『インスタグラムの投稿から商品開発・販促のヒントを探る』(ちょいみる分析)

お久しぶりです。D4DR ソーシャルメディア分析担当の市古です。
前回の投稿からもう7か月、今年のトレンドを振り返ってみてひとつ、以前から固定ファン層を持っていたいくつかの味が急激に注目を集め、ブレイクした年だった、、と実感しています。

フレーバーでは、
・これまで取り入れらていなかった領域の食品に多く採用された
ことがヒットのひとつのバロメーターになると言えますが、そうした視点からも
今年ヒットした代表的なフレーバーは「パクチー」。(苦手)
ご存知タイ・ベトナム圏を中心に広く東南アジア・中華料理に使われていた「香菜」ですが、今年はこれまで縁遠かったコンビニを席捲。まさか飲み物やお菓子にまであの味が・・・うぅ。
家庭菜園をやる(かじっている)者の体験として、春先からパクチーの苗や種子を多くみかけたのも驚きでした。

もうひとつ、パクチーと並んで今年多く商品化されたフレーバーに「チョコミント」が挙げられると思います。
ミルクティーと組み合せて、限定商品として夏にヒットしたのが「午後の紅茶 チョコミントミルクティー」。
はからずもinstagramで#午後の紅茶をみていたら、なんとほとんどがこの商品・・!(2017年8月上旬) ということで気になって調査を行いました。
夏のタイミングで「ちょいみる」していたわけですが、本日はその結果をもとに、インスタグラム分析によってどのようなことが判るのかをご紹介します。

発売からの15日間、「#午後の紅茶」の8割が「チョコミントミルクティー」に!

まずは確認してみよう、ということでさっそくアナリストが判定。
次の画像は、発売から7日目にあたる8月7日午前0時〜10時までの「#午後の紅茶」投稿です。※ミント色:「チョコミントミルクティー」 黄色:それ以外

8月前半15日間の投稿を分類した結果は以下の通りです。

※調査期間:2017年8月1日〜15日 公開された投稿の集計

15日間の「#午後の紅茶」をつけた投稿約3,000件のうち、2,400件がチョコミントミルクティー味の画像(つまりそれ以外は600件しかない…)でした。数字にしてみると凄すぎ!
逆に、このフレーバーの商品を示すユニークなタグが無いことも判ってきました。「午後の紅茶」の他に共通で示すに適したワードが無いのです。

◎ポイント
・ブランド「午後の紅茶」の認知向上の可能性
・商品名や略称に課題

発売翌日に300件の体験投稿、店頭在庫に比例してゆるやかに減少にむかう

次に、推移を見てみましょう

この商品には話題になりそうなタイミングが3つあります。
①7月11日 リリース配信直後
②8月1日 発売周辺
③8月8日 テレビ番組で紹介(マツコの知らない世界)

このうち、②は翌日に300件もの投稿がみられるなど、最大ピークの要因となりました。
③も突出した投稿の増加にはつながらなかったものの、一部投稿からテレビをみたとの言及が確認されました。
実は①が少ない点がインスタグラムのひとつの特徴です(同じソーシャルメディアでもtwitterでは①や③がトレンドが大きくなるケースが一般的です) 。

これは消費者が撮影できる商品がまだ世の中にないからですが、サンプリングをつかったプロモーション体験が投稿されたり、サイト画像をキャプチャリングした投稿など、発売を楽しみにする内容で盛り上がりがみられることもあります。

◎ポイント
・情報解禁タイミングでのユーザー体験が不足

体験を通じて共通する意外なキーフレーズに注目

この中でもっとも注目したいワードは「チョコミン党」(381件/14.9%)「やっと」(145件/5.7%)です。
文脈をみると、前者はチョコミントフレーバーの愛好者がつけるタグで、内容からはこの商品が高く支持されていることがみてとれます。

いっぽう後者は「やっと買えた」「ハシゴして探した」「見つからない」などの表現が多く、高いニーズがありながら供給される場所を充分に確保できていないことが判ります。画像をみると複数個購入や箱買いといった「まとめ買い」を示す画像が一定量含まれ、相関があると考えられます。

さらに出現率0.1〜1%程度の表現を探っていくと「キンキン」「想像以上」といった、シーンや味についての特徴的なワードが確認されました。

◎ポイント
・チョコミント愛好者が支持
・需要に対して、販売店舗が不足
・キンキンに冷やすといっそう美味しい
・想像以上の「チョコミント感」が実感として上がっている

これらは商品の新規開発や改善はもちろん、どのようなシーンやメッセージで訴求すべきなのかを検討する上で貴重な材料になります。

体験を通じた「好き」「気になる」が集まるインスタだからこそ、商品開発に役立つヒントがある

☞今回の「ちょいみる分析」から判ること ※()内は企業において活用が想定される部門

1)ブランド「午後の紅茶」の再注目喚起に一定量貢献した可能性(広報)
2)商品名が長く一般名詞であり、呼びやすい愛称・ネーミングに課題(販促)
3)サンプリング実施など発売以前の商材体験に改善の余地(販促)
4)チョコミントフレーバー愛好層からの支持は高く、それを活かしたコラボなど可能(商品開発)
5)欲しくても店頭で見つからず、購入時にはまとめ買いされている(販促、営業)
6)暑い日にキンキンに冷やすシーンは、体験者からは「共感」を得られ、お試し利用者に「魅力」を上手に伝える可能性が高い(商品開発、販促)
7)「想像以上」「想像を超える」といった共通体験がキーフレーズとなりそう(商品開発、販促)

twitterではプロモーションの話題やリツイートが多く、一部の体験による投稿は文字数も限られることから、どうしてもシンプルな報告や感想が多くなります。
このため商品開発や訴求方法のマーケティングにおいては、インスタグラムの分析をお薦めするケースが多くなります。

比較に相応しい競合商材をきちんと設定できれば、今回でいえばノベルティやイベントの有無の購買貢献など、単独の分析では見えないポイントにもスポットを当てることができます。
またフレーバーや特徴など注力ポイントをキーに分析すれば、潜在ニーズや意外な活用シーンがわかり、アンケートなどの従来からの手法とは違ったインプットを使った商品開発が可能です。

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Ichiko Oki

ソーシャルメディア分析を専門領域に、投稿をもとにした実践的な生活者のインサイト抽出・提案を得意とするデータアナリスト。2018年11月よりD4DR 札幌リサーチセンター開設・室長。

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