【競合企業調査解説】競合の営業・販売戦略調査で抑えるべき要素(調査項目)とは?
競合の営業・販売戦略を知ることの重要性
ビジネス環境が目まぐるしく変化する現代において、競合他社の動向を把握することは経営上の必須課題となっています。特に「営業・販売戦略」の領域は、自社と競合とのあいだで直接的な顧客獲得競争が繰り広げられる最前線です。
競合の製品・サービスの機能や価格だけを調べるにとどまっている企業は少なくありません。しかしながら、実際の商談現場では「どんな顧客にアプローチしているか」「どのように見込み客を集めているか」「営業担当者がどのようなトークをしているか」といった営業・販売プロセス上の要素こそが、受注・失注を左右する大きな要因となります。
競合の営業・販売戦略を深く理解することで、以下のような戦略的メリットが生まれます。
- 自社の強みと弱みを客観的に把握し、差別化ポイントを明確にできる
- 競合が攻めていない市場セグメントに対して先行してアプローチできる
- 競合との比較検討局面で有効なバトルカードや反論トークを整備できる
- 採用・育成の方針や営業プロセスの改善に活用できる
本記事では、競合の営業・販売戦略を調査する際に押さえておくべき7つの主要調査項目と、各項目に対して有効な調査手法を詳しく解説します。
調査すべき項目と手法
① ターゲットセグメント
競合がどの顧客層をメインターゲットにしているかを理解することは、調査の出発点です。ターゲットが異なれば、訴求メッセージも販売チャネルも営業プロセスも根本的に異なります。
調査すべき内容
- 業種・業界(製造業、IT、金融、医療など)
- 企業規模(従業員数・売上規模によるセグメント)
- ターゲット部門(経営層、情報システム部門、営業部門など)
- 主要なペルソナ像(意思決定者・利用者・推薦者)
主な調査手法
- 競合のWebサイト・ランディングページに掲載されている導入事例・顧客ロゴの分析
- プレスリリースや受賞歴(DX推進大賞などの応募事例)の確認
- SNS(X・LinkedIn)でのフォロワーや発信内容の分析
- 展示会・セミナーへの参加と参加者層の観察
- 関係者、関係機関へのヒアリング
② 商流
商流とは、製品・サービスが競合からエンドユーザーに届くまでの経路のことです。直販(自社営業が直接販売)なのか、代理店・販売パートナーを通じた間接販売なのか、あるいはECサイトや自動化されたオンライン販売なのかによって、競合の営業コスト構造や営業力の強弱が変わります。
調査すべき内容
- 直販比率と間接販売比率の推定
- パートナープログラムの有無・認定制度の体系
- 地域別・海外展開における販売チャネル
- オンライン販売の有無
主な調査手法
- 競合のパートナーページ・代理店募集ページの確認
- 求人票(チャネルセールスやアライアンス担当の採用情報)からの推察
- 代理店企業のWebサイトに掲載された取り扱いブランド一覧
- 業界団体やカンファレンスでのパートナー企業へのヒアリング
③ 営業体制
競合がどのような営業組織を構築しているかを把握することで、その営業力のスケールや専門性の高さを推測できます。インサイドセールスとフィールドセールスの分業体制の有無、カスタマーサクセスとの連携など、組織設計の違いは競合力に直結します。
調査すべき内容
- 営業部門の組織構造(インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスなど)
- おおよその営業人員数と地域カバレッジ
- 担当業種・担当製品ラインによる分業の有無
- マネージャー層・個人プレイヤー層の比率推定
主な調査手法
- LinkedInでの競合社員の役職・部署の調査
- 求人情報サイトでの募集ポジション・人数・要件の継続的なモニタリング
- 転職者や元社員へのカジュアルなヒアリング
- 会社四季報やIR資料に記載された人員構成データの参照
④ リード創出方法
競合がどのように見込み顧客(リード)を獲得しているかを知ることは、市場でのプレゼンス争いを理解するうえで重要です。コンテンツマーケティング、広告出稿、展示会、セミナーなど多様な施策が組み合わされているケースが多く、各施策への投資配分を推定することで競合の戦略的優先度が見えてきます。
調査すべき内容
- SEO・コンテンツマーケティング(ブログ・ホワイトペーパー・ウェビナー)の活用度
- 有料広告(Google広告・SNS広告)の出稿状況
- 展示会・イベントへの出展・スポンサーシップ
- オウンドメディアや比較サイト(ITreview・G2等)での露出
- マス広告(テレビ・交通広告)の有無
主な調査手法
- ツールを用いたキーワードおよびオーガニックトラフィック分析
- Meta広告ライブラリやGoogle広告を活用した広告クリエイティブ調査
