a-11 : 感情の可視化技術

感情の可視化技術とは?

感情の可視化技術とは、声や表情、バイタル(生体)データ、テキストなど人間の感情に紐づくデータをセンサーやカメラで取得し、AI(人工知能)で解析することで、人間の感情を推測する技術である。

現在、人間の表情などから感情を認識、分析するAIの研究開発が急速に進んでおり、人間の感情を可視化技術をヘルスケアやマーケティング分野で活用する試みが始まっている。ウェアラブルデバイスの普及も進んでおり、これらから一人ひとりのバイタルデータが得られるようになっている。取得したバイタルデータをAIで解析することで、正確かつ詳細な感情が数値化され、人間の感情を高い精度で読み取ることができるようになると期待されている。

 

感情の可視化技術の普及による未来社会の変化

  1. 感情に合わせて、最適なサービス、商品の供給が可能になり、利用者の満足度が向上する。
  2. 集約された感情のビックデータを分析することで、感情のトレンドが把握でき、より多くの人間の心を掴むコンテンツを作成できるようになる。
  3. AIが人の感情を把握することで、ロボットと人間のコミュニケーションが円滑になる。
  4. 各々の感情が数値化されることで、人間関係を最適化するサービスや商品が生まれる。

 

感情の可視化技術のトレンド

NECがウェアラブルデバイスを用いた感情分析ソリューションをリリース

NECがウェアラブルデバイスを用いた感情分析ソリューションをリリース
出典:NEC「人の感情を“見える化”するNEC 感情分析ソリューション」

NECは人の感情を“見える化”するソリューションを提供している。感情把握する対象者にリストバンド型のウェアラブルデバイスを装着してもらい、脈拍数などのバイタルデータを収集する。収集したデータを独自アルゴリズムで分析し、対象者の感情を「興奮・喜び」「穏やか・リラックス」「憂鬱・疲労」「緊張・ストレス」の4象限に分類して可視化する。

NECの感情分析ソリューションはすでに様々な分野での活用を想定し、実証実験が実施されている。工場では、工程別に作業者の感情を分析し、緊張度の出現頻度が高い工程を抽出する。この工程の負荷の高さを特定することで、その後の改善に繋げられる可能性を見出している。

また、会議や研修では、登壇者のスピーチを聞いている人の感情を分析し、集中度や緊迫度を可視化しました。どんなことをどのように話すと聴衆はどう反応するのかを把握することで、より効果的なイベントづくりを期待できる。

他にもヘルスケアにおいては、社員がコンディションや行動をセルフチェックし、自分自身での変化や過去との比較、および他者との比較によって健康意識を高めるきっかけづくりにも活用している。

音声から感情を可視化するAI「Empath(エンパス)」

音声から感情を可視化するAI「Empath(エンパス)」
出典:ニュースイッチ「声から感情を可視化する、海外ビジコン席巻するベンチャーの正体」

Empath(エンパス)とは、人間の声から感情を解析するAIである。声のスピード、抑揚、トーンなどの音響物理的な特徴量から数万人の音声を溜め込んだデータベースをもとに喜怒哀楽や気分の浮き沈みを推定する。

東日本大震災の復興支援をするボランティアスタッフの不調を早めに検知するツールとして活用された。その後、コールセンター領域で活用が広がっている。今後は、様々な場面でのコミュニケーションを支援するテクノロジーとして注目されている。

動画内の表情から感情をリアルタイムに予測する深層学習フレームワーク

動画内の表情から感情をリアルタイムに予測する深層学習フレームワーク
出典:IT media「顔から感情をリアルタイムで読み取り分類 深層学習技術で」

Samsung AI(韓国)とインペリアル・カレッジ・ロンドン(イギリス)の研究チームが、動画内の表情から感情を読み取る深層学習フレームワークを開発した。人間の感情(怒り、幸せ、悲しみなど)だけでなく、その感情がポジティブか、ネガティブか、興奮しているか、落ち着いているかまで読み取ることができる。

この手法は一般的な単眼カメラからの映像を入力に使用しているため、さまざまな分野において容易に活用でき、今後、製品や広告に対するユーザーの反応を数値化や、精神病の患者の兆候や状況を分析できる可能性がある。

 

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