フィードバック③:逸見 光次郎氏(株式会社CaTラボ 代表取締役)

株式会社CaTラボ 代表取締役 日本オムニチャネル協会 理事

94年三省堂書店入社。神田本店、成田空港店、相模大野店(立ち上げ)、八王子店勤務。99年ソフトバンク イーコマース入社。イーショッピング事業立ち上げ。イーエスブックス社MD、CS、社長室、広報、総務、広告営業等(後のセブンネットショッピング社)。06年Amazonジャパン入社。ブックスMD。07年イオンリテール入社。イオン(株)事業企画プロジェクトチームにてイオンネットスーパー事業立ち上げ。その後、デジタルビジネス戦略チームにてデジタル事業戦略立案、M&A等に関わる。11年キタムラ入社。EC推進本部副部長兼ピクチャリングオンライン会長、のち統合して、執行役員EC事業部長。オムニチャネル(人間力EC)化を推進。17年独立。

注目する「未来コンセプト」

c-08 サーキュラー・エコノミーの発展

d-08 ナチュラル志向・エシカル志向

人口が増え、経済成長が続いていた時代は、とにかくたくさん効率よく作ればいいという生産者の論理が優先されていました。しかし今はむしろ生産年齢人口が減り、経済が大きく変わり始めています。

高校生の息子の話を聞いていても、「社会貢献は当たり前」という意識が広がっていることを感じます。この状況は経済の停滞というより「成熟」だと思っていますが、モノを購入する際にも、価格だけでなくいろいろな要素が考慮されるように変わってきていますよね。ただ、50代、60代以上のビジネスマンや経営者には実感しにくいポイントだと思うので、この項目を注目する「未来コンセプト」として取り上げました

b-25 少子化と人口減少

国内は確かに少子化と人口減少が進んでいますが、世界に目を向けると状況は違います。私はコロナ前は定期的に東南アジアの高校生のホームステイを受け入れていたのですが、インドネシアの高校生は、日本の平均年齢が高いことを数字では知っていても、実際に目の当たりにするとショックだと言っていました。インドネシアは国全体の平均年齢がまだ30歳前後ですからね。

一方で、東南アジアの高校生が面白いのは、みんなYou Tubeなどで日本のアニメや動画を見ているから、日本のことをよく知っているんです。文化に対する憧れのような気持ちを持っている人もいます。日本国内の消費人口は減っていますが、今はSNSなどいろいろな方法で文化を伝えることができるし、越境ECでモノも送ることができます。海外の消費力がある地域の生活者に対する理解を深め、コンテンツやモノを届けることで国内の人口減少を乗り切れるかもしれないと思っています。

b-15 国際的なサプライチェーンのリスク化

サプライチェーンは単体で考えるよりも、あちこちに繋がっていることを前提として考えることが正しいと思っています。コロナの影響でサプライチェーンの透明化の重要性が再確認されました。今はデジタルデータがすぐ取れて共有する手段も安価なので、メリットとデメリットを把握した上で、サプライチェーンを見える化して協力者として繋がっていく関係を作っていくタイミングだと思います。

d-07 メタワーク化・労働の多元化

変化の少ない時代には組織が階層化している方がよかったのだと思いますが、様々な変化がスピードアップしている今、最前線にいる現場の方たちが一番現状をよく把握している状況です。ただ、現場の方たちに権限をまるごと渡してしまっても本人たちも困ってしまう。だからこそ、今はヒエラルキーではなくフラットな関係性の中で、役割としての経営者、管理職、現場販売、という意味合いに変わってきているのではないかと思っています。

今の自分自身のように独立していろいろな仕事を同時にやるメリットは大きいと思いますが、一方で、私はいろいろな事業会社で25年くらい、基礎から学べたことは恵まれていました。メタワーク化が進む中で、ビジネスの基礎的な素養を持った上で次に積み上げていくというステップを社会的に作ることが課題だと思います。成長しながら社会に貢献し、自分自身の満足度も高まるという働き方が本来のメタワークや労働の多元化だと思いますが、新卒でどこかの会社に入って、3年、5年働いて、すぐにリモートワークで副業化しますという状況だと、買い叩かれる安い人材のようになってしまうことを危惧しています。


今後もさらに多くの有識者の方々より「未来コンセプトペディア」に対するご意見をいただき、進化を続けていく予定です。乞うご期待ください!