d-31 : 死に関する自己決定(安楽死・尊厳死など)

死に関する自己決定(安楽死・尊厳死など)とは?

予想される未来社会の変化

  1. 治癒が困難な病気や重大な苦痛を抱える人が、別の法域や国へ移動して合法的に施される安楽死・自殺幇助を求める「デスツーリズム」の人数が増加している。スイスの民間団体「ディグニタス」では、1998~2023年に計3916人が自殺幇助を受け、日本人も含まれている。
  2. 安楽死・尊厳死を巡る議論が各国で行われている。イギリス議会下院では、イングランドとウェールズにおいて、終末期の成人の「死を選ぶ権利」を認める歴史的な法案「終末期患者支援(終生)法案」が可決され、「支援を受けた死」が2029年か2030年に可能になると言われている。
  3. 日本でも終末期医療の関心は高まっている。日本で安楽死は全面禁止だが、尊厳死について今後明確な法律が定められる可能性がある。

トレンド

デスツーリズム

出典:産経新聞『自殺幇助が合法の国で安楽死を望む「デスツーリズム」 スイス民間団体に日本は98人登録』

「デスツーリズム」とは、治癒が困難な病気や重大な苦痛を抱える人が、別の法域や国へ移動して合法的に施される安楽死・自殺幇助を求める行為を指す。

スイスの民間団体「ディグニタス」では、1998~2023年に計3916人が自殺幇助を受けた。うち3675人(94%)は海外在住者で、日本の6人も含まれる。同団体は会員にスイスの医師を紹介、医師が致死薬の処方箋を出し、会員は団体の施設で自ら服用、摂取する。会員数は2023年末時点で1万3775人。日本からは98人が登録していることが分かっている。

イギリスでの「終末期患者支援(終生)法案」可決

出典:BBC NEWS JAPAN『イギリス下院、「支援を受けた死」認める歴史的な法案を可決』

イギリス議会下院では、イングランドとウェールズにおいて、終末期の成人の「死を選ぶ権利」を認める歴史的な法案「終末期患者支援(終生)法案」を可決した。今後は上院(貴族院)での審議に進む。

上院が法案に修正を加えた場合は、下院に戻され、あらためて採決される。その後、チャールズ国王が認可して成立する。この法律が成立した場合、政府は最大4年以内に施行のための措置を導入するため、実際に「支援を受けた死」が可能となるのは、2029年か2030年になる可能性がある。

本法案は、余命6か月以内と診断された18歳以上の成人が、主治医ともう一人の医師の同意を得た上で裁判所の承認を受け、致死薬の処方を含めて自己選択で死を迎える権利を認めるものである。

ニュージーランドで安楽死と自殺ほう助が1年で37%増加

出典:Christian Daily International”Euthanasia and assisted suicide in New Zealand rise 37% in one year”

ニュージーランドでは、2024年4月から2025年3月の1年間において、安楽死および自殺幇助(いわゆる“終末期選択”制度)による死亡件数が 472件に上り、前年同期の344件から約37.21%増加した。この増加数は、国内の全死亡のうち約1.25% を占める規模となる。

この背景には、2019年成立のEnd of Life Choice Act 2019が、2021年11月7日から施行され、18歳以上で永住権または市民権を持ち、「余命6ヶ月以内の終末期疾患」「回復不能な身体機能の低下」「耐え難い苦痛」を経験していると判断された人が、医師による要件確認のうえ安楽死または自殺ほう助を選択できる制度が整備されたことがある。

加えて、申請者のうち12%が障害を理由に選択を申し込んでおり、そのうち約20%(5人に1人)は緩和ケアを受けていなかった というデータもある。十分な情報に基づいた意思決定能力があるかどうかを判断するための精神医学的評価を受けた申請者はわずか19人だった。

また、制度対応医師数が2023年3月時点の148人から2025年3月時点で126人に減少しており、申請の増加にもかかわらず、支援体制が縮小している点も指摘されている。