多拠点生活(マルチハビテーション)とは?
マルチハビテーション(多拠点生活)とは、都市部と別荘地など複数の拠点を住み分けるライフスタイルのことである。
現在では、「デュアラー」と呼ばれる、都会と田舎に拠点を用意して、デュアルライフ(2拠点生活)を送る人が多い。平日は職場のある首都圏に住み、週末は田舎でのんびり過ごすといった暮らしが実践されれている。一方で、平日は田舎でのんびり過ごし、週末は孫の世話のために祖父母が首都圏に移動してくることもある。
また、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが一般化したことで、通勤の必要性がなくなり、どこにいても仕事をすることが可能になり、拠点をもたずに移動しながら働く「ノマドワーカー」なども注目されている。
政府が新しい働き方として推奨しているワーケーションも、マルチハビテーションの一つである。ワーケーションとは、Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語である。リモートワーク等を活用し、リゾート地や温泉地、国立公園等、普段の職場とは異なる場所で余暇を楽しみながら、仕事も行なうライフスタイルのあり方である。
予想される未来社会の変化
- 複数の拠点を季節や目的に応じて使い分ける生活様式が一般化し、「定住」の概念が変化して柔軟な住まい方が標準となる
- 住居のサブスクリプション化やシェアリングが進み、所有からアクセス権重視の住まい方へとシフトする
- テレワークとの組み合わせにより、都市部と地方を行き来するライフスタイルが普及し、都市一極集中の緩和と地方創生が進む
- 行政サービスや社会保障制度が居住地に縛られない形に再設計され、複数地域での生活を前提とした制度が整備される
トレンド
ツナギテ

ENGAWAと英和出版社は、地方移住や多拠点居住を支援するWebメディア「複住スタイル」内に、新たなプラットフォーム「ツナギテ」を2022年8月にリリース。
このサービスは、移住促進に積極的な地方自治体や公共団体が、移住や多拠点居住に関心を持つ若者や若いファミリー層に向けて、地域の魅力やイベント情報を効果的に発信することを目的としている。
このプラットフォームを通じて、自治体は移住希望者に対してリーズナブルに直接情報を届けることができ、移住促進の効果が期待されている。
長野県・佐久市の「リモートワーカー等新幹線補助金」
長野県佐久市は、都市部で働くリモートワーカーや二拠点生活者の移住を促進するため、「リモートワーカー等新幹線通勤補助金」を実施している。この制度は、佐久市への移住後、東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)への新幹線通勤にかかる費用の一部を補助するもの。
対象者:2024年4月1日以降に佐久市に転入し、転入時点で50歳未満の方。佐久平駅発着の北陸新幹線を利用して東京圏の職場へ通勤する被用者、会社役員、または個人事業主で、3年以上佐久市に定住する意思を持つ方。
補助内容:1か月あたりの通勤に利用した乗車券等の購入費の総額から、その月の通勤手当を差し引いた額の2分の1以内。上限は月額2万円で、最長24か月間補助される。
申請期限:佐久市への転入日から3か月以内に「認定申込み」が必要。
この補助金は、移住後も都市部の仕事を継続したいと考える人々にとって、経済的な負担を軽減し、移住を後押しする制度となっている。特に、子育て世代や自然豊かな環境での生活を望む人々にとって魅力的な支援となっている。
改正広域的地域活性化基盤整備法

「改正広域的地域活性化基盤整備法」が、人口減少が進む地方への人の流れを創出・拡大し、地域の活性化を図るために、2024年11月1日に施行された。
この改正法の中心は「二地域居住(特定居住)」の促進。二地域居住とは、都市部と地方部に生活拠点を持ち、定期的に地方で過ごすライフスタイルを指す。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが普及し、自然豊かな環境を求める若者や子育て世帯の間で需要が高まっている。
改正法の主なポイント:
- 市町村計画制度の創設:都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を策定した場合、市町村は「特定居住促進計画」を作成できる。この計画には、二地域居住者向けの住まいや仕事、交流施設の整備方針が盛り込まれる。
- 特定居住支援法人の指定制度:市町村長は、二地域居住促進に取り組むNPO法人や民間企業を「特定居住支援法人」として指定できる。これにより、空き家情報や仕事情報、イベント情報の提供などが円滑に行われる。
- 特定居住促進協議会の創設:市町村は、都道府県や特定居住支援法人、地域住民などと連携し、「特定居住促進協議会」を組織できる。この協議会は、計画の策定や実施に関する協議を行う。
これらの制度により、自治体と民間が連携し、住まい・仕事・コミュニティの三位一体で二地域居住を支援する体制が整備された。国土交通省は、施行後5年間で特定居住促進計画を600件、特定居住支援法人の指定を600法人とする目標を掲げている。
この法改正は、地方への新たな人の流れを生み出し、地域の持続可能な発展を目指す重要な取り組みとなっている。
無印良品がミニマルな小屋「MUJI HUT」の販売を開始

無印良品はMUJI HUTで、都会で生活する人々の暮らし方の選択肢として、「小屋のある暮らし」を提案。週末に『キャンプ以上・別荘未満』の住まいに滞在してのんびりと過ごす、ライフスタイルを送ることを目的として、MUJI HUTを提供開始。
「気に入った場所で暮らす」という、誰もがもつ小さな憧れをかたちにする道具として、家や別荘ほど大げさではなく、旅ほど気楽でもないまっさらな小屋をコンセプトとし、それぞれライフスタイルに合わせて様々な使い方を選択することが可能である。
定額住み放題多拠点プラットフォーム「ADDress」

ADDressは、日本各地の空き家を活用した、住まいのサブスクサービスである。月額4.4万円で全国に210ヶ所以上ある拠点にどこでも住み放題となる。多拠点居住という新しいライフスタイルを提案しつつ、全国で増加している空き家問題を解決するサービスとして注目を浴びている。
ADDressには、家の管理や会員の暮らしのサポートをしながら、地域の方・会員同士の交流の架け橋となる「家守(やもり)」という存在がいる。家守がコミュニティマネージャーの役割を担い、ADDress会員と地域を結ぶことで地方の新しい価値を創造することにも貢献している。
\未来コンセプトペディアを活用してアイデア創出してみませんか?/
新規事業・新サービスアイデア創出ワークショップ
新規事業立ち上げの種となるアイデアを創出し、新たな領域への挑戦を支援します。
