問われるテクノロジーの倫理的な利用
~FPRC Fortnight Feature(FFF)20年6月上旬号~

毎月2回、FPRC研究員が国内外のニュースを取り上げ、独自の目線で読み解く「FPRC Fortnight Feature(FFF)」。2020年6月上旬号として、AR手術支援システム、ロボット技術を活用した義手、パーソナルモビリティなどに関するトピックスをお届けいたします。

 

5G

6/9「GU起用で注目のバーチャルヒューマン 5G時代には街中にも出現」
  <https://robotstart.info/2020/06/22/uninomics-ntteast.html>

GUが起用したバーチャルヒューマンは、体形を変えられるため、一般ユーザーの幅広い体形に合った着こなしを提案できるという。

AI

6/7「神戸製鋼が「溶接AI」、“職人技”再現へ  
  <https://newswitch.jp/p/22526>

神戸製鋼所は、自動化が難しかった造船現場の溶接技術を、AIの学習機能と視覚センサーを搭載したロボットで自動化しようとしている。高度で複雑な動作が求められる分野でも、AIによる自動化が進んでいる。

6/4「厚労省、コロナ関連でAI肺画像解析プログラムを承認」  
  <https://r.nikkei.com/article/DGXMZO59956730U0A600C2000000>

新型コロナに関係する医療機器として承認されたのは、中国のスタートアップ企業が開発した、AIで肺X線CT画像を解析するプログラム。肺炎診断支援プログラムに、新型コロナ肺炎患者の画像データを学習させている。

6/3「コロナ肺炎診断にAIの目 エムスリー、アリババと開発」
  <https://r.nikkei.com/article/DGXMZO59919840T00C20A6TJ1000>

エムスリーも、アリババのAIを自社の画像診断システムに組み込み、新型コロナ肺炎診断システムを開発した。厚労省に承認を申請中。中国ではすでに病院で患者の診断に使用されている。

VR/AR

6/1「世界中の患者にリモートで最良の手術を:あるスタートアップが手がけたAR手術支援システムの実力」
  <https://wired.jp/2020/06/01/proximie-remote-surgeons/>

ARを使って、手術時に専門家が遠隔から外科医を指導できるシステムが、英国防省や新型コロナウイルスの治療を行う医療現場で活用されている。医療分野は、医療機関や教育機関の訓練にVRを早期に導入してきたが、治療現場におけるVRやARの利用が進展することも期待される。

ロボット

6/1「“考える”だけで動く高精度なロボットアームが、「次世代の義手」へと進化する(動画あり)」
  <https://wired.jp/2020/06/01/a-deft-robotic-hand/>

6/15「ロボット技術を活用した義足を開発する『BionicM』」  
  <https://ascii.jp/elem/000/004/013/4013368/>

ロボティクスは、義手や義足にも応用されており、革新的な操作法やより自然な動きの実現を目指した開発が進んでいる。開発中の「”考える”だけで動くロボットアーム」は、腕の神経活動の信号を増幅する新たな手法と、信号に対応する動きを学習するアルゴリズムを使用することで、取り付けてすぐにロボットハンドを制御することができることを目指しているという。「BionicM」は、最先端のロボット制御技術を使用し、自然な歩行を実現している。

6/4「職人の動き体感できる。2030年に実現する装着型ロボ構想が面白い」
   <https://newswitch.jp/p/22493>

職人やアスリートの動きをデータ化し、それをもとにロボットを動かすことで動きを体感できる装着型ロボットの開発が進んでいる。技能の習得に活用できるようになるかもしれない。

6/10「やよい軒 が「ごはんおかわりロボ」を全店に順次導入【新型コロナ対策】ごはんのおかわりを非接触のロボットで!」  
  <
https://robotstart.info/2020/06/10/yayoiken-okawari.html>

新型コロナ対策として、飲食店にロボットを導入する事例の一つである。他には、配膳ロボットを導入する事例次々に登場している。

生体認証

6/9「IBMが顔認識技術から撤退、CEOは偏向と不平等の廃絶を訴える」
  <https://jp.techcrunch.com/2020/06/09/2020-06-08-ibm-ends-all-facial-recognition-work-as-ceo-calls-out-bias-and-inequality/>

顔認証技術は、新型コロナウイルス対策の体温測定、金融サービスのセキュリティ向上、決済サービスなど多様な場面で活用されている。一方で、人権侵害につながる懸念も提起されている。顔認証システムは女性や有色人種を誤認する頻度が高く、これらの集団の不公平な取り扱いにつながる可能性があるという。IBMのCEOは同社が顔認証サービスから撤退することを発表し、米国の法執行機関が顔認証技術を採用するべきかどうかの国民的対話を始めるべきであると表明している。

IoT

6/12「鏡×IoT「スマートミラー」をヘアサロンへ導入 導入により来店者数が約170%増の実績も」 
 <
https://www.excite.co.jp/news/article/DigitalShiftTimes_FN200614_2/>

スマートミラーは、鏡に内蔵されたカメラで撮影した顔を映し出し、髪型のシミュレーションが行える。将来的には、店舗だけでなく家で使用できるスマートミラーや、メイクや服装のシミュレーションが行えるスマートミラーなども登場すると考えられる。

6/5「大和ハウスがIoT駆使の最新モデル住宅を公開」
  <https://newswitch.jp/p/22518>

モビリティ

6/8「羽田空港、自動運転の「車イス」を世界で初めて正式導入–WHILLが提供、無料で利用可」
  <https://japan.cnet.com/article/35154968/>

車椅子型の電動パーソナルモビリティが、羽田空港に導入された。自動運転で待機場所から搭乗口まで移動する。通常の車椅子介助サービスでは難しかった、ユーザーと介助者のソーシャルディスタンスを確保することも可能だという。

6/9「カバンに入る4輪電動モビリティ「WALKCAR」。降りると止まる」 
  <https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1257/728/index.html>

6/8「日産、国内販売の6割を電動車に 23年度までに」    
  <
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO60017280V00C20A6TJ1000>

金融・決済

6/8「セブン、クレジットカード非接触決済を全店で導入」
  <https://r.nikkei.com/article/DGXMZO60090940Y0A600C2HE6A00>

ヘルスケア

6/8「Apple Watchの心電図機能、日本でも利用可能に?アップルが「医療機器製造業」として認定される」
  <
https://www.huffingtonpost.jp/entry/apple-watch_jp_5eddb305c5b6bd197e145fe2>

 

バーチャルヒューマンに用いられている技術は、ディープフェイクの悪用という形で利用されることが問題となっている。大手IT企業は近年、テクノロジーの倫理的な利用に取り組むようになっている。IBMも、顔認識技術による人権侵害への懸念を表明した。しかし、技術の倫理的な側面については、議論がまだ不十分であることが指摘されている。今後、規制などの対応策がどのように制定・運用されるか、注視していくことが必要だ。

今回の新型コロナウイルス流行を経て社会がどのように変化するか、そして各業界がどのような戦略にシフトしていくべきなのかを考察した「アフターコロナ時代のビジネス戦略」を連載しています。ぜひ「こちら」もご確認ください。