SNS分析でみる『18歳選挙権』(ちょいみる分析)

こんにちは、D4DR分析コンサルティング部がお届けする「ちょいみる分析」のコーナーです。

「それ、ちょいっと見てみよう」をコンセプトに、毎回、様々なお題を簡単な手法を用いて勝手に分析してしまう「ちょいみる分析」。

回を重ね、分析対象メディアとしてTwitter、ブログ、Instagram(インスタグラム)と来たところで、今回はニュース共有サービス「NewsPicks(ニューズピックス)」から、7/10(日)の参議院選からスタートする「18歳選挙権」に関する反響分析をまみたすがお送りします。

「18歳選挙権」と相性のよいメディアって?

「無印良品計画」の回でも申し上げましたが、分析対象メディアの選定はとても大切。

今回、「18歳選挙権」に関する反響を分析するにあたり、まず第一に優先したいと考えたのは「具体的内容とそのバリエーション」でした。

瞬発的な意見と情報の拡散では抜群の力を発揮するTwitterやFacebookでは、若者の声が多く取得できることが期待できる反面、その内容は「選挙行かない」「興味ない」「初選挙楽しみ」や記事のRTに留まることが予想されました。

今回は「どんな反響があるのか」を知りたいので、「なぜ選挙に行かないのか」等、より具体的な内容を収集したいところ。

そこで、ニュース記事を元に、「18歳選挙権」に対して様々な方々の「自身の立場や業界を踏まえた意見」が集まっているNewsPicks(ニューズピックス)が最適と判断しました。(このメディアの注意点としては、取り上げられている記事の内容によっては、時にコメントのやりあいがあらぬ方向へ激化したり、意識高い系(笑)なんて揶揄されたりすることもあるようなので精査は必須です。)

選定や判断といえば、弊社で「適合性評価」というサービスをスタートします。(脱線して申し訳ありません。)

適切なターゲットへのコミュニケーションのリーチ度合やターゲットとの関係性等を評価するサービスです。

この評価をすることによって、選定や判断といった観点ですと、例えばプロモーションに適したメディアの選定ができたり、ターゲット層の判断を行ったりすることもできるといった内容です。

この「適合性評価」サービスについては、後日改めてご案内をさせていただきます。

NewsPicks(ニューズピックス)とは

今までご紹介してきたソーシャルメディアとはちょっと毛色の違う、ニュース共有サービスメディアと呼ばれるNewsPicks、掲載されているニュースには無料で読めるものと有料コンテンツがあります。

あまり馴染みがないという方もいらっしゃるかもしれないので簡単にご説明しますと、NPとは取り上げられたニュースを読むだけでなく、そのニュースに対し、ピッカーと呼ばれるユーザーがコメント等のアクションをすることができるメディアになります。

ユーザー会員数は150万人で、そのうち18歳~24歳までの若者は13%、19.5万人

ピッカーには2種類あり、NPがセレクトした20分野全100人の「PROピッカー」と一般のピッカーがあり、「PROピッカー」は毎月、新しい方が数名セレクトされ、メンバーチェンジしています。(※画像クリックで記事ページへジャンプ)

プロピッカーキャプチャ

また、アクションにも①記事をPickする、②記事にコメントをする、③コメントにLikesする、④記事をシェアする、の4種類があります。具体的には以下のとおり。

  • ①記事をPickする(コメントなし)

Twitter、Instagram、Facebookでいうところの「いいね」と考えていただけるとわかりやすいと思います。

記事を後で読むためにブックマークとして利用をされている方もいらっしゃるようですね。

  • ②記事にコメントする

読んで字のごとく記事に対して意見をコメントするわけですが、今回はこのコメント内容を中心に分析していきます。

  • ③記事に対するコメントにLikesする

先に挙げたSNSでいう「コメントに対するいいね」と同様で、そのコメントに対する共感や同意を示すものになります。

こちらの数字も内容と組み合わせてちょいっと集計してみます。

  • ④記事をシェアする

TwitterまたはFacebookへシェアする行為になります。

Newspicksでは若者が積極的に意見しています!

