都道府県別 観光客の動向調査 (Twitterビッグデータによる行動変化のSNS分析) 第13回 2021年10月

47都道府県の動向

 D4DRでは、観光地への往来が回復し、産業として復興するよう応援・確認する目的から、20年10月より47都道府県ごとのSNS上の観光話題の動向を定点モニタリングしている(対象のソーシャルメディアはTwitter、主に話題量の変化から状況を分析している)。過去の公開記事一覧はこちら

都道府県別 旅行・観光話題量の変化(前年同月比)

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東京オリンピックが開催された21年7月は宿泊者数が増加
コロナ禍前の19年同月の6割弱まで回復

 前月同様、まずは観光庁における都道府県別宿泊者の統計データを確認する。21年7月の宿泊者数は138.6%とGoToトラベルキャンペーンが開始された20年7月の宿泊数を上回り、コロナ前の同時期(19年7月)との比較でも6割弱と、回復の兆しがみられた(57.8%)。また、21年4月から宿泊者数の減少が続いていたが、7月では増加に転じた(図1)。

図1 日本全国 宿泊者数推移

行動制限緩和の議論も活発化した21年9月の観光話題量は?
Twitter上の47都道府県別の観光話題量を比較

 続いて、前回同様1か月に観光話題(”47都道府県名”、及び”観光”または”旅行”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外)が多くみられた都道府県を分析。 21年8月から9月の主要な関連動向は、以下となる。

■8月
 ・知事会から国へ“都道府県またぐ移動”の中止・延期呼びかけの提言(8/1) 
 ・ワクチン2回接種後の行動制限の緩和検討表明(8/3)
 ・東京五輪の閉会式・閉幕(8/8)
 ・「宣言」対象地域の百貨店地下売り場への入場制限の部分的導入開始(8/13)
 ・お盆の帰省、Uターンにおける大きな混雑無しと伝える報道(8/15)
 ・20日からの「緊急事態宣言」「重点措置」対象拡大と期限延長の決定(8/17)
 ・国内のワクチン2回の接種率40%に到達(8/27)

■9月
 ・東京パラリンピック閉会式(9/5)
 ・全国知事会による、行動制限の緩和を危惧した提言(9/11)
 ・9月末まで19都道府県を対象に緊急事態宣言が延長(9/12)
 ・国内のワクチン2回の接種率が50%を超える(9/13)
 ・全ての地域を対象に緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の解除が決定(9/28)
 ・全国の感染者数が1,574人まで低下(9/30)

 9月の話題量上位の都道府県をみると、沖縄(前月比61.2%)や東京(前月比63.8%)、大阪(前月比77.2%)など、いくつかの観光立県において、顕著な話題量の低下が確認された。
 ただし、各都道府県における、コロナ感染者数の増減の報道を起点とした話題が大幅に減少しており、コロナの感染動向にともなう観光話題から、本来の観光を中心とした話題へと一気にシフトしていることが窺われる。(”感染”を含む観光話題のツイートの8月→9月の推移は、東京:5,988→889件、沖縄:8,409→899件)

図2 話題量上位10都道府県(21年9月、8月)

GoTo×秋の大型連休で観光地の混雑も報じられた20年9月から
観光話題量減少ワースト10の半数が観光立県に

 次に、季節要因による増減を排除して考察する目的から、前年の同月と比べて観光の話題発生の減少が大きい、特に課題のみられる都道府県を確認。21年9月の前年同月比ワースト10の都道府県を調査した(図3)。

 ワースト1位に東京が初めて入り61.0%、2位は奈良で62.4%、3位は鳥取で63.6%と、前年同月から大きな変化がみられている。
 観光話題量前年同月比ワースト10に、8月はみられなかった東京、奈良、京都、大阪、北海道など観光立県が軒並み入っており、GoToで観光地の人出増加がみられた20年9月と、緊急事態宣言下で迎えた21年9月との状況の違いに加えて、前項で考察したように感染起因の話題が収まりつつあることも影響した。

図3 話題量前年同月比ワースト10(21年9月、8月)

 

 参考までに図4では21年9月の話題量(縦軸)と前年同月比(横軸)の関係をマッピングしている。前年同月比100%を上回る都道府県数は非観光立県を中心に16で、数値上は前回の21から低下する結果となった。なお、前年同月比がワースト10の都道府県を赤字で示しているが、対照的にこちらには観光立県が多く含まれた。

図4 話題量(縦軸)×前年同月比(横軸)(21年9月)

感染リスクを示す各種数値に改善がみられた21年9月
観光客量に対する話題には大きな変化は確認されず

 別の視点として、話題から各都道府県への観光客の「戻り」を把握するため、19年の平均観光話題量上位10都道府県初回記事にて選出)を対象に、客足のボリュームの印象に言及した内容に絞った調査も行っている(図5、 “都道府県名”、及び”観光客”または”旅行客”、併せて”多い””少ない”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外 )。引き続き“多い”の出現量と比率から、回復状況を分析していくダウンロード資料では全都道府県掲載!

※例:次のようなツイートを調査

図5 観光客・旅行客量の言及出現数(19年観光量上位10都道府県)

 ワクチン接種率が50%に到達し、全国の感染者数も1か月の間に2万人から1,500人まで急速に減少した21年9月、観光客量に対するツイート量には変化がみられなかった(8月は、お盆期間に相対的に観光客量を比較した内容が多くみられて一時的に増加していた)。奈良県では観光客の少なさを指摘するツイートもまとまってみられており、緊急事態宣言下で迎えたシルバーウイークは一定の人出にとどまり、前年ほどの急な人の動きの変化や混乱はなかったと捉えられる。
 21年9月には以下のようなツイートがみられた。

 緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が全面的に解除されてから一ヶ月が経ち、全国の感染者数は減少し続けている。10月27日時点では東京の1日の感染者数が三日連続で30人以下になるなど、これまでの解除期間と比べても感染は収束傾向にあると捉えられる。一部地域では感染者数が微増したり、ワクチン接種をしているにも関わらずクラスターが発生するケースも確認されているが、感染拡大には至っていない。

 民間の旅行会社では独自に「旅行ガチャ」といった格安でランダムに旅行できるキャンペーンや、新幹線の乗車料金が半額になるなど、これまでみられなかった旅行を促す取り組みが各所で増えてきた。一人一人が感染再拡大に留意して、安全に旅行を楽しめる準備ができつつあるように窺われる。D4DRでは引き続き、月1回Twitterを対象に前月分の定点調査結果を公開し、数値から復興の動向を継続的に分析していく。

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Ichiko Oki

ソーシャルメディア分析を専門領域に、投稿をもとにした実践的なインサイト抽出・提案を得意とするデータアナリスト。2018年11月よりD4DR 札幌リサーチセンター開設・室長。

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