【イベント報告】セブン&アイの挑戦~データドリブンなリアル小売業の確立を目指して~(第20回NRLフォーラム)

2019年1月24日、D4DRが企画・運営に関わっているNext Retail Labが開催されました。20回目になる本会は、株式会社セブン&アイホールディングス 執行役員デジタル戦略部シニアオフィサーの清水健氏に、「セブン&アイの挑戦~データドリブンなリアル小売業の確立を目指して~」というテーマでご講演いただきました。

画像1: セブン&アイホールディングスの進化~データのオープン化戦略~ (ネクストリテールラボ 第20回)

ECサービス『omni7』最大の成果と『セブン-イレブンアプリ』の開始

2015年11月1日からECサービス『omni7』の提供が開始されました。提供開始から約3年がたち、『omni7』は、ある大きな成果をあげることができた、と清水氏はいいます。それは、コンビニや百貨店、銀行など異なる業態で、もともとバラバラであったデータを統合できるようになったことです。これらのデータを徐々に統合できるようになっていくことで、リアルな購買データを取得できるようになった、と清水氏はいいます。
2018年6月1日には、『セブン-イレブンアプリ』の運用が開始されました。本サービスはまだ開始から1年も経っていないですが、ECへの流入の増加や、多頻度来店ユーザーの増加などの効果がでているようです。従来は、顧客の足がセブンイレブンから離れて何日間経ったのかなど知る術もなく、顧客に働きかけることもできなかったが、アプリを通じてそれが可能になり、顧客の離脱防止対策を打てるようになったこともアプリ運用の大きな成果といえます。

画像2: セブン&アイホールディングスの進化~データのオープン化戦略~ (ネクストリテールラボ 第20回)

優良顧客とは?

清水氏の講演後、フェローによる議論が行われ、オムニ戦略のプロによる様々な意見が出ました。中でも、複数の業態を内包するセブン&アイホールディングスの優良顧客の定義について取り上げます。コンビニにとっては、1日100円しか使わないお客様でも毎日来店してくれれば優良顧客であり、逆に百貨店にとっては、来店頻度は低くても、1度に数十万円購入してくれるお客様は優良顧客となる。このように、横断的な定義づけは難しいが、様々なデータを活用して横断的に考えられるようになってきている、と清水氏はいいます。

店舗でのオペレーションに関する生の声は?

フェローによる議論の後、7~8人の大学生の意見や感想を聞くことができました。小売店のレジ打ちのアルバイトをしている学生からは、顧客データなどを取得するためにしている作業はとても面倒くさいと今まで感じていたが、データを得ることの重要性がわかりこれからは積極的に取り組みたいとの感想がでました。

セブン&アイホールディングスの進化

清水氏の講演に、フェローの多くがセブン&アイホールディングスの変化に驚いていました。今までは、公の場に登壇して、データを公開したり、戦略について語ることがほとんどなかったからです。このようなオープン化戦略に移行した背景には、データを公開しても、他社には真似できないという圧倒的な自信を持っていることが挙げられるでしょう。日本の小売業界におけるデータの蓄積量に関しては、Amazonをも凌ぐではないかと私は考えます。今後の小売業界の動向が大変興味深いです。

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Sho Sato

D4DRアナリスト。Web分析からスマートシティプロジェクトまで幅広い領域に携わる。究極のゆとり世代の一員として働き方改革に取り組んでいる。

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