さてさて本題の「18歳選挙権」関連の掲載記事として、まず目を付けたのがこちらの記事。(※画像クリックで記事ページへジャンプ)

対談キャプチャ

女子高生社長として名を馳せた椎木里佳さんと学生団体SEALDsの代表奥田愛基さんの対談記事です。

しかしこの記事に寄せられたコメント、「キャスティング批判」と「内容がない」といった意見が多く、ネガティブな論調が目立ちます。

「18歳選挙権」ではないところでコメントが盛り上がってしまっているため、定量的、定性的な分析は別の記事で行うことにしますが、分析対象記事を検討するにあたり様々なコメントを読んで感じたこと。

選挙関連ではない他記事と比べ、今回の「18歳選挙権」のタイミングで掲載されている選挙関連記事は、総じて若者(NPには「U-25」というPROピッカー用ジャンルがあるため、ここでは25歳以下を若者と定義します。)、特に学生のコメントがとても多い印象。

そしてそのコメントの中には「SEALDsは若者の代表ではない」「SEALDsに影響は受けていない」という意見が。

そりゃそうですよね。大人だっていろんな考えの人がいるんですもの。だから選挙するんですもんね。

参加はネット投票!発信はネット活用!

次にチョイスした記事はこちら。(※画像クリックで記事ページへジャンプ)

記事キャプチャ

シンプルに「18歳選挙権」を報じるニュース記事です。

こちらに寄せられたコメントを意見の傾向別に分類してみるとこんなランキングに。

PROピッカーと比較したコメント分類

U25と比較したコメント分類

上下2つのグラフは同じコメントデータを意見の傾向別に集計したものですが、上のグラフでは「PROピッカー(青)」、下のグラフでは「U-25の若者(水色)」、それぞれのうち数を表しています。

通常の分析では、上のグラフで、どんな意見が多く、その意見のうち影響力の強い「PROピッカー」のコメントがどのくらい含まれているのかを把握します。

しかし今回は、「18歳選挙権」の反響分析なので、下のグラフでそれぞれの意見に「U-25の若者」のコメントがどのくらい含まれているのかを中心に見てみましょう。

コメント数1位は「インターネット活用」で、スマホ投票を望む声や、選挙運動等についてネット上での情報発信の重要性を語るコメントでした。

その中で「U-25の若者」たちは、ネット上での情報発信よりもスマホ投票の実現を訴える声が中心

2位は「選挙教育」で、「U-25の若者」の声が最も多く集まった意見になります。

具体的には選挙について教えてもらっていない、教育が必要だという内容。

3位は「投票ポジ」で、18歳に引き下げへのポジティブ意見や学生による投票に行くというコメントでした。

次に同じ分類のまま、コメント数ではなく各コメントについたLikesを集計してランキング化してみます。

各コメントについたLikes数

すると3位以下のランキングが変化しました。

3位は「シルバー民主主義」で、現状の政策を変える可能性を持つ若い力への期待や年代別の一票の格差について声が挙がり、それに同意するLikesが集まる結果に。

 コメント数だけではわからなかった同意という反響をLikesを集計することで把握することができました。

興味が先か、参加が先か

ここからは分析結果を踏まえたアナリスト所感が入りますが、皆さんへとても大切なお願いをさせていただきたいので、ぜひ最後までお付き合いください。

コメントを分析することで、ひとつの違和感を覚えました。

それは以下の意見について、要因や結果とする捉え方のギャップです。

  • 選挙教育(してほしい・足りない・するべき)
  • 学生は選挙に興味なし
  • (わからなくても)とにかく投票(するべき)
  • 学生は(自ら)調べない

この要素を、大人ロジックで表現するとこんな感じです。

大人ロジック

選挙教育が足りていないと感じている一方で若者は選挙に消極的と感じる大人と、わからなくてもいいんだ、とにかく参加しよう!という大人

一方、若者のロジックはこんな感じ。

若者ロジック

とにかく参加しよう!って言われても、そもそもなぜ選挙に行かなきゃいけないんだっけ?誰にも教えてもらってないし興味も持てない、と感じているu-25の若者

 いかがでしょうか。

U-25の若者の選挙参加に対する期待や失望が数多く語られる中、いずれのロジックの中でも「なぜ選挙に行かなきゃいけないのか」について積極的に教えたり、聞いたり、調べたりしている様子が見られません。

「なぜ選挙に行かなきゃいけないの?」に答えてください

ランキングでもお伝えした通り、若者たちは選挙に対してわからないことがたくさんあります。

この問いに対して、選挙に興味が沸く、重要性が理解できる、参加したくなる、そんな答えを教えてください。

次回のちょいみる分析では、参議院選挙後の分析と共に、こちらのアンケートを実施したいと考えています。

皆さま、ぜひ次回のちょいみるアンケートにご参加いただけますようよろしくお願いいたします。

D4DRでは2005年からソーシャルメディア分析、SNS分析を実施してきました。ブログ、twitter、instagramなど多くのメディアに対応し、独自システムやノウハウを使った分析サービスをご提供しています。

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