a-22 : 量子コンピューター(組合せ最適化・シミュレーションの超高速化)

量子コンピューターとは?

量子コンピューターとは、量子力学の現象を情報処理技術に適用することで、従来型のコンピューター(古典コンピューター)を凌ぐ速度・規模で複雑な問題を解くことが可能な次世代型コンピューターのこと。

量子コンピューターによって組合せ最適化・シミュレーションが超高速化し、自動運転技術や、新薬・新素材の開発などが急速に進展することが期待される。

予想される未来社会の変化

  1. 様々な分野において最適化が進む(物流網・交通システム、材料設計・製造プロセスなど)
  2. 創薬プロセスが革新的に効率化され、分子レベルでの精密なシミュレーションにより新薬開発が加速する
  3. 気候変動や環境システムの超精密なシミュレーションが可能となり、より正確な予測と効果的な対策立案が実現する
  4. 現行の暗号技術が無効化される可能性があり、量子暗号など新たな情報セキュリティ技術への移行が必要となる

トレンド

量子アニーリング

出典:PR TIMES『KAGOYA、数理最適化によって企業のDXを加速する「量子アニーリング」の提供を開始』

カゴヤ・ジャパンはKAGOYA FLEX HPCサービスで「量子アニーリング」を提供開始。

企業の生産性向上や業務効率化のためのデータ活用が進むなかで、創薬や、生産計画、配送計画などにおいてさまざまな組合せ最適化問題が課題となっている。これらの組合せ最適化問題の解決にはスーパーコンピューターで計算処理を行っても組合せ爆発が起こり膨大な時間を必要とする。

「量子アニーリング」では、シミュレーテッド・アニーリングを利用することで、高速な数理最適化計算が可能となり、ビジネス課題の解決を実現する。月額定額で利用できるクラウドサービスであり、これから量子コンピューティングに取り組みたい企業や大学の研究室に最適。

量子コンピューティング技術を活用して航空機整備計画を最適化

出典:PR TIMES「本邦航空業界初、エー・スター・クォンタムとJAL 量子コンピューティング技術を活用して航空機整備計画を最適化」

エー・スター・クォンタムと日本航空は本邦航空業界初となる量子コンピューティング技術などによる最適化計算を活用した運航整備計画の最適化アプリケーションの開発に着手。開発に関しては、JALグループの航空機整備を担うJALエンジニアリングが推進。

航空機の運航整備計画は、機材の使用状況、整備士の数、整備項目の期限、格納庫の収容数、整備実施空港、整備器材数など、膨大な制約条件を加味して策定する必要がある。長年の経験を持つベテラン社員が莫大な労力を費やして策定しており、また、運航ダイヤの急な変更に合わせての計画最適化は容易ではなく、従来のコンピュータでは制約条件に適合した計画を短時間で作成することは現実的ではない。

量子コンピューティング技術の活用によって、ベテラン社員のノウハウを継承しながら、最適な計画を自動的かつ短時間に策定することが可能となる。また、計画を最適化することにより、品質向上などの新たな価値創造に繋げる。

量子コンピューティング技術を用いた接客ビッグデータ解析・活用研究

出典:PR TIMES『AIロープレ”mimik”、量子コンピューティング技術を用いた接客ビッグデータ解析・活用研究を開始」』

KandaQuantumはQualiagramと協働し、Qualiagramの接客ビッグデータおよび接客AI技術と、量子コンピューティング技術を組み合わせ、接客に関する無限に近いビッグデータ解析を行うことで、より精度の高いAIロープレ支援へとアップデートしていく。

真のAI接客の実現には、トークスクリプト、表情、音声、身振り、提示資料、タイミングなど、多数の要素が絡み合い、無限に近い組み合わせ問題を解くことが必要になってくる。

このような組合せ爆発が起こるような問題の解決を得意としているのが量子コンピューティング技術であり、これら複数の種類の情報を処理することが可能な技術が「マルチモーダル技術」と呼称されている。


・量子コンピューターとは、量子力学特有の物理現象を用いたコンピューターのこと

出典:ZDNet Japanより
IBMが量子コンピューターの優位を”現実的”な実験で証明

・量子コンピューターによって、計算速度は飛躍的に高まる

・従来のコンピュータと比較的互換性がある「量子ゲート方式」と呼ばれる「汎用型」と、一部の計算に特化して、より高速で大きな問題(組合せ最適化問題)に対処できる「量子アニーリング型」の二種類が存在

・大手IT企業では、量子コンピューターを低価格で契約しやすくし、ユーザーに広く提供する予定である。すでにマイクロソフトやAWSは、3種類の量子コンピュータを提供している

Introduction to Amazon Braket, the AWS Quantum Computing Service

・現在の量子コンピュータはエラーが多いため、量子コンピューターと従来のコンピューターのハイブリット計算を使用することが主流(量子コンピューターで短い計算を行い、従来のコンピューターで補正をかけ、エラーを直しながら計算する)

・2025年頃には量子コンピューターの性能が、スーパーコンピュータを超える時代になり、様々な計算が可能になる

・2050年頃になると、汎用マシン化の時代が到来すると予測される

出典:FinTech Journalより 

・日本では、福岡のベンチャー企業が、ゴミ収集作業の最適ルートの計算に、量子コンピューターを活用している事例がある

出典:グルーヴノーツHPより

 

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