Z世代の特徴を掴んだマーケティング戦略事例


全世界で20億人存在し、購買力は4兆円規模に及ぶとされるZ世代。コロナ下においても消費活動が盛んで、彼らの存在感は日々強まっています。今後のマーケティングにおいて彼らの動向に気を配ることはマストといっても過言ではないでしょう。

本記事では、Z世代向けにはどのようなマーケティングが効果的なのか、成功事例を紹介しつつ分析しました。

「Z世代」とはどんな人?

Z世代の価値観と消費動向を調査したした結果、彼らは一見ネット主義でありながら、ネットとリアルを巧みに使い分ける、用意周到な消費者であることが明らかになりました。(記事はこちら。併せてミレニアル世代に関しての記事もご参照ください)

ミレニアル世代と比較したZ世代の価値観の特徴を整理すると、

  • 価値観のベースはミレニアル世代と共有している。
  • ミレニアル世代以上にデジタルに馴染んでいるが、同時に警戒心も高い。自分にパーソナライズされた商品を好む一方で、匿名性も望むという二面性を持つ。
  • オンラインの世界に慣れ親しんでいるため、一周回ってアナログで「リアル」な体験への関心が高まっている。人生に対する現実思考も強い。
  • これまでの世代と比較しても非常に顕著なリベラルさを持ち、高い自由度と選択の多様性を重視し、「生きる意味」ともいえる本質的な価値を追求する傾向にある。
  • その影響か、コロナ禍にあっても消費活動が活発。また働き方改革にも最も積極的な集団といえる。

ということが言えます。

Z世代に向けたマーケティングの全体像

以上の特徴を踏まえ、彼に対する効果的なマーケティングを考えたとき、手法によらず一貫して意識すべき事柄が存在します。具体的な事例を紹介する前に、まずはZ世代向けマーケティング戦略の基礎をなす事柄を確認していきます。

インターネットを通じた接続はマスト

Z世代は常時インターネットに接続し、情報を収集しています。そのため彼ら向けマーケティングでは、提供するコンテンツも常にインターネットに接続されている必要があるでしょう。PRのための記事から、直接商品ページへ移動可能なリンクの設置や、改めてサイトを開きなおす必要がないように設定するなどの細やかな工夫による効率性がZ世代には有効です。Z世代はインターネットに接続されている状態が一般的であり日常になっているため、それが途切れてしまうと、同じタイミングで興味関心も途切れる傾向にあります。わざわざ複数ページを移動したり、別媒体で開きなおすといった、余計な手間をかけさせてしまうことは彼らの購買意欲を大きく削ぐことになります。

さらに、Z世代が頻繁に活用するコンテンツ上には、必ず宣伝を掲載する必要があります。SNSなどは代表的ですが、再生数の多い動画やDL数の多いアプリなどには積極的に広告を打たなければなりません。なぜなら、Z世代が情報を入手する手段の中心は、検索画面を開いて能動的に収集するものではなく、普段利用するコンテンツに形成さているものから受動的に受け取るものが大半を占めるからです。つまり、「見に来てもらう」のではなく「目に留まる」ようにしていく必要があるということです。ゆえに、ほぼ毎日、毎時間閲覧されているSNSを活用したマーケティングが非常に効果的だと言うことができます。

流行を確実に捉える

そして、Z世代の流行を正確にキャッチする必要があります。日常的にネットに接続しているZ世代へアプローチするためには、彼らが集まるプラットフォームを特定し、複数のプラットフォームでマーケティング戦略を水平展開するという対応が必要でしょう。全世界的にZ世代が集まる場所として定番なのはソーシャルメディアですが、ソーシャルメディア「だけ」がZ世代と繋がりを持てるプラットフォームだと考えるのは危険です。アクセンチュアが2017年に実施した消費者調査によると、Z世代は最新のデジタルトレンドとプラットフォームを積極的に取り入れているブランドにロイヤリティーを感じる傾向があるとのことです。今後もしばらくこの傾向は続くと考えていいでしょう。Z世代の中では流行の移り変わりが早いため、話題のトピックや購買行動の変化に対する継続的なモニタリングと、マーケティング戦略の随時見直しが必要です。

信頼できる情報の発信元

Z世代はパーソナライズされたコンテンツを好む一方で、匿名性や安全性に対しても敏感であり、これはマーケティングにおいて重視すべき特徴です。彼らはネット上の商品のPRを見るとき、発信者を重要視します。普段どのような内容を投稿し、どのような分野に精通しているのか、といったことを非常に細かくチェックします。それを踏まえた上で、PR商品やサービスとの関連性を考え、信頼度を判断していきます。

