食と農の民主化を目指す。

注目する「未来コンセプト」

a-「個人向けAIエージェント」

3つの観点から、AIエージェントとそれに用いるデータの取得が重要だと考えています。

PLANTIOでは、農家さんではなく、一般の方々の野菜栽培からデータを取って学習しようとしています。それによって、それぞれの野菜がどのような気候や土壌で育つかといったデータがモニタリングできるので、桜前線のようにどの野菜がいつどこでなら育つ、ということが見えてきます。

そして、「クライメイト・クロック」によると、気候危機が後戻りできなくなるまでに残された時間はすでに5~7.5年を切っています。この間に地球の気候のデータを記録して保管しておくことは、そのデータを室内栽培や地球外で利用するためにも非常に重要です。

また、食の部分では、江戸伝統野菜なども含む、個人に合った野菜の提案といったパーソナライズができます。失われていた食の多様性の復活や、ライフスタイルと紐付いた持続可能な農的な活動の糸口にもつながると思っています。

b-「世界的な気候変動リスクの増大」

先程お話したとおり、地球は気候危機に関して瀬戸際を迎えています。PLANTIOでは今の地球のデータをしっかり取得し保管することで、気候危機に対応したいと考えています。PLANTIOの中長期ロードマップには、「インドアファーミング」という屋内で栽培ができる技術を盛り込んでいます。地球がダメになってしまったとしても、我々は室内で育てる技術に転化し、食料の担保を実現したいと考えています。

d-「シェアリング志向」

最近はシェアリング志向が定着してきていますが、日本にはもともと、江戸時代から続く、もったいない精神のもとでモノを長く使ってシェアする文化があり、馴染みがある人も多いでしょう。

PLANTIOの領域でいうと、野菜栽培、つまり私達にとって最も大切な食を大切な人たちとシェアするというのは、さまざまなものの中でも大事な価値観のうちの一つだと思うんですよね。そういったことを復興させていくことで、モノを持たない価値観の広がりも相まって、在りし日のカルチャーへの原点回帰が進むのではないでしょうか。

追加したほうが良いと考える「未来コンセプト」

火星で人類が生きていくために必要な技術

気候が現時点ですでにかなりおかしくなってきていることは、日々植物と対峙している人はよくわかっています。将来は、地球外で食物を育てて生きていくことも必要になるかもしれません。正常な地球の気候を、データを基に屋内でも再現できれば、火星や月でも植物が育つわけですよね。そこにPLANTIOの技術が使えるはずだと思っています。


今後もさらに多くの有識者の方々より「未来コンセプトペディア」に対するご意見をいただき、進化を続けていく予定です。乞うご期待ください!