- 業界展示会・カンファレンスの出展社リスト確認
- 比較・レビューサイトでのレビュー件数・評価のモニタリング
- 企業サイトの「お知らせ」など広報関連ページの参照
- 関係者、関係機関へのヒアリング
⑤ 営業プロセス
競合の営業プロセスとは、最初の顧客接点から最終的な契約締結(受注)に至るまでの一連のフローのことです。プロセスの各フェーズにおいて、どのようなアクションが取られているかを把握することで、競合の提案スピードや商談設計のパターンが見えてきます。
調査すべき内容
- リードへの初回コンタクト方法(メール・電話・インバウンドフォーム)
- トライアル・デモの有無と商談化フローの設計
- 商談フェーズ数(初回ヒアリング・提案・クロージング)と各フェーズの期間
- 意思決定者へのアプローチタイミングと方法
- 受注後のオンボーディングフロー
主な調査手法
- 競合営業担当者から自社の営業担当者へのコンタクト内容の記録・分析
- 競合を検討した経験のある顧客へのヒアリング
- 関係者、関係機関へのヒアリング
⑥ 営業メソッド
競合がどのような提案資料・キラーコンテンツ・営業ツールを活用して商談を進めているかを把握することは、自社の提案品質を高めるうえで非常に参考になります。顧客の意思決定を後押しするROI計算ツールや、競合との差別化を主張する比較資料など、各種コンテンツの質と量は営業成果に直結します。
調査すべき内容
- 商談で使用する提案資料・デモ動画のクオリティと内容
- ROI計算シートや導入効果試算ツールの有無
- 事例資料・ホワイトペーパー・技術文書の充実度
- 競合他社との比較表
- 契約条件などの標準化度合い
主な調査手法
- 資料ダウンロードフォームへの登録による資料入手
- 展示会や競合主催セミナーへの参加・資料収集
- 競合の営業担当者が自社に対してアプローチしてきた際に提供された資料の保管・分析
- 企業サイトや業界メディアへのアップロードコンテンツ、訴求内容の調査
- 競合顧客へのヒアリングによる「どんな資料で決め手になったか」の把握
⑦ 商談時の応対スキル
競合の営業担当者が商談においてどのようなコミュニケーションスタイルをとっているか、どのような質問をし、どのように課題を引き出すかといった応対スキルを把握することも重要です。特にクロージング時のフレームや懸念払拭のトークは、競合との直接対決局面で役立ちます。
調査すべき内容
- 初回商談でのヒアリング項目・質問の流れ
- 課題の引き出し方・ニーズ醸成のアプローチ
- 競合(自社含む)に対する言及方法・差別化トーク
- クロージングのタイミングと方法
- 反論・懸念払拭のトーク(価格・機能・実績に関する懸念への対応)
主な調査手法
- 競合に切り替えた顧客、もしくは競合と最後まで迷った顧客へのインタビュー
- 業界コミュニティやSNSでの営業担当者の発信当の分析
- 関係者、関係機関へのヒアリング
調査項目・調査手法 一覧
以下の表は、これまで解説した7つの調査項目と主な調査内容・手法をまとめたものです。調査計画を立てる際の参考としてご活用ください。
| 調査項目 | 主な調査内容 | 主な調査手法 |
|---|---|---|
| ターゲットセグメント | 業種・規模・部門・ペルソナ | Webサイト分析・事例調査・SNS |
| 商流 | 直販/代理店/ECチャネル構成 | パートナーサイト・求人情報・ヒアリング |
| 営業体制 | 組織構成・人員数・役割分担 | 求人情報・LinkedInリサーチ |
| リード創出方法 | コンテンツ・広告・イベント施策 | SEO分析・広告調査・展示会調査 |
| 営業プロセス | 初回接触〜受注までのステップ | 競合営業担当ヒアリング・資料分析 |
| 営業メソッド | キラーコンテンツ・提案資料・トーク | 資料入手・展示会・競合営業体験 |
| 応対スキル | 商談スタイル・クロージング手法 | 顧客ヒアリング |
まとめ
競合の営業・販売戦略を調査する際には、製品・価格の比較だけでなく、「誰に」「どのように」「どのようなプロセスで」売っているかという観点から多角的に情報を収集することが重要です。
また、調査で得られた情報は、営業トークの改善、コンテンツ戦略の見直しなど、具体的なアクションに落とし込んで初めて競合優位性につながります。
「調査したい項目はあるけど、調査ノウハウがなくてなかなかできない」といった競合調査に関するお悩みを抱えている方はぜひ一度お気軽に、競合調査歴20年超のD4DRにお問合せください。
※D4DRの競合調査は、不正競争防止法等の法律に抵触するような調査は一切行いません。
Sho Sato
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