販売強化、営業強化のためのマーケティングリサーチで調べるべき項目とは?
はじめに
「売上が伸び悩んでいる」「競合に顧客を奪われている」「新規顧客がなかなか獲得できない」というような課題を抱える営業・販売部門は少なくありません。様々な施策を打ち続けても成果が出ない場合、その多くは「顧客や市場の実態を正しく把握できていない」ことが根本の原因である可能性があります。
マーケティングリサーチを実施することで、感覚や経験則ではなく、ファクトやデータに基づいた戦略を立てることで、アプローチの精度が上がり、成約率・リピート率の改善などに繋がる可能性もあります。
販売強化や営業強化のためのマーケティングリサーチについては以下で解説していますので、ご興味ある方はご一読ください。
販売強化・営業強化のためになぜマーケティングリサーチが重要か。
本記事では、販売強化・営業強化を目的としたマーケティングリサーチで、特に調べるべき重要項目をピックアップし、それぞれ「なぜ必要か」「どう調べるか」をわかりやすく解説します。
顧客ニーズ・購買行動の調査
なぜ調べるべきか
営業・販売活動の基本は「顧客が何を求めているか」を理解することです。ところが、多くの企業は自社の商品・サービスの特長を軸に提案を組み立てており、顧客視点での「課題」「期待」「購買意思決定プロセス」を十分に把握できていないケースがあります。
顧客ニーズと購買行動を正確に把握することで、「誰に」「どのタイミングで」「どんなメッセージで」アプローチすべきかが明確になります。これにより、営業活動の効率が大幅に改善され、成約率の向上が期待できます。
調査・分析手法
- デプスインタビュー(個別ヒアリング):既存顧客や見込み顧客に対して、購買理由・決め手・不満点などを深掘りするインタビューを実施します。定性情報が得られ、顧客の本音を把握するのに有効です。
- アンケート調査:購買動機、情報収集手段、重視する評価軸などをウェブアンケートで広く収集します。定量的なデータを得たい場合に適しています。
- 購買データ分析:POSデータや受注データをもとに、どの顧客層が・いつ・何を購入しているかを分析します。行動パターンの可視化に役立ちます。
- カスタマージャーニーマップ作成:認知から購買・利用・再購買までの顧客の行動・感情を可視化し、各タッチポイントでの課題を明らかにします。
競合他社の営業・販売戦略の調査
なぜ調べるべきか
顧客は常に複数の選択肢を比較しながら購買判断を行っています。競合他社がどのような提案・価格・サービスを行っているかを把握していなければ、自社の強みと弱みを正確に評価することはできません。
競合の営業・販売戦略を調査することで、市場における自社のポジションが明確になり、差別化ポイントや改善すべき点が見えてきます。「なぜ競合に負けたのか」を分析することで、次の商談での勝率を高めることができます。
調査・分析手法
- 公開情報の収集・分析:競合のウェブサイト、製品カタログ、プレスリリース、IR資料などから、価格・製品ラインナップ・販売方針を調査します。
- ヒアリング調査:企業調査や競合企業調査を専門とする企業に依頼し、対象企業の現場の方や関係者、関係機関に実際にヒアリングをし、営業体制や市場のとらえ方などを調査します。
- 失注分析:競合に負けた案件の顧客にヒアリングを行い、選定理由・競合の提案内容を収集します。最も実践的な競合情報の入手手段です。
- 展示会・セミナーでの情報収集:業界イベントで競合のブース展示・プレゼン内容・営業アプローチを直接確認します。
価格感度・価格戦略の調査
なぜ調べるべきか
価格設定は、売上と収益を左右する最重要の変数のひとつです。高すぎれば顧客は離れ、低すぎれば利益が出ません。また、値引き交渉への対応方針がないまま営業活動を続けると、不要な価格競争に巻き込まれるリスクがあります。
顧客が「高い」「安い」と感じる価格帯を把握することで、最適な価格設定と値引きラインの基準を設けることができます。また、価格以外の価値(品質・サポート・ブランド)で差別化できる余地を探ることも可能になります。
調査・分析手法
- PSM分析(Price Sensitivity Meter):「高すぎて買えない価格」「安すぎて品質が心配な価格」「妥当と感じる価格」などを調査し、許容価格帯と最適価格を導出します。
- コンジョイント分析:価格・機能・サービス内容など複数の属性を組み合わせたシナリオを顧客に評価させることで、価格に対する感度と他属性との優先度を定量化します。
- 競合価格モニタリング:競合他社の価格・キャンペーン情報を定期的に収集し、市場価格の動向を把握します。
- 営業担当者へのヒアリング:値引き要求の頻度・金額・理由などを現場から収集し、価格設定の見直しに活用します。
販売チャネル・流通構造の調査
なぜ調べるべきか
どれだけ優れた商品・サービスがあっても、顧客に届く適切なチャネルを持っていなければ販売機会を逃します。直販・代理店・EC・小売など、複数の販売チャネルが存在する中で、どこに注力すべきかを判断するためには、各チャネルの特性と顧客行動を把握する必要があります。