Z世代へ有効なマーケテイングとして、後ほどインフルエンサーマーケを紹介しますが、実施の際にはインフルエンサーの選択に慎重になる必要があります。Z世代へのマーケティングはファーストコンタクトが重要です。情報元がどれほど信用できるのかということで、サービス利用の効率が変化しますし、1度悪印象を与えてしまうと見向きもされないのみならず、瞬く間に悪評が広がって企業にとって大きな痛手をもたらす可能性もあります。

コンテンツの持つ、様々な側面を発信

Z世代は、モノ消費ではなくコト消費、つまり商品やサービスの本質を重要視した消費活動を行います。ただ「オシャレ」というだけでは彼らには不十分です。どのようにオシャレなのか、そしてそれはどのようなメリットをもたらすのかといった、詳細な情報発信が必要不可欠です。インフルエンサーマーケにおいて、ただ「オシャレ」であるということばかりを喧伝し、肝心な商品やサービスの特徴が全くわからないものが散見されますが、これは悪手です。

そのようなPRを打ってしまうと、企業側の伝えたい事が伝わらないだけでなく、Z世代の消費者たちを甘く見ているように受け取られてしまう可能性もあるので注意です。Z世代向けマーケティングでは、商品やサービスに関する多くの情報や用途を発信する必要があります

高頻度で更新される広告

広告の内容は、こまめに更新することが重要です。Z世代やミレニアル世代は、これまでの世代とは群を抜いて新しい情報や新鮮な映像に敏感です。彼らが飽きを感じる情報は、次第に取り込まれなくなってしまいます。SNSやインフルエンサーを通じて、必要な情報は随時アップデートしていくことを心掛けましょう。

消費者がオリジナリティを発揮できる要素を入れる

Z世代は多様性を尊重し、オリジナリティを重視する世代です。そのため、商品やサービスの中にオリジナリティを発揮できる部分を残すことは極めて重要です。具体的には、商品やサービスの使用方法を全て提示するのではなく、ある程度の情報に留めておくことで、コンテンツの全貌をぼかし、使用時の楽しみや想像の余地を残しておきます。非常に難易度の高いマーケ手段ですが、上手くいったときの効果はてきめんです。

独自性が重要だからと言って個性的すぎない

多様性や独自性を大事にするZ世代ですが、だからといって奇抜なものや個性的なものなら無条件に好むというわけではありません。特にZ世代は、応用できるものや用途が多いものを好む傾向にあるため、ただ個性的なだけの商品を好まない傾向が強いです。さらに、宣伝方法についても、過度にオシャレ過ぎて分かりにくいものや、商品以外の印象が強すぎるPRには惹かれにくい傾向もみられます。商品やサービスそのものも、そして宣伝においても、Z世代が抵抗感を持ちにくい適度なアピールが重要です。

Z世代を象徴するインフルエンサーの活用

Z世代はネットで大きな影響力を持つインフルエンサーを大いに参考にします。それゆえ、インフルエンサーマーケティングは彼らをターゲットにしたとき非常に有効です。しかし、ただインフルエンサーとタイアップすれば成功するわけではありません。

有効なのは、自身もZ世代に属するインフルエンサーを活用することです。Z世代に「属さない」マーケターはZ世代の行動について調査するしかありませんが、Z世代のインフルエンサーとタイアップすることで、Z世代の流行や購買行動について一番リアルな声を効率よく聞くことができます。インフルエンサーはその世代の代表とも言える存在であり、Z世代をターゲットに据えたとき、同世代のインフルエンサーとのタイアップは、その世代への影響力を活用できるだけではなく、流行をキャッチできるという点でも大きなメリットがあります。

Z世代に有効なマーケティング成功事例

以上を踏まえながら、Z世代向けマーケにおいて最も有効なものの一つがSNSを利用したマーケティングです。特にインスタグラムやTikTokを活用した事例は非常に活発になっています。今回はいくつかの成功事例を紹介したいと思います。

TikTokを利用したマーケティング事例:「#リボンでありがとうチャレンジ」キャンペーン(コカ・コーラ)

(出典:https://rdlp.jp/archives/otherdesign/lp/61329)

