【イベント報告】「住まい×ウェルネス 人生100年時代の健康を支える住宅とは?」


D4DRは、2021年2月4日(水)、「住まい×ウェルネス」をテーマにオンラインイベントを開催した。ゲストには株式会社住環境研究所( https://www.jkk-info.jp/​ )の嘉規氏、乾氏を迎え、より健康になるための住まいについて考察した。

「生涯健康脳住宅」とは?

住環境研究所(以下JKK)は、生活者の暮らしや住環境に関する研究・情報発信を行っている。まずは、嘉規氏より「生涯健康脳住宅」の研究についてご紹介いただいた。

「生涯健康脳」は、東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授が提唱した考え方で、16万人の脳画像分析からの知見をもとに、脳を健康に保つポイントを紹介している。

それをもとに、JKKが作成した四字熟語が「話食動眠」。医学的に脳の活性化に良いとされる「好奇心・会話」「食事」「運動」「睡眠」の4つの要素を一言で表すキーワードだ。それぞれの要素の具体的な内容は、生涯健康脳住宅研究所のサイト( https://www.jkk-info.jp/brain/activation/ )に掲載されている。

※話食動眠は、住環境研究所の商標登録です。

そして、話食動眠をサポートする住まいが「生涯健康脳住宅」である。生涯健康脳住宅は、①建築的仕様、仕掛け、②センシングによる生活の見える化、③暮らしのサービスの3つの機能を持つ。

2030年の未来の住まい方はどうなる?

次に、D4DR藤元、坂野より、D4DRが考える、2030年の未来の住まい方仮説3つを紹介した。

①データ収集・活用で高機能な住まい
②住まいに新しい空間が誕生:リアルとデジタルで、ウェルビーイングを追求
③住まいとコミュニティの関係が深まる:占有空間のあり方は人それぞれに

(詳しくはこちらhttps://www.value-press.com/pressrelease/263414

オンラインワークショップ

イベント後半では、ワークショップを実施した。ツールは「Slido」と「Google JamBoard」を使用。Slidoに質問への回答を投稿いただき、その内容をGoogle JamBoard上でリアルタイムでまとめる形式で進めた。

「話食動眠」の4つの要素を、住まいの中のプライベートスペースで行われる「眠」と、地域のコミュニティなどセミパブリックな場でも行われる「話」「食」「動」の2つに分け、それぞれをテーマとした。

テーマ①「住まい×睡眠」

ワークショップの前半では、睡眠をテーマに4つの質問について投票を行った。

「2030年に実現している可能性があると思うのは?」

「2030年に実現している可能性があると思うもの」を4つの選択肢から全て選ぶ投票を行った。結果は以下のようになった。

藤元:

半分の人が「睡眠に特化した超高機能ルームが新築住宅の1%に設置される」を選んでいますね。睡眠の質をコントロールするサービスより高いのは意外ですね。これは、サービス事業者より住宅メーカーへの期待が高いということでしょうか。

嘉規氏:

ぜひ挑戦したいですね。温度と光を管理することはすぐにできます。ただ、音や香りになるとさらに技術的な検討が必要です。

坂野:

この分野は技術革新が早いので、住宅に固定的に部屋を持つより、機能がアップデートできるほうが良いかもしれません。

「あなた自身がほしいと思うサービスや部屋は?」

また、「睡眠に関連して、欲しいと思うモノやサービス、部屋」を自由回答で募集した。

下図は、その内容をFPRCの研究員がGoogle Jambord上でカテゴリ分けしたものである。睡眠の質を可視化・向上させるもののほかに、睡眠学習のように、睡眠時に付加価値を実現するものなどのアイディアが挙がった。

テーマ②「住まい×コミュニティ×話・食・動」

2つ目のテーマは、コミュニティ。話・食・動にとって、地域コミュニティがどのような役割を果たすかという視点から、住まいの占有空間とコミュニティの共有空間のあり方を考えた。

「マンションや住宅街の共用設備・機能にほしいものは?」

マンションや住宅街の共用設備や機能としてほしいものを選ぶ投票では、災害対策機能の他に、「モノやスキルのコミュニティ内シェアリング機能」が上位に挙がった。

乾氏:

街づくりで住む人にどのように喜んでもらえるかを考えていく中で、モノやスキルのコミュニティ内シェアリング機能は、できることの幅も広く期待していますね。

「地域にあってほしい共有場所(プレイス)は?」

次に、地域にあってほしい共有場所を選ぶ投票を行った。「農園(家庭菜園レベル)」が一番人気で、「移動店舗(キッチンカー・古着屋など)が開きやすい、非常設の商店街」が続いた。

藤元:

マルシェのような場所に、自動運転で移動してくる店舗はこれから増えそうですね。

乾氏:

移動店舗は私のイチオシなので、人気があり嬉しいです。商店街は空き店舗が増えてしまっていますが、いろいろな店が利用できるフレキシブルな場所になると、家賃の問題なども解消できて良いのではないかと思っています。

嘉規氏:

街の中に用意されたスペースに、移動店舗のような形でアダプターをつけることで可能性が広がることに関心が高いことは驚きました。

「コミュニティの問題点・課題で嫌だと思うことは?」

また、コミュニティの問題点や課題点についても投票を行った。

藤元:

プライバシーについてはメリットとデメリットが表裏一体で、かつては安全を守る側面もありましたね。プライバシーを守った形でデータを共有して、安全が守られるという仕組みがテクノロジーで実現するかもしれません。

嘉規氏:

監視システムが安全や防犯につながると理解がされると、デメリットには感じられないかもしれません。

坂野:

行政にどこまで委ねるか、という意識で大きく変わってくるかもしれませんね。行政、住民同士の相互扶助、民間のサービスの3つの選択肢があります。

乾氏:

何を問題点と感じるかは、コミュニティの規模感などいろいろな要素が影響しそうですね。


脳を健康に保つ住宅とそれを支える「話食動眠」を起点に、未来の住まいのあり方について様々な視点から考察した。最後に、乾氏は多様な分野での共創の可能性を語った。

乾氏:

今回のイベントはウェルネスがテーマでしたが、住宅会社が単独で提供できる価値は今後より限定的になっていくと感じています。共創を通して、住宅分野でできることや、やらなくてはならないことに取り組んでいきたいと思っています。

今後、住まいと街の関係性はより深まっていくと考えられる。住まいは街のあり方によって変わり、街も住まいの影響を受けて変わっていく。「共創」をキーワードに、引き続き考察を進めていきたい。