チャネルの効率性と顧客との接点を最適化することで、リソースの無駄を省き、売上機会を最大化することができます。特に近年はオムニチャネル対応が求められており、オンライン・オフラインを組み合わせた戦略設計が重要です。
調査・分析手法
- チャネル別売上・利益分析:各販売チャネルの売上規模・収益性・顧客獲得コストを比較し、効率の高いチャネルを特定します。
- 流通業者・代理店ヒアリング:パートナー企業に対してヒアリングを実施し、エンドユーザーのニーズ・競合状況・チャネルの課題を収集します。
- EC・デジタルチャネル分析:Webアクセス解析・カート離脱率・コンバージョン率などのデータをもとに、オンライン販売の改善点を特定します。
- 店頭観察調査・実地調査:小売現場での商品の陳列状況・顧客の購買行動を直接観察し、チャネル戦略の改善につなげます。
顧客満足度・ロイヤルティの調査
なぜ調べるべきか
新規顧客の獲得には、既存顧客を維持するコストの5〜7倍かかるとも言われています。既存顧客が満足し、継続購買・紹介・アップセルにつながる関係を築くことは、営業コストの削減と収益安定化において非常に重要です。
顧客満足度・ロイヤルティを定期的に測定することで、解約リスクのある顧客を早期に検知し、先手を打つことができます。また、満足度の高い顧客の特徴を把握することで、最も価値ある顧客層へのアプローチを強化することができます。
調査・分析手法
- NPS(Net Promoter Score)調査:「この商品・サービスを友人・同僚に勧めますか?」という質問で顧客ロイヤルティを数値化します。業界横断での比較も可能な標準指標です。
- CSアンケート(顧客満足度調査):商品・営業対応・アフターサービスなど各接点での満足度を調査します。定期的に実施し、トレンドを把握します。
- レビュー・口コミ分析:ECサイトやSNS、Googleビジネスプロフィールのレビューを収集・分析し、顧客の生の声を把握します。
- 解約・失注理由分析:サービスを解約した顧客や購買をやめた顧客にヒアリングを行い、改善すべき課題を把握します。
市場トレンド・外部環境の調査
なぜ調べるべきか
営業・販売戦略は、外部環境の変化に大きく影響を受けます。法規制の変更、テクノロジーの進化、消費者価値観のシフト、経済動向など、マクロ環境が変化することで、自社の強みが陳腐化したり、新たな販売機会が生まれたりします。
外部環境を継続的に把握することで、変化に先手を打った戦略修正が可能になります。また、営業トークに市場トレンドの視点を取り入れることで、顧客との対話の質を高め、信頼関係の構築にもつながります。
調査・分析手法
- 業界レポート・調査レポート分析:矢野経済研究所、富士経済、ガートナーなどの調査機関が発行する業界レポートを収集し、市場規模・成長率・トレンドを把握します。
- SNS・メディアトレンド調査:TwitterやInstagram、業界専門メディアのトレンドを定期的にモニタリングし、顧客関心の変化をキャッチします。
- PEST分析:政治(Political)・経済(Economic)・社会(Social)・技術(Technological)の4軸から外部環境を整理し、自社事業への影響を評価します。
- 展示会・カンファレンスへの参加:業界動向や新技術・新サービスの最前線情報を取得します。競合の動向把握にも活用できます。
まとめ
販売強化・営業強化のためのマーケティングリサーチ 調査項目
| 調査項目 | なぜ調べるべきか | 調査手法例 |
|---|---|---|
| 顧客ニーズ・購買行動 | 商品・サービスの提案内容を最適化し、成約率を高めるため | |
| 競合他社の営業・販売戦略 | 自社の強みを明確化し、競合に対する差別化ポイントを構築するため | |
| 価格感度・価格戦略 | 適正価格の設定により収益性と顧客獲得のバランスを最適化するため | |
| 販売チャネル・流通構造 | 最も効率的な販売経路を特定し、売上機会を最大化するため | |
| 顧客満足度・ロイヤルティ | 既存顧客の維持とリピート購買を促進し、LTVを向上させるため | |
| 市場トレンド・外部環境 | 外部環境の変化を先読みし、営業戦略を機動的に修正するため |
マーケティングリサーチは、一度行えば終わりではありません。市場は常に変化しており、顧客ニーズも競合状況も日々更新されます。定期的な調査サイクルを設け、データに基づく営業・販売活動のPDCAを継続的に回すことが、中長期的な販売強化・営業強化につながります。
まずは自社にとって最も課題感のある項目から着手し、段階的に調査の範囲と深度を広げていくことをお勧めします。
Sho Sato
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