NEC目黒友佳(後編):人脈づくりのマイルール〜若手ナレッジワーカーの肖像

NEC「ビジネスモデルイノベーション室」を牽引するメンバーのひとり、NEC事業イノベーション戦略本部ビジネスモデルイノベーション室 目黒友佳氏。今回は、目黒氏独自のネットワークづくりについて紹介しながら、プロジェクトの現場で活躍するメンバーの活気を伝えていく。

個人を生かす組織での働きかた

「アクセラレーター」としての活動が全社的なプロジェクトに対して導入されるようになり、目黒は若手の活躍の場が広がったと感じている。もともと若い人に対して高い期待を寄せている会社だと実感していたが、今回のプロジェクトも全社のサポートのもとで取り組むことで、若い人がいっそう、のびのびと自由に活躍できる場が増えたという。 

「アクセラレーター」である目黒の所属する組織もフラットで、数十人をマネージャーひとりが束ねている。年功序列がほとんどなく、意見も活発にやりとりされている。一見、個人プレーが中心になりそうだが、職場内では顔を合わせると仕入れた情報が自然に共有され、お互いが他のアクセラレーターの情報や知恵を使って解決の糸口をみつけていくという。組織をベースとした上で個人の活動が成り立っているのだ。 

同世代をどのように見ているか尋ねると「身内びいきもありますが、一緒に仕事をしているプロジェクトメンバーやアクセラレーターたちは、誰もが優秀で柔軟です。ただ、もっと意識して外に出たほうがいいかもしれません」事業計画を担当していた時は、自分自身も社内にこもって考えることが多かったと、目黒は振り返る。

1週間で30人の新しい出会い

目黒は今、1週間に30人以上も新しい人に会っているという。これにより、自分の中に多くのペルソナをつくっていき、共感できる人物像を増やしていくという明確な目的のためであり、それが自然に様々なところへ顔を出す行動につながっているのだ。 

「今は、自分の活動を仕事とプライベートでバッサリ分けられる時代ではありません。だからこそ、会社側も個人の社外の活動をもっと歓迎したほうがいいと思うのです」と目黒は語る。外へ行く、外部のネットワークを持つ、ということに対して「何を遊んでいるんだ」といった雰囲気のある会社は多い。しかし、ナレッジワーカーがプロとして自律して働く時に、組織の人脈だけでなく、外に広がる人脈は欠かせない。 

「たくさんの人との出会いは、それだけ自分のインプットになります。プロダクトやサービスを作るときには、使う人の顔を思い浮かべられることが大切だと思っています。そういったユーザーのペルソナを得るためには、実際に会って自分の目で気づきを得ることに勝るものはありません」

 

社外6割・社内4割の飲みニケーション

さらに、目黒は業務終了後の約束や飲み会の比率を「社外6:社内4」という比率に決めている。7年目となり業務の幅が増え、改めて社内に様々な能力を持ったユニークな人が多いことに気が付いた。元々、社外中心に人脈を増やしていた目黒だが、今は意識して社内のネットワークづくりやコミュニケーションの場を増やしている。 

「若い人は飲みに行くのをいやがる」と言われるようなステレオタイプの若者像は、少なくとも目黒にはあてはまらない。自ら「飲みニケーションの大切さ」を強調する。いったん仕事を離れての交流の場では、お互いに意外な表情を発見したり、普段の会話には登場することのないテーマで語り合うなど良い意味での刺激が得られる。それが、再び仕事に戻った際に活かされることも少なくない。社内では、よりコミュニケーションが活発になるなどのメリットもある。情報を発信すると情報が集まってくるように、自分が飲み会に誘うこと、自らイベントを主催することで、人からも声をかけてもらいやすくなると実感している。つまり、より多様な人々と刺激し合えるチャンスが自然と増えていくというわけだ。 

「今年30歳になり、婚活中でもあるので、出会いの場に呼んでくれる人は特に感謝しています(笑)」という目黒だが、そうした場でも結局、仕事の話で盛り上がってしまうんです、と笑顔で語る様子が印象的だった。

(聞き手:藤元健太郎、文:小林利恵子)

 

The following two tabs change content below.

Sho Sato

D4DRアナリスト。Web分析からスマートシティプロジェクトまで幅広い領域に携わる。究極のゆとり世代の一員として働き方改革に取り組んでいる。

記事タグ