JIPDECスマートシティ研究会「デジタルツインとスマートシティ」


2021年2月18日、JIPDEC主催による第三回スマートシティ研究会が、オンラインにて開催されました。代表の藤元が座長を務めています。

今回のテーマは「デジタルツインとスマートシティ」
コロナ禍によって表面化した、デジタル化後進国の日本の現状。デジタルツイン問題を考える上で、何が必要になるのか。
今回は、東京都とソウル市の事例をゲストにお話しいただき、「デジタルツインとスマートシティ」について議論を行いました。

東京都のスマートシティの取り組み 課題と展望

東京都の取り組みについては、
東京都戦略政策情報推進部 戦略事業部 デジタルシフト推進担当課長 加藤幹也氏より発表があった。

「戦略政策情報推進本部」は、東京都の成長戦略やICT利活用の推進のため平成31年に新たに設置された組織で、民間でいうベンチャー的な役割を担う部署であり、東京都のSociety5.0の推進を目指しているという。

東京都は現在、デジタル/オープンガバメント、モビリティ、キャッシュレス等の各分野が低迷し、都市全体のデジタル化の進行が遅れている。都市全体のデジタル化という項目では、残念ながら東京は28位だ。

SMART CITY GOVERNMENT RANKINGS(Eden Strategy Institute、ONG&ONG)

そこで東京都はスマート東京 -東京版Society 5.0- の実現に向け、3つの柱を立てて戦略を打ち出している。

①「電波の道」で、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」を実現
(Tokyo Data Highway)
②データ共有と活用の仕組みをつくり、行政サービスの質を向上させる(街のDX)
③都庁のデジタルトランスフォーメーションを強力に進める(都庁のDX)

また、官民連携データプラットフォームの構築に向けても準備が進んでいるという。これは東京都のデジタルツイン実現を促し、都と民間の連携や規制緩和等の環境整備を促すものだ。

データ利活用の実証プロジェクトも進行しており、今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、繁華街などの混雑状況を可視化し三密を回避する施策に活用された。

また、東京都3Dビジュアライゼーション実証プロジェクトも進行しており、これは都庁周辺西新宿の3Dマップを作成し、都市空間を高精度でデジタル上に再現して、視覚効果を高めたり、日照等のシミュレーションするなど、様々な用途への活用を考えているという。

このような3Dマップに様々なデータを追加し、東京都がオープンデータとして開示していくことで、民間からデジタルツインを活用したサービスが誕生し、スマート東京の実現に近づいていくことだろう。

韓国におけるデジタルツイン

韓国、ソウル市を中心にしたデジタルツインの取り組みについては、
イーコーポレーションドットジェーピー株式会社 代表取締役社長 廉 宗淳(ヨム ジョンスン)氏 より発表があった。

ソウルはデジタル化が非常に進行している都市の一つであり、東京にはない様々な面白い取り組みが聞けた。

まず、ソウルは地下鉄路線を活用した超高速光インターネット回線が整備(e-Seoul Net)されており、街中で高速WiFiが使用可能であるという。
その通信ネットワークを基盤に、オンライン接続されたCCTVが4万台設置され、総合管制センターで管理され、犯罪予防や交通取り締まり等に活用されている。この総合監視センターは、有事の際(韓国は北朝鮮と戦争中であるため)には指令室になる役割も兼ねている。
このあたりは、日本と置かれている環境が違うため、危機感や意識がだいぶ異なりそうだ。

また、ビッグデータを活用して問題を解決したケースも紹介された。
深夜バスを運行してほしいという市民からのニーズに対して、携帯電話の位置情報・タクシーの運行データ等から人の移動を推測し、バス路線を新設したという。

データ活用は政策にも反映されていて、ソウル市長室では巨大なモニターが設置され、様々なデータ群が政策や公約ごとにカテゴライズされ、リアルタイムで確認ができ、これらの情報は市民も確認できるようになっている。

ソウル市、「デジタル市民市長室」設置 市長が見る情報を市民と共有

データに基づいて政策が意思決定されるため、議員や公務員もデータの根拠がない政策は提案せず、合理的な意思決定がなされるようになったという。


最後に、加藤氏と廉氏より個人的な想いをお話いただき、研究会は閉会となった。

加藤氏:

東京都ではICT人材が不足しており、デジタル化を推進してはいきたいものの、共通言語化がなされておらず、なかなか進まない現状が課題。
戦後から続く終身雇用や縦割りという社会から脱却し、ヒトを含めた様々なものがぐるぐると循環していくような社会に変えていきたい。東京都、楽しいことやっているねという流れを作っていきたい。

廉氏:

韓国はそもそも日本と制度が同じで、そっくりな国。話題になっている印鑑廃止等も、日本に先駆けてやってきたので、そのノウハウを知ってほしい。
韓国には「馬を買わずに鞍を買う」という言葉がある。韓国版マイナンバーカードは決してハイスペックなものではなく、カード自体はICも入っていないただのプラスチックカード。個人的には、モノづくりの前にやれることは沢山あると思う。
韓国の公務員法では「ICTを活用して業務効率化を図ること」が定められている。日本でよく聞かれる、「ITに詳しくないので…」という言葉が韓国できかれることはない。

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Yoshida

カワイイ白犬と一緒に暮らす、ミレニアル世代。 趣味は筋トレ・山登り・座禅・華道で、剛と柔の両立を目指している。 AI、ロボット、IoT等のイノベーションによって、社会課題が解決することに興味を持ち、業務に取り組んでいる。

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