顧客ドリブンのマーケティング思考による事業再生コンサルティング:逸見光次郎氏を迎えて

事業戦略コンサルティングからO2O/オムニチャネル戦略、行動情報マーケティングやソーシャルメディアの分析など、D4DRでお手伝いをさせていただいているプロジェクトは幅広く、クライアントも業界も多岐にわたります。

 

今回は業界トップ人材の一人である逸見光次郎さんを迎えて、社内で事例研究を行いました。

逸見さんは、オムニチャネルコンサルティング・経営コンサルティングのスペシャリストで、ネット販売と店頭小売り業界で豊富な経験を持っています。

「売れないことを前提に」マーケティングを考えていく

私にとってのマーケティングとはそもそも、販売促進やブランディングではなく、顧客へアプローチしてつながることです。

残念ながら多くの企業は、顧客が見えていない。よって、顧客に即したマーケティングができていないという現状があります。社内でも部署によって、原価率、利益率、粗利額など、見ているところがバラバラで、顧客への効果的なマーケティングができていません。

1995年にウィンドウズ95が発売され、パソコンとネットが広く普及し始め、社会は著しく変化しています。
1997年をピークに、小売り業界全体は売上が右肩下がりになっています。にもかかわらず、ほとんどの企業は前年売上対比を重視しており、効果的ではありません。

小売・流通の主役は

・店舗からネットへ
・BtoCからCtoCへ
・ブラウザからスマホ・アプリへ

このように、より顧客に近いところへ買い物の接点が移ってオムニチャネル化し、ニューリテールの時代に突入しています。

そうしたなか、顧客の状況も変化しています。ネットからの情報が多く、情報過多で混乱をしている。世帯収入が減り、小世帯化し、世帯ごとの年間の消費も伸びていません。

以前のようにまとめて購入する時代は去り、一人一人の顧客の「欲しい」に特化していく必要が出てきました。小売業界の「まとめて仕入れて、まとめて売る」という手法は、「売れること」が前提にあります。よって、今の時代にはフィットしません。

今は「売れないことを前提に」マーケティングを考えていく必要があるでしょう。

ではどう顧客にアプローチしたらよいでしょうか?

近年はBIツール等も出てきて、データが「見える化」されてきました。

しかし注意しなければならないのは、データ至上主義にならないことです。なぜなら、データで見えていることと、現場で見えていることは一緒ではないからです。

現場の状況とデータをうまく組み合わせ、効果的なアプローチを考える必要があります。

顧客も多様化しているため、企業もそれぞれの顧客によって、コミュニケーションを個々に最適化することが求められます。

 

マーケティングの本質は「社会に貢献する」こと

ビジネスにおけるマーケティングの役割と重要な点は何でしょうか?

どの会社にも企業理念があり、社会に貢献する理念になっています。企業の役割は「社会の役に立つこと」なのです。

よって、マーケティングの本質は、「企業と顧客をつなぎ、社会に貢献すること」です。

 

マーケティングの目的を、次のように定義します。
・市場・消費者に自分たちの商品・サービスを知ってもらい、「買ってみたい、使ってみたい」と思わせる
・買った人、使った人たちに、繰り返し使ってもらう
・使ったあとで、「良かった」「悪かった」と情報発信してもらい、他の消費者に影響を与える
・買った人、使った人の「声」を整理し、より良い商品・サービスへと改善する
・改善点をあらためて市場・消費者に知ってもらい、「買ってみたい、使ってみたい」と思わせる

 

この目的を果たし、自社の商品・サービスが社会の役に立っていることの確認と周知を繰り返していくことが大事です。
顧客とのエンゲージメントは、顧客に合わせた継続的なコミュニケーションで高め、顧客の支持を集めることが、企業理念を実現することにつながるのではないでしょうか。

KPI指標に目を向けすぎて、失敗する例が多くみられます。先ほども述べたように、部署ごとに、粗利額、原価率など見ているところが異なっています。

マーケティングの評価指数は、企業にとって上位概念の「売上・利益・客数」で図らねばなりません。

その上で、購入前後の行動である「閲覧頻度・来店頻度・購買頻度」等を可視化することが重要になってきます。

顧客とのエンゲージメントが「見える化」できると、これからは商品単位でなく、顧客単位で考えることができます。

顧客もいろいろで、一人一人使えるお金の額も異なる。多様な顧客がいる中で、例えば「1年買っていないと休眠顧客」と決めつけるのは間違いだと思います。顧客それぞれに、買わない・買えない事情があるからです。

