シンクタンクFPRC リサーチ・分析 都道府県別 観光客の動向調査 (Twitterビッグデータによる行動変化のSNS分析) 第15回 2021年12月
都道府県別 観光客の動向調査 (Twitterビッグデータによる行動変化のSNS分析) 第15回 2021年12月

47都道府県の動向

 D4DRでは、観光地への往来が回復し、産業として復興するよう応援・確認する目的から、20年10月より47都道府県ごとのSNS上の観光話題の動向を定点モニタリングしている(対象のソーシャルメディアはTwitter、主に話題量の変化から状況を分析している)。過去の公開記事一覧はこちら

都道府県別 旅行・観光話題量の変化(前年同月比)

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緊急事態宣言下でも感染者数改善が顕著だった21年9月
宿泊数は未だコロナ前の半分以下で制限解除を待機

 前月同様、まずは観光庁における都道府県別宿泊者の統計データを確認する。21年9月の宿泊者数は前年の86.2%で、8月の118.5%から低下。比較している20年の宿泊者数推移が変則的とはいえ、2月以来7か月ぶりに前年同月比100%を下回った結果となる。この時期徐々に感染者数は減少し、自粛疲れの声も聞かれたものの、多くの人や企業が感染再拡大を警戒し自粛し続けたことで、コロナ前の半分以下の低い水準が維持された。

図1 日本全国 宿泊者数推移

各所で観光促進の施策検討が再開した21年11月の観光話題量は?
Twitter上の47都道府県別の観光話題量を比較

 続いて、前回同様1か月に観光話題(”47都道府県名”、及び”観光”または”旅行”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外)が多くみられた都道府県を分析。 21年10月から11月の主要な関連動向は、以下となる。

■10月
 ・解除後初の週末、多くの地点で前4週平均より外出人数増(10/2)
 ・今年初、東京都の感染者数が100人を下回る(10/4)
 ・飲食店への時短要請が全面解除(10/25)
 ・ワクチン2回摂取済が全人口の70%を超える(10/26)
 ・1週間の平均感染者数が264人と過去最小水準(10/29)

■11月
 ・1年5ヶ月ぶりに東京都の新規感染確認が一桁となる(11/1)
 ・21年12月からのワクチン3回目の追加接種の方針が固まる(11/10)
 ・22年1月以降のGoToトラベルの再開を検討開始(11/19)
 ・東京都が都内旅行1泊あたり5,000円の補助「都民割」再開を検討(11/25)
 ・オミクロン株感染拡大の水際対策として、外国人の新規入国が原則禁止となる(11/30)

 11月の話題量上位の都道府県をみると、特に京都と東京の話題量が大幅に増加していた。京都は20日以降に話題量が増加し、紅葉シーズンの混雑を報告するツイートも多数みられるようになるなど、本格的な復興への動きと捉えられる変化であった。一方東京では男性アイドルグループの東京観光体験動画のシェアによって、特定の数日間に大きな話題の増加がみられており、観光者による盛り上がりは限定的であった。

 他の県は多少の増減に留まり、日本全体の話題量は僅かに増加する程度であった。現状、緊急事態宣言解除後も感染者数が減少している事実は大きく、21年11月には各所で観光の復興施策も検討されている。今後は徐々にコロナ禍前の話題量に近づくことが予想された。

図2 話題量上位10都道府県(21年11月、10月)

GoTo利用による観光話題のピークがみられた20年11月との比較
話題量回復は10月の前年比較値から足踏みした格好

 次に、季節要因による増減を排除して考察する目的から、前年の同月と比べて観光の話題発生の減少が大きい、特に課題のみられる都道府県を確認。21年11月の前年同月比ワースト10の都道府県を調査した(図3)。

 前年同月比ワースト1位は北海道(70.0%)、2位は香川(72.4%)、3位は大分(79.8%)であった。表題のとおり前年の20年11月には観光促進の影響で顕著な盛り上がりがみられたことから、回復度合いは前月からは足踏みした格好となる。
 特にワースト1位となった北海道は、20年11月にクラスター感染の増加や感染者数が高止まりしたことで独自に感染対策のステージを上げるなどの、コロナに起因する観光話題も尽きなかった。GoToトラベルとの兼ね合いも危惧する声が多く、一時的に前年の話題量が増加したことが要因の一つであると考えられる。

図3 話題量前年同月比ワースト10(21年11月、10月)

 

 参考までに図4では21年11月の話題量(縦軸)と前年同月比(横軸)の関係をマッピングしている。前年同月比100%を上回る都道府県数は25で、前月の31から低下。右に大きく伸びていたグラフも、前年同月100%を挟んで左右対象に散らばった形状に変化した。なお、前年同月比がワースト10の都道府県を赤字で示している。

図4 話題量(縦軸)×前年同月比(横軸)(21年11月)

ワクチン接種率向上と感染者数低下で待った無しの21年11月
一部の観光立県に観光客量の戻りの兆しを確認!

 別の視点として、話題から各都道府県への観光客の「戻り」を把握するため、19年の平均観光話題量上位10都道府県初回記事にて選出)を対象に、客足のボリュームの印象に言及した内容に絞った調査も行っている(図5、 “都道府県名”、及び”観光客”または”旅行客”、併せて”多い””少ない”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外 )。引き続き“多い”の出現量と比率から、回復状況を分析していくダウンロード資料では全都道府県掲載!

※例:次のようなツイートを調査

図5 観光客・旅行客量の言及出現数(19年観光量上位10都道府県)

 ワクチン接種が進んだ状態で全国の1日の感染者数が100人を切る日も見られたことで、これまで以上に人々が安心して外出できる空気となった21年11月は、京都では「多い」が前月の約2倍の話題量となり、本年最多となった。

 また北海道や沖縄など、数値上は未だ変化の乏しい地域においても、外食時にお酒を楽しむ写真が確認されはじめるなど、新たな兆しは見え始めた。このまま感染者数に落ち着きが戻れば、京都を皮切りに他の地域でも「多い」が増加するのではないかと考えられる。

 21年11月には以下のようなツイートがみられた。

 12月下旬となる現在も順調に感染者数を押さえ込むことができており、2年ぶりの帰省を考える人も多いようだ。実際、航空会社からは前年に比べて年末の国内線利用者が6割〜7割増、JRグループでは新幹線の予約が前年に比べて約9割増となる報告がされ、一層回復の兆しが感じられる。


 一方で、日本国内だけでなく世界中でオミクロン株の感染が非常に危惧されている。政府は先月から外国人の新規入国を原則禁止とする水際対策を行なっているが、オミクロン株の感染者は国内でも徐々に確認され始め、油断ならない状況だ。3回目のワクチン接種や医療体制の強化などの第6波に備えた動きだけでなく、一人一人が感染対策を怠らず、安全な状況をキープして観光施策を利用していくことで、一早い観光復興も期待できるだろう。D4DRでは引き続き、月1回Twitterを対象に前月分の定点調査結果を公開し、数値から復興の動向を継続的に分析していく。

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Ichiko Oki

ソーシャルメディア分析を専門領域に、投稿をもとにした実践的な生活者のインサイト抽出・提案を得意とするデータアナリスト。2018年11月よりD4DR 札幌リサーチセンター開設・室長。

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