菌・微生物の高度活用とは?
- 微生物(細菌・ウイルス・真菌など)は、分解・合成・共生といった機能を持ち、これを制御・設計することで、医療(腸内細菌を利用した治療・創薬)、食品(発酵技術の高度化(代替タンパク・機能性食品))、環境(廃棄物分解・CO₂固定・生分解素材)、農業(土壌改良・作物の成長促進)などの分野での高度活用が進んでいる。
- マイクロバイオームとは、特定の環境(人体、腸内、皮膚、土壌など)に存在する微生物群とその遺伝情報の総体を指す。
- 人体には腸などに数十兆個の微生物が共生しており、消化・免疫・代謝・精神状態にも関与するといわれている。個人ごとに構成が異なるため、個別医療の鍵となる。将来的には個人のマイクロバイオームに基づく超個別化ヘルスケアが期待される。
- 皮膚常在菌を活用したスキンケアや、記憶力を向上させて認知機能の俊敏性を高めるココア飲料など、マイクロバイオームの特性に着目した新商品が続々と登場している。
トレンド
マイクロバイオーム代謝物で「脳の長寿」をサポートするココア飲料「Aqua de Cocoa(アクア・デ・ココア)」

大阪・関西万博のフランス館で開催された長寿研究のシンポジウムにて、プロジェクトリーダーのソフィー・ブルス氏が、脳の長寿に特化したChocolkan(チョコルカン)の最新プロジェクト「CEREKAN(セレカン)」を発表した際に、マイクロバイオーム代謝物で「脳の長寿」をサポートするココア飲料「Aqua de Cocoa(アクア・デ・ココア)」が紹介された。
ジャン・ポール・ブルス農園で赤道直下に育つカカオ豆から発見された乳酸菌の一種が、“SynaBiome(シナバイオーム)”と名付けた代謝物を生み出し、認知機能向上に役立つことが明らかとなった。そこで記憶力を高めて思考の敏捷性をサポートするココア飲料を開発。臨床試験の結果、記憶力を向上させ、認知機能の敏捷性を高めることが実証された。
この飲料は、一般的に使用されるエタノールなどの有機溶媒を一切用いず、水だけで抽出する製法によって生み出された、安全性と独自性を兼ね備えたココアとなっている。
アクア・デ・ココアは、千寿オリーブに由来するマイクロバイオーム、発酵カカオ、ポストバイオティクスによって得られた代謝物を配合し、脳のパフォーマンスと長期的な健康をサポートする。
韓国発マイクロバイオームスキンケアブランド「UIQ(ユイク)」

「UIQ(ユイク)」は、韓国の製薬会社Genome & Company独自の技術力で開発したスキン由来のマイクロバイオーム原料と技術力を基に、肌を健やかに整えるスキンケアブランド。
マイクロバイオームは微生物(Microbe)と生態系(Biome)が合わさった言葉で人体に住む微生物とその遺伝子を意味する。人の肌にも有益菌と有害菌などで区分できる様々な種類のスキンマイクロバイオームが共存しており、これらのバランスによって皮膚の健康が決まる。スキンマイクロバイオームは表皮、真皮、皮下脂肪と共に肌を形成している「4番目の肌バリア」として健康な肌を整えるための必須要素となっている。UIQの全製品には、スキンマイクロバイオームを補うキューティバイオーム™(バチルス培養物(皮膚コンディショニング剤))が含まれている。
FMT治験薬製造センター

メタジェンセラピューティクスは神奈川県川崎市のキング スカイフロント内に、国内初となる「FMT治験薬製造センター」を開設。
メタジェンセラピューティクスでは、経口投与による腸内細菌叢移植(FMT:Fecal Microbiota Transplantation)を可能にする「経口FMT医薬品」の開発を進めている。腸内細菌叢移植は、健康な人の便に含まれている腸内細菌叢を、疾患を持つ患者さんの腸に移植し、バランスのとれた腸内細菌叢を再構築する治療方法である。
同治験薬の原材料には、山形県鶴岡市「つるおか献便ルーム」で腸内細菌ドナーより提供された便の腸内細菌が用いられる。同ルームに隣接する製造施設にて、ドナーの便から腸内細菌を抽出し、凍結した後、神奈川県川崎市の治験薬製造センターに輸送される。
今後、2026年始めには同製造センターでの治験薬の製造を開始し、2026年中を目途に日本および米国にて同医薬品の治験開始を予定している。