都道府県別 観光客の動向調査 (Twitterビッグデータによる行動変化のSNS分析) 第2回 2020年11月

47都道府県の動向

 D4DRでは、観光地への往来が回復し、産業として復興するよう応援・確認する目的から、20年10月より47都道府県ごとのSNS上の観光話題の動向を定点モニタリングしている(対象のソーシャルメディアはTwitter、主に話題量の変化から状況を分析している)。

都道府県別 旅行・観光話題量の変化(前年同月比)

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夏休み・お盆を含む20年8月も宿泊数は前年の42%にとどまる

 前月同様、まずは観光庁における都道府県別宿泊者の統計データを確認する。年間で宿泊利用がもっとも増加する8月になっても、20年は前年比4割で足踏みした状態で、依然宿泊利用が大きく落ち込んでいることがわかる(図1)。

図1 日本全国 宿泊者数推移

GoToによる活性化もあり9月から微増
Twitter上の47都道府県別の観光話題量を比較

 続いて、前回同様1か月に観光話題(”47都道府県名”、及び”観光”または”旅行”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外)が多くみられた都道府県を分析。 20年9月から10月の主要な関連動向は、以下となる。

・シルバーウィーク ※期間中の高速道路、空の便、行楽地の混雑が報道(9/19~22)
・GoToトラベルキャンペーンの東京都発着の対象化(10/1 ※予約は9/18開始)
・地域共通クーポンのスタート(10/1)
・GoToイートキャンペーンのスタート ※上旬に”トリキの錬金術“が問題化(10/1)

 10月の話題量上位10のうち、奈良を除いた9都道府県に、9月からの話題の増加が確認されている(図2)。

図2 話題量上位10都道府県(20年10月、9月)

前年10月の話題量を最も下回っていたのは?
前年同月比の特に低い都道府県に変化!

 次に、前年と比べて観光の話題発生の減少が大きい、特に課題のみられる都道府県を確認。20年10月の前年同月比ワースト10の都道府県を調査した(図3)。

 10月の前年同月比ワーストは沖縄で53.8%。2か月連続最下位だった大阪は 10%改善して58.8%と46位となった。38位の福岡から45位の千葉までが70%台となったことも、9月からの改善が窺われる。

図3 話題量前年同月比ワースト10(20年10月、9月)

 参考までに図4では20年10月の話題量(縦軸)と前年同月比(横軸)の関係をマッピングしている。前月よりは改善が窺われるものの、未だ低い水準に集中している(前年同月比がワースト10の(=課題が窺われる)都道府県を赤字で示している)

依然注目!コロナ禍で「各都道府県の観光客が少ない」とする言及が継続発生

 別の視点として、話題から各都道府県への観光客の「戻り」を把握するため、19年の平均観光話題量上位10都道府県前月記事にて選出)を対象に、客足のボリュームの印象に言及した内容に絞った調査も行っている(図5、 “都道府県名”、及び”観光客”または”旅行客”、併せて”多い””少ない”のキーワードを含むツイートを分析 ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外 )ダウンロード資料では全都道府県掲載!

※例:次のようなツイートを調査

図5 観光客・旅行客量の言及出現数(19年観光量上位10都道府県)

 GoToトラベルなど政府主導の施策の対象範囲が拡大され、反響も報じられた20年10月も、上位10都道府県共通の傾向で、旅行客・観光客について引き続き”少ない”とする言及が多い状態が確認され、以下のようなツイートがみられていた。

 さらに、 20年11月中旬時点では再度感染の拡大傾向(第三波)が窺われ、GoToに対しても賛否の意見が増加している。D4DRでは引き続き、月1回Twitterを対象に前月分の定点調査結果を公開し、数値から復興の動向を継続的に分析していく。

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Ichiko Oki

ソーシャルメディア分析を専門領域に、投稿をもとにした実践的な生活者のインサイト抽出・提案を得意とするデータアナリスト。2018年11月よりD4DR 札幌リサーチセンター開設・室長。

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