【2022年版】 SNS分析 手法解説(Part 2) 〜手法比較 ツールvsリサーチ 特徴解説〜

SNS分析手法解説 (Part 1)では、ツールによるSNS分析、ソーシャルメディア分析について、ご紹介しました。

本記事では、ツールとリサーチ会社による分析レポーティングサービスの比較を交えながら、どのようなことに配慮しながら手法を選ぶべきか、データの選択や精度向上の観点なども考えながらご紹介します。

分析手法はどう選べば良い?ツールによる分析と分析サービスのメリット・デメリット

SNS分析を行うには2つの方法があります。1つは前編でも紹介したツールを利用する方法で、各社から提供されているSaaS型サービスを用いて、ブラウザ経由で企業の担当者が自ら操作して行います。もう1つの方法は、SNS分析を専門に行っているリサーチ会社が提供している分析レポーティングサービスを利用する方法です。個別に依頼してレポートを作成する形式ですので、企業の担当者はビジネスゴールをリサーチ会社と共有し、設計、分析はリサーチ会社が実施、企業は納品されるレポートを受け取ります。

以下では、ツールによる分析と、専門のリサーチ会社による分析のメリットとデメリットを表にまとめました。

 メリットデメリット
ツールによる分析・さまざまなSNSデータを自分で見ることができる手軽さ

 

・いつでもデータを確認できるリアルタイム性

・試行錯誤しながら分析できるインタラクティブ性

・価値ある結果を得るためには設定や操作の習熟が必要

 

・システムによる分析のため精度に限界がある

・定常コスト(年200万円以上)が掛かる

リサーチ会社による分析レポーティングサービス・企業が必要とすべきポイントを捉えた分析ができる適格性

 

・データ精度、分析精度の高さ

・設計、分析を依頼できる手離れの良さ

・トータルコストの安さ

・アウトプットが出るまでに一定の時間がかかる

表に示したように、ツールによる分析はいつでもブラウザを通じて担当者がデータを閲覧できる点が強みです。クイックにクチコミを確認し、対応する必要のある企業にとってはリアルタイム性は重要な要素になりますので、SaaS化されているツールは強みを発揮します。ただ、分析によって何らかの気づきや示唆を得たい場合には、ツールの習熟が必要であったり、システムによる分析精度の限界が壁になるケースもあります。

専門のリサーチ会社によるサービスの強みは、依頼する企業の担当者が確認すべきポイントにフォーカスした分析を、手離れ良く実施できる点にあります。企業の担当者が持つニーズは多様ですので、分析で用いるメディアや手法は一様では無いという前提にたって、リサーチャーやアナリストが分析設計を行った上でレポートを作成します。そうすることで企業の担当者は、本業に注力しながら、SNS分析をより有効に活用することが可能になります。

SNS分析を行う目的を考え適切なメディアを選定する

どちらの分析方法を選ぶにしても、SNS分析を行うためにはその特徴を知っておいた方がよいでしょう。

TwitterやInstagram、ブログ、掲示板、レビューサイト(cookpadやkakaku.com、楽天トラベルなど)など多岐に渡るSNSが存在する中で、どのメディアを用いて分析を行うべきなのでしょうか?

一般的には、広告などのプロモーションの効果測定にはTwitter、商品・サービスの評価にはレビューサイトやInstagram、ブログ、企業の炎上調査にはTwitterと掲示板といったように目的によってメディアを選定するケースが多いと思います。

Twitterは利用ユーザーも多く、種々雑多な投稿がみられるため、SNSの中では汎用性が高いメディアといえますが、一投稿あたりの文字数が限られているため、商品の評価など詳細に要因を探求したい場合などには向かない場合もあります。

Instagramには商品の利用シーンなど評価につながる有益な情報が含まれる場合も多く、とりわけコト消費の分析には向いているメディアだと言えますが、「インスタ映え」と言われるぐらいですからネガティブな情報は投稿されない傾向があり、客観的な評価を得るには不十分である場合もあります。

(蛇足ですが、Instagramの分析を行う場合、データを取得できないツールも多いため、注意が必要です。専門リサーチ会社であるD4DRでは独自の手法でInstagramのハッシュタグによる分析を可能にしています。)

つまり「分析を行う目的」に沿ったメディアの選定を行わないと、有益な結果が得られないことになりかねません。

このように、さまざまなSNSを調査対象にできる手軽さが故に、始めることは簡単でも目的に対して解を出すためにはじっくり設計を考える必要があります。

分析精度を上げるための方法

ツールを自分で操作して行う分析であっても、専門のリサーチ会社が行うサービスを利用する場合でも、分析精度を高めるためにはデータの精度を高めることが基本になります。

たとえば、SNS上の投稿には、正式なブランド名を記載されないケースも多いため、さまざまな呼び名を検索キーワードに設定してデータを取得する工夫や、数多くの分析対象外とするべき投稿(ノイズ)をカットしていく対応などが必要になってきます。

ツールを用いる場合であれば、取得したデータを確認しながら除外キーワードを設定するなどしてノイズを取り除きますが、設定は地味に時間の掛かる作業となることも多いため、根気よく対応する必要があります。

それでも全てのノイズを除去することは不可能に近いため、現実には数多くのノイズが残った状態で分析結果が得られることになります。

その点、専門のリサーチ会社の行うレポーティングサービスでは、除外ワードによる除去の他、過去のナレッジやAIを用いた独自のノイズ除去システムを持っている場合にはそうした仕組みを使ってノイズ除去を行いますので、企業の担当者は作業に時間を割く必要がなく、結果としてノイズがほとんどないデータを用いた分析結果を得ることができます。

最後は業務適合性で手法を選ぶべき

このように、分析対象とするデータの選定や、精度向上といった基本的な部分だけでも、SNS分析の手法による特徴は異なります。

ニーズに対する充足度合いや、精度の高い分析という点で、専門のリサーチ会社によるサービスは優れていますが、その分、発注してから納品されるまでにタイムラグがあります。

そのため、ニーズが汎用性の高いものであり、かつ、ツールを使いこなす知識・技術が自社にある場合には、ツールを導入して企業内で分析・リサーチするべきでしょう。反対に、ニーズがコアなものであったり、ツールの扱いに自信がない場合には、専門業者へリサーチ依頼するべきです。

このように、SNS分析の手法選定に際しては、どういった目的で分析を行うのか、企業の担当者の置かれている環境はどちらの方が向いているか、といった条件を見定める必要があります。言い換えると、実際に分析を導入した際に、自社の業務にどれほどフィットするか?という「業務適合性」が選択の基準になるといえます。

D4DRでは、まず企業の担当者の方のお話しを伺い、2005年から蓄積してきたレポーティングのノウハウを基に、企業ごとに業務適合性を評価しながら、最適な方法を選択するお手伝いをしていますのでご参考にしてください。

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Takashi Saito

D4DRマーケティングリサーチ部門管掌。BtoC BtoBマーケティングやデジタル活用戦略、事業開発を行っている。SNS上のクチコミに従来の調査手法とは違う可能性を感じ自社のSNS分析サービスを企画、サービス提供を開始し責任者を務めている。デジタルマーケティングの黎明期に野村総合研究所に入社後、D4DRを藤元健太郎と共に創業。ツールや施策ありきではない本質に即したコンサルティングを是としている。

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