日本コカ・コーラ株式会社は、2018年12月にTikTokキャンペーンとして「#リボンでありがとうチャレンジ」を実施しました。

ハッシュタグを利用したチャレンジ形式で開催されたこちらのキャンペーンは、クリスマスシーズンに発売された「コカ・コーラ リボンボトル」がテーマになっており、公式のキャンペーンソング「リボンでありがとう」に合わせて振り付けする動画が募集されました。ユーザーは、楽曲「リボンでありがとう」に合わせて撮影した動画をハッシュタグ「#リボンでありがとうチャレンジ」を付けて投稿することでキャンペーンに応募することができ、投稿された動画の中から選ばれた作品は渋谷の街頭ビジョンで放映された他、「QUOカード(1,000円分)」が100名にプレゼントされました。

さらにコカ・コーラは、このキャンペーンのキャラクターとしてZ世代から人気のTikToker「こたつ」氏や「ひなた」氏を起用し、公式アカウントからPR動画を投稿しています。

(出典:https://www.tiktok.com/@imomuhinata/video/6629941506897612033?source=h5_t&is_copy_url=1&is_from_webapp=v1)

ひなた氏が投稿した動画は3万6千件以上の「いいね」を集めました。

人気TikToker(インフルエンサー)の起用、誰もが知るコカ・コーラというネームバリューといったことは情報の発信元の信頼性を担保し、渋谷の街頭ビジョンでの放映というインセンティブなどは、Z世代の参加を促します。動画投稿はユーザーの個性を発揮する場の提供にも繋がり、Z世代の心を見事につかんだ事例といえます。渋谷という、ターゲットであるZ世代の行動範囲も視野に入れたキャンペーン設計で、TikTokキャンペーンが終わった後でも引き続き渋谷を起点に話題を継続させやすくなるという工夫も見られます。

Instagramを活用したマーケティング事例:ユニビューティ

続いては、ユニビューティ株式会社による、インフルエンサーを活用したマーケティング事例です。同社はコンタクトレンズの販売を行っている企業で、クリアコンタクトレンズの他様々なブランドのカラーコンタクトレンズを販売しています。こちらの事例ではインフルエンサーとしてインスタグラマーの山神アリシア氏を起用しています。

山神アリシア氏はInstagramでウェディングファッションをはじめとしたファッション・コーディネートの紹介やコスメ紹介、フィットネスやトレーニング、旅行などの投稿を行い、2021年2月現在で2万人を超えるフォロワーを獲得しています。Instagramと同様のジャンルの人気YouTubeチャンネルも保有。ユニビューティのイメージモデルも務めています。

キャプションには期間限定でポイントが10倍貰えるキャンペーンの情報と共に、メンションによってユニビューティの公式Instagramアカウントへの誘導が行われています。インスタグラマーの紹介に加えてキャンペーンを同時に実施することで、ユーザーの興味関心を高めつつ、同時にECサイトへの集客を高めています。

Z世代は有名タレントやモデルなどの「セレブ」よりも、ユーチューバーやインスタグラムで活躍するタイプのインフルエンサーを身近に感じる傾向にあります。従来の消費者とは異なる消費動向を持っているZ世代をターゲットとしたマーケティングには、こうしたインフルエンサーの存在が必要不可欠です。ユニビューティの事例では、Z世代と親和性の高いインフルエンサーとタイアップしたことが集客力の向上に繋がっています。

メディアを活用したコスメECプラットフォーム「NOIN

Z世代・ミレニアル世代の中でも、20代のユーザーに支持される化粧品に特化したECプラットフォーム「NOIN」は、Instagram公式アカウント・スマートフォンアプリ・ECサイトを総合的に運営しています。設立してからまだ2年ほどにも関わらず、月間流通額1億円超え、アプリDL200万円突破と、急成長しているメディアの1つです。

公式インスタグラム「noin.tv」はフォロワー数は23万人を超え、ユーザーの多くがnoin.TV経由でNOINを認知します。集客のエンジンともいえるこのアカウントの月間リーチ数は1000万、インプレッション数は5000万と非常に大きな規模です。

(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000032846.html)

NOINのサービスの人気の秘訣は、丁寧で人間味あるコミュニケーションから生まれるロイヤリティであると言われていますコンテンツは基本的に内製し、ユーザーからの悩みや問い合わせには、美容部員のキャリアを持つ専属スタッフが1対1で丁寧に応じます。メッセージテンプレートは一切使わず、1日数百件のやりとりをしており、様々なユーザーから寄せられる声に直に向き合って、コミュニケーションを構築していきます。さらに問い合わせ対応にとどまらず、ECで購入された商品の発送時には全ての商品に「大切に届けてください」とスタッフによる手書きのメッセージを添えています。

