SNS調査 東京オリンピックのマラソン札幌開催・大通り発着案に賛成の市民は 3%に

「(東京オリンピックのマラソン、競歩の開催会場を)札幌に移す検討に入った」ーー五輪開幕まで9か月を切った2019年10月16日19時、この突然の一報は、WEBニュースやテレビで取り上げられ、瞬く間に広まりました。

D4DR 札幌リサーチセンターでは、twitterを対象として、本文に「札幌」「マラソン」両方を含む投稿を対象として収集の上、この報道から数日間の反応の大きさ、及び賛否の反応を、全体、さらに都民、道民に分けて確認することにしました。

2日半の投稿量27万件、5億の推定リーチが発生

今回調査の対象としたのは、検討を伝える最初の報道があった10月16日(水)の夕方から18日(金)深夜までの2日半。
同期間内の話題発生量は27万件。推定リーチは5億にものぼり、注目の高さを伺わせます。
時間帯別でみると、16日と17日の夕方以降に話題とリーチの増加が確認され、さらに一報から時間が経過しても安定して高い話題量を維持していることが確認できます。

速報性重視の”情報”から視点を持った考察へ 
話題は徐々にシフトする

次に、20時台には最大2万2,000件もの話題発生がみられた16日には、主にどのようなアカウントの投稿が起点となっていたのでしょうか。
ここでは多くリツイートされたアカウントを、情報を配信する「メディア」側と、考察を書き込む「個人」に分類し、時間帯別推移で確認してみましょう。

19時台、20時台には大半がメディアや委員会公式などの情報配信を行っているアカウントによる投稿の拡散でしたが、21時以降は、インフルエンサーや政治家などが投稿した見解コメントへの反応中心へとシフトしていることがわかり、多様な視点における賛否、活発な意見が飛び交っている可能性がうかがわれます。

東京と札幌 それぞれの立場で反応はどう変わるか

さて。上記を踏まえて、生活者の反応を確認してみましょう。ここではエリアによる区別のない全体の意見を確認した上で、「東京都民(移転元)」「札幌市民(移転先)」にわけて、賛否の比率の違いや、主な理由を確認しました。(ここでは「東京五輪のマラソン競技を札幌で開催すること」への賛否に限定して判定し、五輪そのものや組織についての意見は判定対象から除外しています)

・全体:賛成26% 反対25%
・東京都民:賛成23% 反対31%
・札幌市民:賛成12% 反対38%
東京都民・札幌市民ともに反対が賛成を大きく上回り、特に札幌市民では反対意見が賛成意見の3倍確認されています。理由はどのようなものでしょうか。

〇主な賛成理由
・共通:選手の安全性優先、東京開催での酷暑の懸念
〇主な反対理由
・東京都民:投下済みコストへの批判(道路の舗装等)、追加コストの懸念(選手スタッフの移動費や施設利用料、チケット払い戻し等)
・札幌市民:理解不足の疑問(夏季の札幌の暑さ)、生活圏への影響の懸念、課題を解決できなかった東京を無責任と捉えた批判

東京都民、札幌市民ともに変更するタイミング、納得できる説明の不足、決定プロセスへの不満から、少なからず反対意見が増加しています。それぞれの反応からは、今回のような対策が早い段階で検討されていれば、多くの住民が納得できた可能性が高い(時間があれば解決できた問題が多い)、と捉えることもできそうです。

大通り公園発着案の浮上で札幌市民の反応が変化、賛成は3%まで低下

終わりにーー。札幌開催が濃厚となった後に、当初の想定コース(札幌ドーム発着)では改修の必要があることが表面化し、大通り公園発着案が浮上すると反応が変化。反対が約7割まで増え、賛成意見は3%まで減少しました。

理由は…「ビアガーデンを止めるな」。大通り公園で1か月開催されるビアガーデンは、札幌市民にとっては短い夏を過ごすための重要な風物詩であり、そのビアガーデンを中止にしてまでオリンピックを楽しむことはない、許せないという意見が多く、反対の署名運動まで発生しています。中止なら「市税を払わない」「雪まつりを東京でやってもらう(地元民はあまり行かない)」などの声もみられ、市民感情の悪化も懸念されています。
コースやビアガーデンの時期の調整など今後の行方にも目が離せない状況ですが、前述と同様、早い段階で決まっていれば札幌ドーム発着のコース改修も検討できたことから、すべて”タイミング”がこの問題のポイントと言えそうです。

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Ichiko Oki

Ichiko Oki

ソーシャルメディア分析を専門領域に、投稿をもとにした実践的なインサイト抽出・提案を得意とするデータアナリスト。2018年11月よりD4DR 札幌リサーチセンター開設・室長。

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