シンクタンクFPRC 未来予測 Z世代の先を読む生活者トレンドとは?2040年の未来市場からバックキャスティングで考える【第5回FPRCフォーラム 後編】
Z世代の先を読む生活者トレンドとは?2040年の未来市場からバックキャスティングで考える【第5回FPRCフォーラム 後編】

2022年6月1日、D4DR社のシンクタンク FPRCは、『消費トレンド2040市場予測』の刊行を記念し、ゲストにnoteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦氏、日経クロストレンド発行人の杉本昭彦氏を迎え、第5回FPRCフォーラム「Z世代の先を読む15の未来市場と生活者トレンド」をオンラインイベントとして開催した。

ディスカッション

後編ではゲストの徳力氏、杉本氏、FPRC研究員の藤元、坂野の4名で、3つのテーマについてディスカッションを行った。本記事では、その内容を抜粋して紹介する。(※ゲスト・登壇者のプロフィールはこちら

1つ目のテーマは、「未来の生活者トレンド」。Z世代をキーワードに、未来の生活者の情報行動、SNS利用について考察した。

2点目は、「ゲストが注目する未来市場」。FPRCが定義する15の新・消費市場を参照し、社会環境の変化を踏まえて有力と考えられる二つの市場、自己表現市場人生学習・メタワーク市場について議論した。

最後に、「未来洞察の力を身につけるにはどうすればよいか」をテーマに、個人がバックキャスティング思考を活用するためにできることを話し合った。

前編では、D4DR/FPRCの藤元と坂野より、企業の事業戦略に関する3つのポイントについてプレゼンテーションを行った。

1. 未来の生活者トレンド

2030~2040年頃には消費の中心を担うようになるZ世代は、将来どのような価値観でどのような消費をするようになるのか。

杉本氏は、Z世代の4大インサイトを紹介した(日経クロストレンド「Z世代の4大インサイトと3つの誤解 「顧客=消費者」はもう古い」)。

(出典:日経クロストレンド「Z世代の4大インサイトと3つの誤解 「顧客=消費者」はもう古い」)

Z世代は海外でも上の世代と比べてサステナビリティ志向が強いと言われているが、杉本氏は「現在は若くてお金がないからその志向なのか、将来もそうなのかはまだ読めない」と話した。

また、杉本氏はZ世代の情報行動について、SNSを検索サービスとして使っていることが大事なポイントだと指摘する。(日経クロストレンド「Z世代のSNS利用実態を分析 「ウェブ検索しない」は本当か?」)

杉本氏:
分析結果を見ると、Twitter、Instagram、TikTok、動画配信サービスで目的が全く違っています。企業はどうしてもメルマガと同じような感覚でフォロワーを増やそうといった発想でSNSを使おうとしがちですが、SNSはもう検索サービスになりつつことを踏まえて活用することが大事なのではないでしょうか。

徳力氏は、Z世代の特徴はあくまでSNSを使っているかどうかに由来するのではないかと話す。

徳力氏:
Z世代の記事をブログなどで紹介すると、私の同世代でもSNSをよく使っている人は「わかる!」という反応です。Z世代を理解できない、と思っている人が多いのは、SNS・デジタルファーストを体感していない人にとってはZ世代のデジタルネイティブの感覚がわからないということではないでしょうか。例えば、SNSを使う人は上の世代でも推し活をしている人が多いですね。

SNSの複数のアカウント使い分けに見られる「マルチパーソナリティ」のような感覚も、他の世代にも通じる普遍的なものではないかという。

徳力氏:
オンラインファーストの生活をしていない人でも、仕事、家庭等によって違う自分を使い分けていますよね。Z世代にとってはオンラインこそが現実社会で、それぞれで見せたい自分が変わるということではないでしょうか。

藤元:
FPRCでも、仕事やコミュニティ、住む場所など、生活の様々な要素をマルチにしていくライフスタイルは、今後さらに加速すると予測して「マルチコミュニティ市場」を定義しています。

また、Z世代は、未来観や幸福感にも特徴があるのではないかと坂野は指摘する。

坂野:
Z世代は情報の取捨選択がうまく、だからこそ現実をフラットに見ているという特徴があると思います。明るい未来が標準の上の世代とは違って、ゲーム・アニメ・漫画などにも多いですが、ディストピアが標準になっているのではないでしょうか。また、大きなことを成し遂げた結果としての幸福ではなく、小さなことの積み重ねとしての幸福を重視しているとも感じます。

 

2. ゲストが注目する未来市場

自己表現市場

徳力氏は、注目する市場として「自己表現市場」を挙げた。FPRCでは自己表現市場を、アートやスポーツなど、自己表現そのものと表現されたものを他者と共有・競争し、共創するための手段やサポートを提供するサービスの市場と定義している。

徳力氏は、メタバースやSNSの組み合わせで自己表現のバリエーションが広がり、深まっていると話す。中でも、「推し活」は注目しているキーワードだという。

徳力氏:
日経クロストレンドの記事「『推し活』Z世代の6割が興味、うち53%が『1万円以上使いたい』」が印象に残っています。SNSによって表現手段が増えたことで、受け身ではなく自分が対象に関わること自体がエンタメになっているのではないでしょうか。

