当てはまったら黄信号。「事業利益に貢献しないCRM分析」の4つの特徴

CRM 分析

ビッグデータは諸刃の剣。顧客に惑わされる企業が続出

「CRMシステムを使って顧客の情報を集め、セグメント化も行っているのに業績は悪化するばかりだ。顧客の情報は見えているはずなのに……」

顧客のニーズにあったサービスをジャストタイミングで展開することでLTVをあげ、事業の維持と拡大をはかる戦略、CRM。
顧客との良好な関係性を戦略の基盤においているこの手法において、「顧客がわからないこと」は致命的といえます。

顧客のニーズにあったOne to One マーケティングをして競合企業を追い抜きたいのに、顧客からの反応がかんばしくない。
あるいは、最新のCRMシステムを導入して顧客をセグメント化したのに、なぜか売り上げが伸びない。
このような壁に当たってしまう企業は少なくありません。

顧客情報を集めたビッグデータがあり、さまざまな手法に基づいて顧客を分析したにもかかわらず売り上げが伸びない理由は、いったい何なのでしょうか。
今回は、事業利益に貢献しないCRM分析の4つの特徴についてご紹介しましょう。

事業利益に貢献しないCRM分析の4つの特徴

以下に、事業利益に貢献しないCRM分析の4つの特徴をまとめます。

  1. データの収集プロセスが未成熟であり、顧客情報が正確でない。
  2. 顧客のセグメント化に目的がない。
  3. 顧客のセグメント化には成功しているものの、それが現場に還元されていない。
  4. 「見えている」顧客のみに注力し、見込み客をはじめとする新規顧客層へのアプローチを行っていない。

では、各項目について詳しく見てみましょう。

1:データの収集プロセスが未成熟であり、顧客情報が正確でない

まず前提として、正確なデータ分析は、正確な情報に基づかなければ実現できません。

顧客情報の肝が「鮮度」と「正確さ」であることは、皆さんもご存じのとおりかと思います。

CRMシステムに入力した情報が不正確であった場合、あるいは正しい情報でも顧客が一元化されていない場合、顧客情報は自社に利益をもたらすビッグデータになりえないばかりか、誤った顧客像を生む温床になりかねないといえるでしょう。

正しい顧客情報を集めるには、企業全体で統一された作業ルールと、情報を統括するシステム、使いやすいフロントエンドツール、そして正確に機材を使う人材が必要です。

補足:CRM分析に活かす顧客情報管理のコツ

なおCRM分析に活かす顧客情報管理のコツは、「顧客の情報を一元化すること」です。顧客を正確に把握するには、「だれが、いつ、どこで、なにを、どうして買ったのか」を同一IDなどで紐付けていく必要があります。

単なる購買履歴だけでは、顧客のニーズは見えません。ウェブへのアクセス履歴や、アンケート回答の内容。サポートデスクへの問い合わせ、DMのクリック率。複数の顧客接点から得た顧客情報を点で終わらせず、線でつなげることで、顧客の行動が見えるようになるでしょう。

2:顧客のセグメント化に目的がない

顧客情報の分析方法(セグメンテーション手法)としては、すでにさまざまな手段が提唱されています。代表的なものとしては、顧客の購買履歴から優良顧客を抽出するRMF分析や、クロスセル・アップセルの機会を探るアソシエーション分析、新たな顧客セグメントを探るクラスター分析などが挙げられるでしょう。

しかしこれらの手法は、裏をかえせばどの企業でも知っていることです。つまり膨大なコストと手間をかけてCRMシステムを導入しても、セグメンテーションの切り口を工夫しない限り、他企業に競り勝つことはできません。

3:顧客のセグメント化には成功しているものの、それが現場に還元されていない

また、CRM分析によって何らかのセグメントが見つかった場合でも、現場にノウハウが還元されないパターンもあります。

現場にノウハウが行き渡らない原因としては、PDCAやPDSAサイクルが機能していないことや、顧客のセグメントが複雑すぎることなどが挙げられます。前者は企業体制の見直しが必要ですが、後者はよりシンプルなセグメントに刷新することで見込み客の拡大が期待できるでしょう。

4:「見えている」顧客のみに注力し、見込み客をはじめとする新規顧客層へのアプローチを行っていない

なお、RFM分析等で優良顧客や休眠顧客層を明らかにし、重点的にアプローチすることでLTVを挙げようとする企業も多くあります。

しかし、優良顧客はすでに成熟した顧客です。手をかけることで利益の維持はできても、大幅な拡大は見込めないでしょう。そして休眠顧客は、しつこく追いかけてくる企業に対して不信感を募らせる場合があります。

既存顧客に対して画一的なアプローチをし続けていくだけでは、事業は先細りするばかりです。

CRM分析で顧客の行動予測を

事業利益に貢献しないCRM分析の4つの特徴についてご紹介しました。

CRMの目的である「事業の維持・拡大」に至るには、達成すべき明白な事業目標と、正確な顧客情報が必要です。そして、正確な顧客情報をもとに顧客のニーズや行動予測を分析し、商品開発に活かし、そして現場に還元していくサイクルが求められます。

現代のビジネス市場ではインターネットの発達により、購買履歴という顧客の最終アクションだけでなく、購入に至るまでの道筋まで把握できるようになりました。顧客情報を元に行動予測をたてることで、新規顧客の獲得や育成が見込めます。

CRM分析がうまくいっていないと思った時は、CRM分析がどこでつまづいているのかをまず把握してみましょう。

事業目的の形骸化が問題なのか、情報収集の方法が悪いのか。
セグメント化が安直すぎるのか。現場にノウハウが届いていないのか。

ひとつひとつ問題を洗い直し、よりよいCRM分析を行ってみてはいかがでしょうか。

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