顧客の属性振り分けを細かく定義し、顧客視点で考え、指標を決めることが重要です。

 

マーケティングは全社が横軸で考える

売上、利益、客数アップに向けて、企業の各部署が成果を上げようと努力をしていますが、こういった縦割り組織による個別努力だけでは、これからの時代に成果を上げることは難しいでしょう。

やらなければいけないのは、部門間で共通の目標を「横軸で」作ることです。横通しの協力体制によるマーケティングが必要なのです。
そもそもマーケティングは、全社が横軸で考えなければなりません。

企業の組織がうまくいかない要因の一つに、「評価」があると私は思っています。評価は、経営(経営目標)と現場(個別目標)をつなぐものであるべきです。

各部署の目標、指数、活動がバラバラになっていると、企業は組織全体で成果を出すことができません。

なぜなら各部署、各社員は成果を出すために頑張っていますが、残念ながらそれは部分的な動きになってしまうからです。

全社で目標達成に向けて邁進できる仕組みを作るには、部署間で共通の問題を見て、横軸で話ができるようになる必要があります。

そのために部署ごとに、何の数字を上げたら会社の利益が上がって、自分が評価されるのかを「見える化」していくことが大事です。共通の問題が見えていれば、部署ごと、現場社員ごとの認識が統一され、現場の施策は何をしてもブレないはずです。

自分がやっている施策が会社全体のどの業務に関連しているのか、どのプロジェクトにつながっているかをフローに起こし、「見える化」をする。

すると、それぞれの部署に問題があるのではなく、フローの中の“つながり”に問題があることに気づくのです。フローの中の“つながり”に問題があるということが分かれば、“部署が”“誰が”悪いという思考はなくなり、つながりを良くさえすれば、フローの流れを良くすれば、会社全体が仕事しやすく改善していきます。そのことに、自分たちで気づくということが大事です。

全社の中の事業部の役割が明確になると、社員は明日から何をすべきかが明確化し、社員はとたんにやる気がアップします。すると、必然的にプラスの動きで会社が回り始めるのです。

 

ディスカッション

事例研究の後はディスカッションが交わされました。

クライアントの業務を改善するコンサルティングについて、業務全体のレギュラーフローを描いて徹底的な「見える化」をし、クライアント自身に問題を気付かせる手法に、感動の声があがりました。

 

また、メーカーの商品開発について問題提起されました。

メーカーがCRMに投資をしているが、実際にどう効果が出ているかわからないところが多いという意見に対しては、

メーカーは顧客を個でとらえられず、どうしてもセグメントで見ている。きちんとセグメントのボリュームやターゲティングを把握し、定義づけをしっかりする。すると、誰にどう情報をつたえるべきかが見えてくる、と逸見さんより回答がありました。

商品開発は「サービス開発」としてとらえなければいけない、と納得の声が聞かれました。

 

コンサルティングの手法についても討論がなされました。

オペレーションや全体最適のやり方については、コンサルティング会社が外部から入るからこそできることです。カスタマージャーニーの裏側に、KPIと業務フローがセットで存在することで、企業は効率的に動くことができるようになることを、参加者全員が再認識したようでした。


IoT、オムニチャネル、企業・生活者調査、事業戦略、EC、カスタマージャーニーなど、様々な領域のコンサルティングのプロが集結したディスカッションは、非常に内容の濃いものとなりました。

今後さらに価値の高いコンサルティングを提供していくため、D4DRは常に成長を続けていきます。

 

「顧客の見える化と業務の見える化」こそがデジタルトランスフォーメーションの要となります。

顧客に合ったマーケティングがしたい、顧客とのエンゲージメントを高めたい、社内組織が横通しでうまく機能していない…などのご要望やお悩みをお持ちであれば、ぜひD4DRにご相談ください。

 

※逸見光次郎氏と弊社代表・藤元健太郎による対談記事は、こちらを参照ください。

【インタビュー】オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎氏 業務フローの「見える化」で現場の課題を解決し、顧客も「見える化」へ

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