エンジニアの新たなロールモデルを自ら創る:西脇資哲 第3回

画像: opinion:西脇資哲「エンジニアの新たなロールモデルを自ら創る」第3回

自腹を切って学んでいますか?

— 西脇さんのように経営者の参謀のような立場や、業界のインフルエンサーを目指すとすれば、まず何から始めるべきでしょうか。

とにかく勉強に励むことです。特に、若い人ほど自己投資をすることが大切で、自腹を切って学ぶことが何よりも重要だと思います。逆に、自腹を切って学ぼうとしないと、必死に勉強する気概は生まれませんし、何を学んでも結局は身に付かずに終わると考えたほうが賢明です。
ともあれ、エンジニアであれば、20代が技術知識を深める絶好期で、情報の収集や自身へのインプットをしっかり行うべきです。また、30代になるとインプットとアウトプットの双方を求められる場面が増えてきます。その際には、技術力に磨きをかけるのと併せて、自分のかかわっている技術がどれほど素晴らしいかを、しっかりと表現できるようになることが大切です。そして、40代になると、アウトプットが中心になっていくのです。

— 若い時にコーディングの経験を積んでおくことで、優秀なアーキテクトになるための土台が築かれ、また、「テクノロジーの目利き」としての能力も高められるとされています。そうなれば、経営判断の一翼を担えるようにもなりますね。

そのとおりです。ですから、若いエンジニアに対しては、「フォーカスすべきは、製品ではなく技術」と教えています。製品は会社の所有物ですが、技術は業界の所有物。なので、技術にフォーカスを絞ったほうが転職にも有利なんです。

— ご自身では自己への投資をどのように行ってきたのですか。

20代前半から、お金を惜しまず自己投資を行ってきました。例えば、いろいろな技術書を買って読みまくりましたし、カンファレンスや勉強会にも数多く参加しました。ITの新製品・サービスについては、誰よりも先に購入することを心がけていましたね。もちろん、ときには、ひどい出来の製品をつかまされたりもしましたが、それでも「あの製品は、本当にお粗末だった」と話のネタは作れます。その意味で、どの投資も決して無駄ではなかったと言えます。

— そうした投資と努力の積み重ねが、エバンジェリストとして活躍するための下地を作ったわけですね。

 そのとおりです。私が経営者からの信頼を得ることができた最大の理由も、エンジニアとしての積み重ねがあったからです。技術の質問にも即答できましたし、競合との比較やコストの概算についても、すぐに答えが出せたんです。

— とはいえ、知識がエバンジェリストのすべてではないと考えますが。

そう、知識にプラスして「こだわり」や「愛情」も欠かせません。本気でエバンジェリストを目指すのであれば、勉強を重ねたうえで、人から「到底、かなわない」と思わせるほどの愛情やこだわりを自分の専門領域に注ぎ込むべきです。

— 技術に対して強い「愛情」や「こだわり」を持つにはどうすればよいのですか。

とにかく、自ら試行錯誤を繰り返すことです。例えば、自分で購入したマシンで自作のプログラムを動かしてみて、思い通りの結果が得られれば、かなりの達成感が得られます。逆に、大失敗をしても、不出来なモノが愛おしく思えてきます。実際、お客様に提供する情報システムにしても、すんなり完成させたものより、お客様と一緒に何日も徹夜して、周囲に頭を下げ、期日を延ばしてもらい、ようやく完成させたシステムほうが、いつまでも心に残り、愛おしく感じるものなんです。技術というのは、そんな不思議な魅力も持っているのです。

— エバンジェリストになるために、さらに成すべきことは何かありますか。

やはり、情報発信です。たとえ、技術力や技術知識の蓄積量が同じでも、情報発信のパワーが大きい人のほうが市場価値は高くなります。また、自分で蓄積してきた技術力・知識の価値を高めるうえでも、それを公に披露して認めてもらうことが大切です。
ちなみに、私のtwitterアカウントのフォロワー数は10万人に達していますが、この数は一夜にして作れるものではありません。継続的に情報を発信してきたからこその結果なのです。最近では、ソーシャルメディアやWebの発達・普及で、情報発信がかなり楽になっています。もし、エバンジェリストになりたい、IT業界での自身のプレゼンスを高めたいとお考えなら、情報発信力を高めることに力を注いでみてはいかがでしょうか。

 

【プロフィール】
西脇資哲(にしわき もとあき)日本マイクロソフト 業務執行役員 エヴァンジェリスト

1969年8月18日生まれ、岐阜県出身。業務アプリケーションソフト開発業務、ISPの立ち上げなどを経験した後、日本オラクルに入社。プロダクトマーケティング業務やエバンジェリストを担当。12年間在籍した後、2009年12月にマイクロソフトへ移籍しエヴァンジェリストへ。テクノロジーやプレゼンテーションの講演・執筆にも精力的な活動を展開。マイクロソフトだけでなく、さまざまなテクノロジーに精通する。著書に「エバンジェリスト養成講座 究極のプレゼンハック100」(翔泳社)「エバンジェリストの仕事術 自分の価値を高め、市場で勝ち抜く」(日本実業出版社)

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D4DRの広報PR担当です。webやソーシャルメディアを通じて、ITビジネス、デジタルマーケティング、各種データ分析、CRM、ソーシャルメディア分析などの消費者インサイト発見に関する情報を発信しています。

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