c-36 : 移動手段のシームレス化・定額化(MaaSなど)

MaaS(Mobility as a Service)とは?

MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、ひとりひとりの移動ニーズに対応して、複数ある移動手段から最適な移動手段を組み合わせて提供するサービスの概念である。スマートフォンやパソコンで目的地を入れるだけで、最適な移動ルートを検索・予約・決済までを一括で済ますことができる。移動手段の選択肢には、電車やバスなどの公共交通機関だけでなく、飛行機やレンタカーやシェアサイクルなどの様々な移動手段が含まれる。

MaaSが実現することで、以下のような課題を解決することが期待されており、国土交通省もMaaSの早急な普及に取り組んでいる。

  • 地方や観光地の移動利便性向上
  • 齢者の移動手段確保
  • 渋滞の緩和
  • 環境負荷の低減

 

予想される未来社会の変化

  1. デジタルネットワークにより、多様な交通手段が統合され最適化される
  2. 経営が困難になっている公共・民間の交通サービスの存続が可能になる
  3. 移動手段を個人で所有する必要がなくなり、エネルギー・資源消費の最適化される
  4. 自動運転車やパーソナルモビリティなどの新たな移動手段も統合される
  5. 運行データなどが統合管理されることで、地域マネジメントにも活用される

 

トレンド

和歌山県すさみ町の行政MaaS

出典:MONET「和歌山県すさみ町の行政MaaSの取り組みに協力」

和歌山県すさみ町は、MONET Technologiesと連携し、2025年1月から同県初の「行政MaaS事業」を開始。

町の高齢化率の高さや集落の点在による行政サービスへのアクセス困難を背景に、マルチタスク車両を導入。

この車両は、役場と同等の通信環境を備え、行政相談、マイナンバーカードを使った証明書発行、期日前投票、スマホ教室などの機能を提供する。

また、災害時には罹災証明の受付や、Starlinkによる通信支援、WOTA BOXによるシャワー提供など避難所支援にも活用される。今後は移動診療所としての展開も予定している。

障がい者の生活自立支援に向けた医療MaaS実証実験

出典:デジタルクロス「つくば市、障がい者の公共交通利用を促す医療MaaSを実証実験」

つくば市、筑波大学、つくばスマートシティ協議会、関東鉄道、今川商事、日立製作所によるつくばハンズフリーチケッティング共同事業体は、障がい者の生活自立支援と安全安心な地方公共交通利用の促進のために医療MaaS実証実験を開始。

スマートフォンアプリ画面の提示でバスの乗車と事後決済が可能。往復でのバス利用で割引が自動適用。参加者の家族は、参加者のスマートフォンの無線装置(ビーコン)の受信データからリアルタイムで移動位置を確認できる。

今後はハンズフリー乗車/決済の対象となる施設やサービス、および移動手段となる公共交通機関を拡大し、利便性の高い交通サービスの実装をめざし、取り組みを加速していく。

つくば市ではつくばスーパーサイエンスシティ構想を掲げており、必要なとき、必要な場所へあらゆる移動手段を提供する「つくばスマートモビリティ」の実現に向けた取り組みの一環として行われている。

和紙ロードMaaS

出典:PR TIMES『小川町・東秩父村の観光がもっとスマートに!AI搭載アプリ「和紙ロードMaaS」で快適な旅へ!イーグルバス株式会社より2月7日公開』

イーグルバスは、小川町と東秩父村の観光をより便利に楽しめるWEBアプリ「和紙ロードMaaS」を公開。

路線バスを活用し、AIがユーザーに最適な観光コースを提案するダウンロード不要のブラウザベースのMaaSサービス。

AIによる観光コース作成、路線バス時刻との連携、多言語対応で外国人観光客も安心という特徴がある。

AIを活用し、個人の志向に応じたオリジナルの行程を作成する「和紙ロードMaaS」アプリの開発も行っている。


全国展開を進めるMaaSアプリ「my route」

 全国展開を進めるMaaSアプリ「my route」
出典:にしてつグループ プレスリリース

my routeはトヨタと西日本鉄道が2018年11月から実証実験を始め、2019年11月に実用化されたスマートフォン向けマルチモーダルモビリティサービスである。実証実験を行った福岡市では訪日外国人専用1日フリー乗車券「FUKUOKA TOURIST CITY PASS」をデジタル化し、my routeで購入が可能となった。利用可能エリアは北九州や横浜、宮崎市、水俣市などで順次全国展開をしている。

小田急電鉄によるMaaSアプリ「EMot」

小田急電鉄によるMaaSアプリ「EMot」
出典:小田急電鉄株式会社 プレスリリース

小田急電鉄により開発されたスマホ用MaaSアプリ。観光地のデジタルチケットの購入やルート案内、ロマンスカー特急券の購入等のサービスを提供している。箱根や湘南、熱海など観光地エリアをメインに展開。チケットの譲渡機能もあり、家族や団体で出かけるときなど、別のアカウントに移行させることが可能。

高齢者向けMaaS「芽室MaaS

高齢者向けMaaS「芽室MaaS」
国土交通省「令和3年度日本版MaaS推進・支援事業 12事業について(PDF)」

2022年1月に北海道芽室町で開始された高齢者向けのMaaSサービス。ドライバーと商業施設の連携による買い物支援サービスやタクシー車内での買い物発注機能などを独自開発。高齢化や過疎化が進んでいる地域の移動手段を確保し公共交通空白地の交通需要の調査を行う。

 

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