月面資源開発の進展とは?
予想される未来社会の変化
- 地球資源の枯渇、燃料としての月面資源の価値、再利用ロケットなどによる宇宙輸送コストの低下、宇宙覇権のための国家間競争激化などを背景に、月面資源開発が進展している。
- NASAでは月での長期滞在を実現する国家プロジェクト「アルテミス計画」を発表。その後、約3兆円を投じ、月の南極付近に本格的な月面基地を建設する壮大な計画を発表した。年2回の有人月面着陸を目指しており、単なる探査を超え、「人類が月に住む」未来を現実にすることを目的としている。
- 東京大学は、「宇宙資源連携研究機構(CSRI:Center for Space Resources and Innovation)」を設立。月や小惑星に存在する宇宙資源の「探査」「収集」「利用」に関わる科学・技術・制度研究を一元的に推進し、「宇宙資源学」という新たな学問領域を創成することを目指している。
- ゼネラルシムスサービスと北海道大学は共同で、月面における水資源探査を目的とし、小型二次イオン質量分析装置(SIMS)の開発プロジェクトを進めており、Blue Originでは、月の資源開発を目指すプロジェクト「Project Oasis」において、月面での「現地資源利用(ISRU)」技術の基盤構築を進めている。
トレンド
小型質量分析装置SIMS(二次イオン質量分析装置)

ゼネラルシムスサービスは、月面における水資源探査を目的として、世界初の小型二次イオン質量分析装置(SIMS)の開発プロジェクトを、北海道大学との共同研究で開始した。
従来、SIMS装置は1トン以上の重量を要し、月面輸送費用が高くなるという課題があった。 しかし本プロジェクトでは、従来機の5分の1~10分の1へ軽量化を図ることで、月面探査向け輸送・運用コストを大幅に削減できる革新的な試みとされている。
本装置は、月の“水”の存在を探るため、月面土壌中に含まれる水素や水資源の有無・分布を質量分析により明らかにすることを目的とする。このように、本開発は月面資源開発の観点から“水”をキーマテリアルとして捉え、装置の小型・軽量化によって探査実現性を高めるという重要な一歩と位置付けられる。
宇宙資源連携研究機構(CSRI)

東京大学は、地球資源の枯渇や月・小惑星探査の国際的な進展を背景として、2025年10月1日付で「宇宙資源連携研究機構(CSRI:Center for Space Resources and Innovation)」を設立した。
本機構は、月や小惑星に存在する宇宙資源の「探査」「収集」「利用」に関わる科学・技術・制度研究を一元的に推進し、これを契機に「宇宙資源学」という新たな学問領域を創成することを目指す。運営は工学・理学・新領域創成科学など複数の大学院研究科や研究センターを横断して行い、文理融合の体制を整備する。国内外の大学・研究機関と連携して、国際的に活躍できる人材育成も視野に入れている。
また、本機構の設立は、2025年5月に始動した政府の宇宙戦略基金「月面開発のための宇宙資源開発拠点」とも密接に連動しており、産学官連携を通じて、地球外資源利用の制度・技術基盤づくりを加速する狙いがある。
Project Oasis

Blue Originが、月の資源開発を目指すプロジェクト「Project Oasis」を、ルクセンブルクの政府・宇宙機関と連携して発表した。
このプロジェクトの第一段階「Oasis-1」では、小型衛星を月軌道に投入し、氷水、水素・酸素の原料となる水氷、ヘリウム-3、レアアース・貴金属・放射性物質などの地下資源を測定・マッピングする計画となっている。
具体的には、ニュートロン分光器で深さ1mまで月面の水氷濃度を定量し、磁力計・マルチスペクトル画像装置で金属やヘリウム-3の存在を探るなど、月面での「現地資源利用(ISRU)」技術の基盤構築を目指している。