こうしたネットを介しつつも、むしろアナログでリアルなコミュニケーションを重視する手法が、情報の提供元の信頼性を高め、Z世代のハートをキャッチしているのだと考えられます。

リアルな体験を活用したマーケティング事例:FABRIC TOKYO×丸井

オーダースーツのD2Cブランド「FABRIC TOKYO」と、マルイやモディを運営する丸井グループは資本業務提携を行い、デジタルとリアルを融合した「売らないお店」を展開しています。

もともとネット専業だったファブリック社でしたが、現在は実店舗を複数構え、このうち3店が「新宿マルイ」や「渋谷モディ」など丸井グループの店舗に入っています。店舗では、ユーザーが実店舗でスーツやシャツの採寸を行い、サイズデータをクラウド上に登録することで、オンライン上でオーダースーツやシャツを注文できる仕組みを採用。さらに、数百種類の生地を実際に見ることもでき、直感的に好みの質感や色合いをリアルに確認することができます。店舗面積は通常のスーツ店の半分以下にも関わらず、売上は通常の形態をとる店舗に比べ、坪単価で2倍以上の収益を上げています。

(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002297.000003860.html)

オンラインショッピングが主流となりつつあるなかで、数百種類のバリエーションがある生地から、採寸・生地の確認など、リアルに体験できたほうが安心できる部分のみを実店舗で提供するというのは、Z世代の価値観にかなった形態といえるでしょう。あくまで購入はオンラインからというのも、ユーザーのタイミングに寄り添っており、個性や品質を重視し、デジタル世代でありながら、「リアル」にも重きを置くZ世代の価値観に見事に適応していると言えるでしょう。

アナログな体験を活用したマーケティング事例:FUJIFILM「チェキ・写ルンです」

スマートフォンの登場が既存カメラ市場に大きな打撃を与えた中、あえて流行に逆行することで売り上げを伸ばしている商品があります。それが、1980~90年代に一世を風靡したインスタントカメラ「チェキ」や使い捨てカメラ「写ルンです」といったアナログなカメラです。これらは女子大学生を中心に大流行し、写ルンですの売上はブーム前と比べて3年で5倍に、チェキの販売台数は2018年の1年間で1002万台を突破しています。

このブームの火付け役はスマートフォンとSNSの投稿です。Instagramでは、「#写ルンです」のタグで80万件以上の投稿がされています。スマホで簡単に写真を撮れるようになったにも関わらず、撮影してから写真を実際に見るまでにタイムラグがあり、どんな写真が撮れているかわからないというワクワク感。そして枚数にも制限があり、しかも出来上がる画像にはノイズが入っているというインスタントカメラの特徴が、「エモい」と表現される感情と結びつく、却って新しく面白い体験として受け入れられているようです。

この流行は、偶然の一過性の盛り上がりではなく、ターゲット女性の間で流行している韓流ドラマでの使用や、プロダクトのファンであるインフルエンサーを活用したプロモーションの展開など、企業側による様々な仕掛けによって拡大していきました。結果として、スマホで撮影した画像をチェキプリントに出力できるプリンターやInstagramに対応したフィルム製品など関連商品の開発、販売も進んでいます。

アナログであるということがかえって新鮮に映るということは、Z世代が求める独自性や個性を発揮したいという欲求をも満たすものだといえます。そして「カメラ」という媒体が、何かを投稿して他者と繋がるためのツールであるSNSとの相性が抜群だったことも、この大流行の一因になっていると考えられます。

まとめ

Z世代の消費動向はこれまでの世代とは違った独特の様相を呈しています。そしてこの変化の時代にあって、こうした動向が数年後もそのまま維持されるという確信を持つことは難しいでしょう。Z世代は様々な流行を敏感に捉え、絶えずその価値観をアップデートしている世代です。そしてこの傾向は、新型コロナウイルスの大流行によって加速したきらいもあります。

マーケターは、一度確立した手法をただ使いまわすのではなく、絶えずZ世代、そして更にその次の世代の動向を注意深く見守りながら、マーケティングの手法自体も臨機応変にアップデートしていく必要があるでしょう。今後も彼らの消費トレンドから目が離せません。

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