(出典:日経クロストレンド「『推し活』Z世代の6割が興味、うち53%が『1万円以上使いたい』」)

また、メタバース上での自己表現の市場も拡大していくと考えられる。有力なメタバースプラットフォームの一つと目されるバトルロイヤルゲーム「Fortnite(フォートナイト)」では、ユーザーは課金すると自分が使うキャラクターの見た目を変える事ができ、その機能は若い世代を中心に人気を集めている。

徳力氏:
クリエイターエコノミー協会のイベントで、アパレル産業の巨大市場の一つはフォートナイトだという話を聞き、おもしろいと思いました。フォートナイトはゲームではありますが、お金をかけてもキャラクターが強くなるわけではないので、課金の文脈がこれまでのゲームとは全く違うんですね。子どもたちを見ていると、ゲームの中で自分を投影しているキャラクターの見た目は彼らにとってのファッションなのだと感じます。

「メタバース上の自分には課金するが、そのためにリアルな自分に課金しなくなる未来もありうるか」という参加者からの質問に対し、徳力氏は既にその兆しは見えていると話す。

徳力氏:
自分の服はユニクロで揃えて、オンラインではナイキのシューズを買うといったことが既に起こり始めています。コミュニケーションの場がSNSやメタバース中心になると、オンラインの方により手をかけるようになるのではないでしょうか。

杉本氏は、オンラインゲームプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」に注目しているという。

Robloxで開かれた音楽フェスティバル
(出典:Robloxのニュースリリース

杉本氏:
「Roblox(ロブロックス)」はゲームを制作できるメタバースで、アイテムを買うだけでなく、自ら制作して販売し、ゲーム内の通貨を得ることもできます。自己表現が承認欲求を満たすだけでなく、経済活動にもつながるようになってきていて、今後どう変化していくか注目しています。

 

人生学習・メタワーク市場

杉本氏は、注目する市場として「人生学習・メタワーク市場」を挙げた。FPRCでは同市場を、テクノロジーの進化によって学びや仕事が場所と時間の制約から解放され、より個人主体型の活動へと変化するとの予測のもと、そのような新しい学びと働き方を支えるサービスの市場として定義している。

杉本氏は、働き方の変化を支えるサービスとして、隙間時間で働きたい人と企業をマッチングするアプリ「タイミー」を挙げた。(日経クロストレンド「Z世代とおじさん世代、埋まらぬ働き方のギャップをアプリで解消」)タイミーではマッチングのほか、ユーザーの過去の勤務実績や評価も参照できる機能を提供しているという。

杉本氏:
タイミーはスキルや実績をデータとして可視化することでそれに応じて時給も高くなっていくという仕組みで、ユーザーが需要に応じてきちんと給与がもらえるようにするというのはすごくいいミッション・ゴールだと思って注目しています。

また、人生100年時代と言われる中で重要性が高まっている「生涯を通して学び続ける」ことについても議論が及んだ。

藤元:
どのように人生を通して学び続けるか、が重要なテーマになっている中、メディアは学び続ける環境を提供するプレイヤーになる可能性があるのではないでしょうか。

杉本氏:
メディアは記事を提供するだけでなく、その先のビジネスに価値を提供する必要があるとすると、社員のスキルを上げていくこともこれからのメディアの方向性としては大きいと思います。

徳力氏:
日本の教育が扱う範囲は狭すぎるのではないかと思っています。教育では、様々な新しい動きに入っていける感性を育てる必要があるのではないでしょうか。例えば、NFTを使った事業は途上国の方が活発ですが、何かを始めるにはお金が必要だったのが、テクノロジーによって参入障壁が下がってきていることを象徴していると思います。

 

3. 未来洞察の力を身につけるにはどうすればよいか

個人が未来を洞察しバックキャスティング思考を活用するためにはどうすればよいか。徳力氏は、価値観や業種などが全く異なる人と話すことが重要ではないかと話す。

徳力氏:
違う環境の人と議論することは、オンラインですごくやりやすくなりました。SNSで自分はこう思っている、と発信することで、 普段は話せない人とゆるくつながっていろいろ教えてもらうことができます。日々仕事をしながら見たニュースについて、インプットで終わらずにちょっとアウトプットするのはおすすめですね。

杉本氏は、情報を集めて自分なりに整理するツールとして日経クロストレンドが提供している「未来消費カレンダー」を紹介した。未来消費カレンダーでは、将来話題となりそうな新製品、新施設、商戦・イベントなどの予定をカレンダーとして一覧できる。

また、坂野は未来洞察のための視座を作るには情報の幅/量と、それをインプットした後に発酵させるようなプロセスが必要であるという。

坂野:
短時間で個人でやるのは難しいので、俯瞰的かつ大量に情報を提供してもらい、発酵させる機会があると良いですね。情報の塊をベースに議論したり何かを作ったりするのが近道になるのではないでしょうか。

 


前編では、D4DR/FPRCの藤元と坂野より、企業の事業戦略に関する3つのポイントについてプレゼンテーションを行った。


FPRCでは、バックキャスティングによる未来洞察を短時間で実践できるアイディア創出ワークショップも提供しています。ご興味がございましたら、「未来創発ワークショップ」をご覧ください。

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